ひるばす
2006.11.12(日)
ヒルトン東京 Executive City Suite
Hilton Tokyo
怒-1

ロビーで売られているクリスマス仕様のひるいぬ 西新宿の高層ビル群の一角に建つヒルトン東京へは、地下鉄の西新宿駅か都庁前駅からなら徒歩で数分、雨の日でも濡れずに行ける。JRの最寄り駅は乗降客数日本一の大ターミナル新宿駅だが、ここから歩くと10分から15分程度かかるので、ちょっと遠く感じる。かといって長時間客待ちをしているような駅前のタクシー乗り場からタクシーに乗るのも気が引けるという微妙な距離だ。

そこで活躍するのが、新宿駅とヒルトン東京を結ぶホテル送迎バス。仲間内では「ひるばす」の愛称で通っている。日中は10分間隔で運転しており、とても便利なバスだ。センチュリーハイアットも同様のバス(「ちゅりばす」)を運行しているが、そちらは20分間隔。駅の乗り場も、ヒルトンの方が便利な所にある。

この日も新宿駅まで来て、ひるばす乗り場へ向かった。ちょうど行ったばかりのところで、列の一番前に並んだ。列はみるみる長くなり、ヒルトンへ向かう人の多さに改めてびっくり。そういえば今日は日曜日だった。そろそろ来るかと思う時間になっても、バスはなかなか到着しない。駅周辺は渋滞することもしばしばなので、少し遅れているのかもしれない。

だが、20分経ってもまだ来なかった。10分間隔のはずなのに、これはちょっと異常事態だ。いつになく長くなった行列にはイライラや動揺が生じ始めており、携帯で待ち合わせの相手に「バスが来ないんだよ」と遅れる言い訳をする人も多くなってきた。結局バスは約30分遅れて到着した。その上、乗り切れない人を残して出発せざるを得ないほど満員になった。途中の道に渋滞の様子は見られなかったので、何らかの理由で1本か2本抜けたものと思われる。まぁ、タダだから仕方ないか。

混雑するロビーを抜け、エレベータで37階のエグゼクティブラウンジへ。ラウンジも多くの客で賑わっていた。そこへ顔なじみの係が「ご出発ですか」と声を掛けてきた。これにはとてもガッカリ。他意がないことはわかっているが、今来た客に帰るのかと言うのは失礼なことだ。エグゼ階の拡張で客室数が増えて大変だろうが、リピーターのイン・アウトについては毎朝きちんと確認するべきである。どの客を見送り、どの客を迎えるのか、たとえ一泊でも間違いなく把握していなければならない。

幸い部屋の用意はできていた。しかし清掃は、いつになく不十分だった。デスク、テレビ画面、ソファなどに脂っぽい汚れが多数残っており、ベイシンの周囲は濡れたままだった。そのため新しい部屋が用意されることになり、30分待つよう言われた。部屋が用意できたのは2時間後だった。その間、なんのフォローもなし。2時間もかかるのなら、始めにそう言ってくれれば、別のことをして時間を有効に使うのに。忙しいのはわかるけれど、それでは金を取る資格がないのではないか。

今回利用したシティスイートは、最近の改装で誕生した新しいタイプのスイートだ。以前はエグゼクティブスイートのパーラーだった部分だけを独立させて、レギュラールーム2室分に相当する59平米の面積をもつスイートにした。入口を入るとちょっとした前室のようになっており、とても大きな姿見とクローゼットを配している。この部分全体がかなり濃いブラウンの木目に囲まれており、絞り込んだハロゲンのスポット照明だけに照らされているために、ずいぶんと暗い印象がある。レギュラールーム同様に、荷物や服を扱う場所は、もっと明るくできるようにしてほしい。

続くリビングルームには、大きなソファをL字型に配置し、脇にはソファに対してかなり小さいガラス製のワゴンテーブルを置いている。カーペットも前室部分とは違うものを使い、変化を付けている。窓際には楕円形のガラス製デスクを設置。レギュラールームではオフィスチェアだが、ここではユニークなデザインのイスがひとつ添えられている。テレビは壁に掛かっており、レギュラールームより5インチ大きい37インチ。その下にミニバーキャビネットを据えているので、ソファからテレビを見ると、幾分位置が高すぎるようにも感じられた。

ソファの背後はダークブラウンの板を張り、別の壁にはリーフ柄の壁紙を使っている。なぜ部屋の用意に2時間も掛かったのか聞いたら、このダークブラウンの木目にワックスを掛けていたのだという。木目に艶がないと文句をつけた覚えはない。ただ、得体の知れない脂汚れをどうにかするように頼んだのだ。ヘタにワックスを掛けたものだから、壁面がかえっておかしな状態になってしまった。

リビングの照明は、デスクスタンドのオバケのような明るいフロアスタンドと、デスクスタンド、いくつかのダウンライトで構成されており、調光の自由こそ利かないが、それなりに雰囲気のあるライティングになっている。リビングを見て感じるのは、このスイートがシングルユースを想定してデザインされているのではないかということ。ベッド以外はどれもひとりで使うような仕様になっている。ふたりで泊まってルームサービスを注文したら、さぞかし困るだろう。イスはひとつしかないのだから。ソファは低くて、ワゴンとは高さが合わない。

リビングルームとベッドルームは、テレビの両脇にある2箇所のスライディングドアで仕切れるようになっている。両方の扉を開放したとしても、リビングとベッドルームが連続してワンルームに感じられると言うにはやや無理がある。ベッドは220センチ幅のオーバーキングサイズで、ベッドと窓の間にはロングソファが置いてある。見た感じは心地よさそうなロングソファだが、実際に座ってみると、カラダにフィットせずに期待はずれの座り心地だった。ベッドルームのテレビも37インチで、こちらにだけDVDプレイヤーが設置されている。ベッドルームに、コンセントがひとつもないのが不便だった。

バスルームはレギュラールームとほとんど同じ。違いはベイシン脇に間接照明があるかないかと、アメニティがグレードアップして、バスソルトなどが加わるという程度。スイートと言うからには、もう少し気合いを入れてもよかったのではないかと思う。また、トイレの配管と空調とが共鳴して、一晩中汽笛のような音が響いていたのには参った。

翌朝の出発時、係からは「昨日はすいませぇ〜ん」と軽々しい挨拶。部屋が汚れていたことはともかく、人の時間を2時間も無駄にしたことに対する詫びとしては軽すぎる。親しき仲にも礼儀ありじゃないけれど、何か客に迷惑を掛けたのなら、自分たちが感じてるよりもワンランクアップの申し訳なさで対応すべきだ。

 
入口からリビングを見る 大きなソファがL字に配置 ガラスデスクの脚が足に当たることがしばしば

ベッドルームからリビングを見る ベッドルーム奥から窓方向を見る ベッドルームテレビ前からバスルーム方向を見る

ベッドは220センチ幅 夕方のベッドルーム 見た目より座り心地の悪いソファ

ルームサービスで注文したスイス風のピラフ ベイシン スイングドア付のバスタブ

 
ヒルトン東京 940505 941018 970301 990628 000411 000518 000528 010512 010901 011231 020629 020630 020704 020806 020831 040311 040602 040621 040628 040908 041228 050106 050219 050322 050327 050403 050417 050528 050624 050909 051228 060114 060408 060429 060605 060716 060720 060905


公開中リスト | 1992 | 1993 | 1994 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 |
| ホテル別リスト | レストラン別リスト | 「楽5」「喜5」ベストコレクション |