16日ぶりに東京へ戻り、ヒルトン東京へチェックイン。37階のエグゼクティブラウンジでの手続きはサインのみのスムーズなもの。フレンドリーで明るいスタッフに迎えられただけでなく、よくラウンジでお目に掛かる常連客たちとも挨拶を交わした。

ちょうどカクテルアワーが終わろうとしている時間だったこともあり、ラウンジ内は活気づいていた。すでに客が去って空席も目立ち始めていたが、それでもカクテルアワーがいかに盛り上がっていたかを確信させる濃厚な余韻が残っていた。都会を離れていたせいか、この賑わいにはめまいを感じ、逃げるようにして部屋へ向かった。

用意されたのはクイーンベッドが一台入ったエグゼクティブルーム。ここではツインを用意されることが多いが、ベッド一台の方が、スペースに余裕があっていい。そしてガラスのオーバルデスクの存在もまた大きい。バスルームはいつも通りだが、久しぶりに見ると、とても明るい照明プランであることが実感できる。

ただ、いつもよりもシャワー水圧が低いことや、ベイシンカランが不調で、妙なところから水が噴き出ることなどが気になった。

また、エコへの取り組みを声高に訴えているのはいいが、疑問に感じることも少なくない。例えばランドリー。エコのため、仕上がったものをビニールに入れずに、そのままむき出しで返すことを基本としているにもかかわらず、必要以上に大きな紙袋に入れて戻してくるのだが、どちらが無駄かをよく考えた方がいい。

これもエコの流れなのか、エグゼクティブラウンジの朝食時間帯におけるテーブルセッティングが変わった。以前は布のマットに布のナプキンだったが、今では紙マットと紙ナプキンになっている。コストは下がったかもしれないが、イメージもまたそれ以上に下がった。

並んでいる料理にもコストダウンの波は容赦なく打ち寄せる。パンは冷凍生地のものばかりになり、種類もかなり減らされている。マーブルラウンジの朝食ブッフェなど、価値は半減どころか、もはや見る影もないと言わざるを得ない。かつては「朝食のヒルトン」とさえいわれていたのに、現状は「ケチケチのヒルトン」である。

そんな中、まだマシなのはチェッカーズのブッフェ。特にランチブッフェはなかなか。店の内装はやや古いものの、立派な大理石や上質な家具を使っているので、今でも見栄えがよく、居心地もいい。サービスの安定度も高く、満足して店を出ることが多いので気に入っている。

夕食はフレンチダイニング「ル・ペルゴレーズ」で、スペシャリテばかりを集めたシグネチャーコースを。料理の個性やクオリティは想像を超えた高い完成度だった。オーセンティックながらも新鮮。そして盛り付けもブティックショコラを見るようで大変美しい。サービスのタイミングは絶妙で安心。ただ、ワインは高いので、ザルを連れていく際にはご用心。