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ヒルトン東京 Executive Deluxe Suite  
Hilton Tokyo 2010.08.20(金)
東京都新宿区 楽-3

客室の窓

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新旧が混在するスイート


夏休み期間中で子ども連れが多く、日本でも有数の国際ビジネスホテルも、この時期ばかりはファミリーランドのような賑わいだ。今回の宿泊はジュニアスイートを予約してあったが、スタッフが騒音などの影響を考えた結果、最上階の珍しい部屋を用意してくれた。

もともとは、このホテルで最高級のスイートがあった場所だが、どうやらほぼ真ん中から半分に仕切られ、それぞれ違ったふたつのスイートに改装されたらしい。同様の最高級スイートは37階にもあり、そちらはまだ広いまま残されているようだ。

この切り離されたスイートは、ジュニアスイートと同じ44平米のリビングルーム、そしてシティスイートと同じ58平米のベッドルーム&バスルームとで構成されており、合計すると102平米になる。

もともと最高級スイートのメインエントランスとして設けられていた立派な両開き扉は、もう一方のスイート側にある。こちらのエントランスは、通常客室と同じ片開きだ。

スイートの入口付近

リビングルームはジュニアスイートと同じく、扇形に広がっており、2面の窓を持つ。入口脇には大型の姿見とちょっとした棚台があり、ドアと並んでコート用クローゼットがある。そして、仕切りなどがないまま、ワークデスクやシッティングスペースへと続いており、やはりレイアウトには無理を感じる。

リビングルーム

シッティングスペースは窓に近い位置に設けられ、V字状に開いたロングソファとふたつの低いイスで、丸いローテーブルを囲んでいる。

リビングルーム

ロングソファにはブラウンのクッションを添えてあり、イスの方はアヒルを思わせるような重心の低い不格好さが味わいに感じられるデザイン。ローテーブルは、ドーナッツのように中心に穴が空いているのだが、実際のところ穴があって便利なことはひとつもない。

リビングルーム

カーペットはエグゼクティブフロアのレギュラールームと同じものを使っており、家具を含めて特段立派だと思わせるものは見当たらない。どちらかというと安普請な印象だ。

リビングルーム

だが、照明はそれなりに高い効果を感じさせる。天井からはいくつものハロゲンダウンライトが照らし、窓に設置された襖の両脇にもスポット的なライトが当たるようになっている。そこに行燈風のフロアスタンドが加わり、ムードを醸している。照明のスイッチは、スタンド以外すべて一括で操作できるので、便利ではあるが、コントロール性は乏しい。

窓の辺りは和の趣き

ワークデスクは、コート用クローゼットの目の前に置かれている。エグゼクティブルームでお馴染みのガラス製オーバルデスクだ。脇はこげ茶のカウンターを設けているが、木目の質も、デスク周辺の環境としても、ジュニアスイートの方が優れている。あまりに取ってつけたような印象なのがよくない。

ワークデスク

ミニバーキャビネットは、ベッドルームへと続くたいへん立派な両開きドアの脇にある。エグゼクティブフロアでは、部屋のカテゴリーによって、ミニバーキャビネットの扉を色分けしているが、ここはブラック×ブラック。シックというよりも、あまり合っていない感じ。

リビングからベッドルームへの扉

ミニバーキャビネットの上には、ネスプレッソマシンが置かれているが、コーヒーカセットは6個だけと少なめだ。冷蔵庫内の品揃えは、レギュラールームと同等だった。

エスプレッソマシン

リビングルームには、まだ十分な空きスペースがあるのだが、ダイニングテーブルがないのが不便だった。ルームサービスを注文しても、ワゴンと合う高さのイスがない。あのアヒル風ずんぐりイスで、無粋な格好で食べなければならず、我ながら笑ってしまう光景となった。まあ、ルームサービスならひと目に触れることはないのだが。

ベッドルーム

リビングから扉で仕切られているもう一方のスペースは、窓側の約半分がベッドルームで、廊下側の残り約半分がバスルームに充てられている。そのため、ベッドルームは横長のレイアウトで、やはり2面の窓を持つ。

ベッドルーム

リビングのブラックに近い配色の家具とは対象的に、ベッドルームの家具はライトな木目だ。だが、あまり上質な感じはなく、高級スイートの内装だという気合いはまったく伝わってこない。むしろ、レギュラールームの方が立派かもしれない。

ベッドルーム

ベッドは窓に足を向けるように配置。幅は220センチのオーバーキングサイズで、スイート仕様のピロートップやベッドリネンを使っているため、快適な寝心地だ。

カウチソファ

ベッドとリビングへの扉の間には、派手な柄のカウチソファがある。このスイート内に、このような色使いをした備品は他になく、非常にインパクトが強い。だが、扉に施されたゴールドカラーのふちどりや、淡いながらも温かみのある色彩の壁紙とは、うまく溶け込んでおり、いい感じのアクセントになっている。

ベッドルーム

ベッドルームの襖にも、照明が当たるようになっている。最上階からは見晴らしもよく、昼夜を問わず、ダイナミックな景色が楽しめる。

ベッドルーム

ベッドルームの収納スペースは、一番奥の壁に沿って設けられている。引き戸のクローゼット、バゲージ台、姿見などで構成されるが、単なる収納スペースでしかなく、物を美しく魅せる工夫がまったくないのが残念。

だが、バスルームはなかなか興味深く、また立派である。ベッドのちょうど裏の部分に、まっすぐに伸びる廊下があり、そこは居室と同じカーペット敷き。そして、バスタブのある部屋とシャワーブースのある部屋への扉の他、ドレッサーの役割を持つアウトベイシンがある。

バスルーム

バスタブのある部屋はそこだけで6平米で、メインのベイシンとトイレも設置されている。内部はインパクトのある豪勢な大理石造り。ミラーに設けられたボール状のブラケットがレトロ感を高めている。

バスルーム

バスタブは大型サイズのジャクージバス。金色の浴室金具が華やかだ。脇のスモークミラーも面白い効果を生んでいる。

バスルーム

バスタブは内径でも長さ165センチ、幅78センチと、とてもゆったりとしている。女性だと取っ手をつかまっていないと溺れてしまうかもしれない。

バスタブ

バスタブとベイシンの間にあるトイレは、おそらく後から新調されたものだと思われる。ベイシンボウルとその金具も新しい。

バスタブとトイレ

アウトベイシンにはスツールが添えられており、こちらにもバスアメニティがフルで揃っている。ドライヤーはここに置かれている。

アウトベイシン

ベイシンの足元がカーペット敷きというのは、なんとも不思議な落ち着きを感じさせてくれるものだ。バスルーム内と違って、水音がさほど響かないのもいい。

アウトベイシン

シャワーブースのある部屋も、一面の大理石造り。約5平米のゆとりのあるフロアにトイレとビデが並んでいる。それらも昔懐かしい色とデザインの品だ。

シャワー&トイレルーム

テレホンブースのように仕切られたシャワーブースは、シャワーヘッドのある側の壁だけ、石の柄が違う。おそらく改装の際に破損したか何かで、そこだけ新調したものと思われる。

シャワーブース

レトロで重厚なバスルームと、モダンで軽い居室のコントラストは、新旧のテイストが入り混じるヒルトン東京そのものを表しているようにも感じられた。

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ヒルトン東京

このホテルに関する過去のレビュー

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