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ヒルトン東京 Executive Room  
Hilton Tokyo 2010.04.23(金)
東京都新宿区 喜-3

正面玄関前の風景

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最後のババ


チェックイン前にランチをと思い、予定よりも早い時間に到着した。ベルに荷物を預けてレストランに向かうという手もあるが、すでに到着していることを知らせておくために、エグゼクティブラウンジに顔を出すことにした。

つつじと外観

ロビーを横切る際、チョコレートブティックの前を通ったら、色鮮やかな鯉型袋に入った菓子が売られているのが目に入った。クッキーフィッシュと書かれている。そうか、端午の節句が近いからか。なんとなく愛嬌のある姿が気に入って、青いのをひとつ買ってみた。

クッキーの入った鯉のぼり

エレベータホールは大理石造り。モダンでスッキリとしたデザインは、どちらかというと男性的だ。6基のエレベータは1階から38階までを往復しており、他に地下駐車場から宴会場までを結ぶ低層階用エレベータが2基ある。

エレベータホール

37階のエグゼクティブラウンジでは、顔馴染みのスタッフがにこやかに出迎えてくれた。奥の方にあるソファに腰かけ、自由に使えるようになっている冷蔵庫から、冷えたトマトジュースを取り分け、喉を潤す。

そこにスタッフがやって来て、すでに部屋は用意できていると、キーを差し出しながら、こう付け加えた。「少々混み合っていて、周囲のお部屋の音が気になるかもしれません。」

あらかじめ知らせてくれたことはありがたい。以前、「これ以上、工夫のしようがないという状況なら、先にそう言ってくれ」と頼んだことがある。スタッフは今それを実行しているつもりなのだろう。

だが、大切なのは「これ以上、工夫のしようがない」という状況かどうかの判断であることを忘れているように感じられた。とにかく、先に宣言しておけば文句を言われないという空気だったのである。

そこで、騒音に悩まずに済むよう、どんな工夫をしてくれたのかと尋ね返してみた。スタッフは返答に困っていた。問い詰めるのも気の毒なので、質問を変えて隣室はどのようなお客様なのかと聞いてみた。むろん、個人を特定できるような情報を求めているのではない。

スタッフは一度カウンターに戻り、端末を操作してから、ふたたびやって来た。隣室は台湾からのグループ客の一部だという。「ああ、それなら忍者のように静かでしょうね」なんて、誰が納得するものか。十分な経験を積んだスタッフなら、これは騒々しいかもしれないと予測できるはずである。

まあ、一見行儀がよさそうな客でも、ひとたび部屋に入ったら、実際何をしているかわかりゃしない。こういう客なら間違いないという見立ては難しいが、これはヤバいという消去法は簡単なことだ。団体客、子ども連れは、賑やかなのがふつうなのである。しかも、台湾人グループ。おとなしければ、病気を心配した方がいいかもしれないのに。

ビジネストラベラーの隣がいいとリクエストすると、スタッフは改めて部屋を探してくれた。ただ、これから清掃に入るので、仕上がりには1時間ほど掛かるという。食事に行くところだからまったく構わないと答え、ラウンジを後にした。

向かった先はブラッセリー「チェッカーズ」。ちょうどランチブッフェで賑わっていた。予約もせずに出向いたわけだが、すぐに席が用意された。「あまりよい席でなくて」としきりに申し訳なさそうにしていたが、ひとりでサッと食べて出るつもりなので、どこでも構わなかった。

サラダをブッフェ台から取り分け、好みに応じてオーダーできるパスタを頼んで、食事は以上で終了。サラダを取っている時、デザートカウンターにあるババがとても美味しそうだったので、締めくくりはそれと心に決めた。

「チェッカーズ」のパスタ

ところが、食事を終えてデザートを取りに行った時、目の前で狙っていたババの最後の一切れをおばちゃんに取られてしまい、ポル・ウナ・カベーサのメロディーが頭で鳴りだした。しょんぼりしながら小さなクレームブリュレひとつで我慢。

テーブルに戻ると、マネジャーがコーヒーを運んで来た。「今日は一段と控え目ですね」と言うので、ババの争奪戦に敗北し、失意のどん底をさまよっているのだと答えると笑っていた。

ほどなく、大きなババが運ばれてきた。ペイストリーブティックで売られているものを持って来てくれたのである。この時ばかりは、いかついマネジャーが聖者に見えた。

「チェッカーズ」のババ

上機嫌でエグゼクティブラウンジに戻ると、部屋の準備が整っていた。用意されたのはラウンジと同じ37階にあるエグゼクティブキングルーム。S字フォルムをした建物の、ちょうどカーブ内側にある変形ルームだ。このタイプは、各フロアに1室しかない。

「ハ」の字型をした部屋

部屋に入ると、デスクの上がいつもと違う状況にあった。タオル類が4枚ずつ積み上げられ、床にはバスマット、そしてペーパーバッグの中にはVIPバスアメニティが入って置かれている。

デスクに載ったままのタオル

本来はバスルームにセットするつもりだったのを、置いたままにしたのだろうか。だが、バスルーム内にはすでに規定通りのセッティングがされているので、デスクにあるのはあくまで追加分というつもりらしい。このままにしておくのも目ざわりなので、とりあえずクローゼットに片付けた。

デスク側を見る

この部屋は入口のある手前側が幅広く、窓に向かってすぼんでいく形状をしている。手前から奥に広がっていく部屋は多いが、顕著に逆なのは珍しい。台形というよりは、もはや三角形に近い印象のある客室である。

室内の備品は、通常のエグゼクティブルームとまったく同等である。違いは広さとレイアウトのみなのだが、それでも印象は大きく異なるのが面白い。

手前側が広いことを利用して、ガラスのオーバルデスクと、赤黒の艶出し戸が印象的な冷蔵庫キャビネットの位置関係を、通常の部屋とは逆にしている。そのため、デスクの周囲にはかなりのゆとりが残り、デスクワークの多い滞在には、たいへん好都合な環境だ。

奥から入口方向を見る

ベッドはキングサイズ。部屋の中央に置かれ、最も強い存在感を示している。艶やかな木目のベッドボードも、モダンな中に温かさを醸している。

赤いレザーソファとベッド

窓際にはオットマン付きの赤いレザーソファがあり、これは今のヒルトン東京のエグゼクティブルームを象徴するアクセントでもある。

入口の収納スペース

入口ドア脇にはクローゼットとバゲージ台が並ぶ。レギュラールームの場合、この部分は比較的暗くて窮屈な印象があるのだが、クローゼットの向かい側に空きスペースがあることで、閉そく感のない雰囲気となった。

バスルームはレギュラールームと同等。形状と広さ、レイアウトといった実体のないことにしか差異がないにもかかわらず、これほど大きく印象が異なるのは、設備とバランスの感覚を深める上で、とても参考になった。

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