夫婦喧嘩 |
2007.12.24(月)
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ヒルトン東京 Japanese Suite | |
Hilton Tokyo |
怒-2
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一休.comのオークションにヒルトン東京の和室が出品されているのを見つけ、クリスマスに和室というのもユニークで楽しいかもしれないと思い、落札した。アイテム詳細欄には、料金は期限までに振込んでもらうので、落札後に振込先をメールで知らせると書いてあった。
だが数日経っても音沙汰がないが、その期限は迫ってくる。度々利用しているので、到着時の手続きでいいとでも判断されたのか、あるいはメールが来ているのに見落としているのかと、なんとも落ち着かない気分で過ごしていたが、やがてヒルトンの予約課からメールが来た。やっと振込先を知らせて来たのだろうと思って開いてみると、なんと督促状だった。 落札おめでとうございますという書き出しに始まり、まだ振込みが確認できていないから至急振り込むようにという内容だ。これにはとても驚いた。ホテルとしては落札後にメールを送ったつもりでいたのだろう。事実、送ったのかもしれない。だが、事実、受け取ってないのだ。 電子メールの不着は珍しいことではない。何かの拍子にスパムフィルターによって弾かれることもあるだろう。振込みが確認できずに督促するのは構わないが、文章には書き方というものがあるはずだ。送られて来たメールを読む限りは、こちらが振込みを怠っていると決め付けており、何かしらに行き違いが生じているとは想定していなかった。 それを読んでどう不快に感じたかは、メールで返信しても伝わりにくいので、直接電話を掛けて文句を言った。「落札おめでとうございます」という表現にも違和感があったし、最近送られてくるメールマガジンの文面もホテルとしての品位に欠ける。ホテルの事務職の面々も、表舞台での接客を強く意識してもらいたいものだ。 そうして迎えた当日。マネジャーは到着を待ち構えていたらしく、まずは振込みでの一件を詫び、その後も低姿勢に丁寧な対応をしてくれた。それには部屋の準備がまだ整っていなかったという理由もあったようだ。仕上がるまであと40分掛かると言われ、その間、エグゼクティブラウンジで待つことに。実際に部屋へ案内されたのは1時間後だった。 ヒルトン東京には広さの異なる幾つかの和室があるが、今回は広いパーラーのある和室スイートにアップグレードされた。和室部分とパーラーは別々の扉があり、それぞれに部屋番号が付けられていて、パーラーだけを控室やミーティングスペースとして使えるよう、それぞれを完全に独立させられる設計になっている。ある意味、コネクティングルームのようなスイートだ。 案内をされたのはパーラーの方だった。前室には、コンソールデスクがあり、内装が和風のトイレと納戸のようなクローゼットが設置されている。パーラーはジュニアスイートよりも少し広い面積があり、ライティングデスク、5人用テーブルセット、ゆったりとしたソファセットとで構成。ソファの脇には32インチ液晶テレビ、DVDプレイヤー、ミニバー冷蔵庫を配置した。 これだけのものがあっても、室内には贅沢なゆとりが感じられ、シンプルながら堂々としたスイートだ。丸いテーブルの上にはスッキリとしたクリスタルのシャンデリアが下がり、デスクやソファの脇にはミューズスイートにあったフランク・ロイド・ライトのスタンドを使っている。 和室側の入口を入ると広い踏み込みがあり、4畳半の次の間と8畳の本間へと続く。一方、パーラーから和室へのコネクティングドアは廊下の防火扉の様な鉄板だが、コネクトで使う場合は完全に開放してある。次の間の窓側が、縁側に見立てた空間になっており、そこで靴を脱いで上がる設えだ。次の間には特に装飾はなく、至ってシンプルだが、造りはしっかりしている。ここを見ただけで、設計者はこうした和風建築に精通しているに違いないと確信する。 本間には卓がセットしてあって、隅には液晶テレビがある。窓に障子があしらわれているのはヒルトンでは当然の風景なのだが、外側から障子窓−襖−障子戸と3重構造になっているのは、和室ならでは。床の間には椿の掛け軸とささやかな装花。ヨコハマインターコンの殺風景な床の間に比べたら、こちらの方がずっと上品に感じられる。床の間の一角にはナイトパネルが埋め込まれ、その上にはBOSEのラジオが載っている。 ふとんはターンダウン時に客室係によって用意された。高級旅館の仲居さながらの丁寧な仕事ぶりに感心。敷かれたふとんも大変心地よかった。この点もヨコハマインターコンより圧倒的にポイントが高い。 和風テイスト溢れるバスルームもまたユニークだ。板張りの脱衣所、続く洗面所、そして独立したトイレと浴室という構成。ベイシンは石製で、スイート仕様のアメニティが並ぶ。浴室の壁は9センチ角のタイル張りで、床は6角形の細かいモザイクだ。渋い色合いでまとめ、風情のある空間に仕上がっている。洗い場付きでシャワーやカランは超強力。浴槽が檜でないのは残念だが、湯を溢れさせられるタイプで、ここでもジャバーン!と豪快な入浴が楽しめる。 和室側は、まさに高級旅館の趣きだが、旅館とは違って客のプライバシーに踏み込むことは決してない。ホテルの合理性と旅館の風情を同時に味わえるという意味でも、ホテル和室はもっと脚光を浴びるべきだ。 23時を過ぎた頃、部屋でくつろいでいると、近くの部屋から騒がしい声が響いてきた。どうしていつも騒音の原因になる部屋の近くになるのかと、自分の不運を呪わずにはいられない。「またかよ」という程度の気持ちで、なるべく気にしないようにと思っていたが、そうも言っていられない状況になっていった。 最初は、アジア系外国人の男女が部屋の中で口論をしていたようだが、それが次第にエスカレートし、バトルの舞台は部屋から廊下への場外乱闘に発展。叫びあっている言葉の意味はわからないが、ふたりとも相当興奮している。更にドスン、バタンと物が飛び交う音も加わって、ついに女性が絶叫した。通常、生命の危険を感じなければ発しないような声である。 そっと廊下に出て様子を見てみた。だが、他の部屋から同じように様子を見ている人はいない。このフロアに泊まっているのはほとんどアジア系外国人のようだったので、もしやこの程度のことは日常茶飯事で驚くに値しないのかも。いや、それにしてもフツウじゃない。とにかくフロントに電話をして、至急誰か来てくれるように頼んだ。 係が到着し、やがて騒ぎは静まった。もう一度廊下の様子を見てみると、ちょうど女性が係に抱えられてどこかに連れて行かれるところだった。どうやら血まみれの様子。ということは、病院にでも搬送するのか。とんだ騒ぎに遭遇したものだ。 やっと静寂が戻った客室でゆっくりと都心の和ごころを味わって、翌朝は「マーブルラウンジ」の朝食ブッフェでスタート。だが、以前に比べるとまたもアイテムが寂しくなったように感じた。パンの種類ばかり豊富で、料理がつまらないのである。これではエグゼクティブラウンジの朝食と大差ない。 昼食は「武蔵野」で。テーブル席に着いたが、メニューを見ていたら鉄板焼コーナー限定のステーキランチが食べたくなった。でも移動するのは面倒だし、と悩んでいたら、鉄板焼コーナーから運んできてくれることに。シンプルなステーキだが、肉も柔らかく美味しかった。 食後は再度「マーブルラウンジ」にてクリスマスらしいヒイラギの飾りが付いたショートケーキと紅茶を。今年のクリスマスらしさはこれにて終了だ。周囲を見ると、ほとんどの客はデザートブッフェを楽しんでいる。ブッフェ台には長い行列が出来ているが、それにしても皆よく食べること。まったくもって脱帽だ。 滞在と食事を十分に満喫したところでチェックアウト。昨晩の男女はどうしたのか尋ねると、夫婦喧嘩が高じて、旦那が奥さんのことをワインボトルで殴ったのだとか。それって、打ち所が悪ければ殺人事件じゃないか。しかも、室内はテレビや照明器具、壁掛けドライヤーなど、備品という備品はすべて破壊されており、内装工事も含めて、しばらくは稼動できないとのこと。「それは全額請求だね」と言うと、マネジャーは言葉には出さなかったが「まあ、そうなりますね」というニュアンスの仕草を見せた。夫婦喧嘩は家に帰ってからにしないと高くつくという教訓になった。 |
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ヒルトン東京 | 940505 941018 970301 990628 000411 000518 000528 010512 010901 011231 020629 020630 020704 020806 020831 040311 040602 040621 040628 040908 041228 050106 050219 050322 050327 050403 050417 050528 050624 050909 051228 060114 060408 060429 060605 060716 060720 060905 061112 061129 060210 070107 070112 070428 070819 071013 |
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