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シェラトン都ホテル東京 Executive Suite | |
Sheraton Miyako Hotel Tokyo | 2010.03.07(日) |
東京都港区 | 楽-2 |
ARCHIVES ・ 1992 |
寝心地に魅せられて 寒い日だった。予約してあったのはスタンダードルームだったが、チェックイン時にスイートに空きがあるか尋ねたところ、予定の日程で用意可能だというので、その場で予約を変更してもらった。あらかじめ知らせてあれば、熱心に清掃をして待っていたことだろうが、急にアサインが変わったので、通常通りの状態のまま通された。 埃が積り、空気がよどんでいるのは仕方がないとしても、バスタブの淵に垢がこびりついていたり、浴室金具を一切拭き上げていないのはよろしくない。また、家具にも傷が多く、手入れのいいホテルなら15年目の部屋だって、ここよりはまともだろう。 このエグゼクティブスイートは、3室ある同スイートの内、11階の東向き。公式サイトにはType 3として案内されており、同カテゴリーの中では最も狭い。ベッド、デスク、ソファセットの仕様は同じだが、エキストラトイレの有無、バスルームとクローゼットの使い勝手に差がある。 L字の廊下を進んだ先にあるワンルームの居室は、中央に設置された大型デスクでリビングとベッドスペースを二分している。濃いカラースキームだが、光沢のある素材やアクセントカラーを積極的に取り入れることで、陰鬱さはまったく感じさせない仕上がりだ。 窓は2面あり、それぞれベッドスペースとリビングでひとつずつ分かち合う格好だ。窓からはホテルガーデンの木々を見下ろすと同時に、都会の景色が眺められる。レインボーブリッジは、頭の先だけをのぞかせている。 この部屋の収納は、リビングに据えた置き家具のクローゼットがすべてと言ってもいい。ベッドのオットマン下にも3つの引き出しがあるが、すでにあれこれ入っているし、まずもって浅くて小さいのでセーターなどは入らない。 デスク脇の冷蔵庫と並んだ引き出しは、ランドリー伝票やカップ、湯沸かしが入っているが、それをどけて服を置くには抵抗がある。 唯一空いているのは、クローゼット脇にちょこんとある家具の引き出しだが、これも浅くて服などは入らない。そもそもこの家具の目的は何なのか。スツールが添えられているので、ドレッサーかとも思えるが、暗い場所でミラーも添えずにドレッサーとはいただけない。 肝心なクローゼットの中はというと、ハンガーレールと上部の棚だけ。棚には毛布が積んであり、もはや空きスペースは少ない。というわけで、スイートでありながら、ニット一枚保管する場所がないのである。困ったものだ。 リビングのソファセットはくつろぎのスペース。レザー張りの長いソファと、辛子色のアームチェア、そしてサイドテーブルに載ったメタルカラーの球と赤いシェードを組み合わせたスタンドというラウンジ風の設えをしている。流れる字体で「雲」と書かれた額装もインパクトがあり、呼ばれて飛び出すランプの精にも見える。 ベッドはとても快適。スターンズ&フォスターの立派なマットレスは夢の寝心地だ。部屋の窪みにちょうど収まり、天井のわずかな梁が天蓋の役目を演じている。しかし、スペースの都合で、ナイトテーブルの幅がシンメトリーでないのが残念。 ベッドボード上には、竹林柄の壁紙を貼っている。そこにベッドボードからの間接照明が当たると、竹が幻想的に浮かび上がる。 ナイトランプは調光可能な電球式。読書灯はチューブ式だが、このチューブが短すぎて、ベッドに横たわった状態で書面を照らすには、人間の方が体の位置を調節しなければならず不便だった。 また、室内に時計はなく、時を知らせてくれるのは、ナイトテーブルに載ったオーディオ機器のみ。しかも、オーディオの電源をオンにしている時にしか表示されなず、とても不便だった。 居室内の照明で独立しているのは、デスクスタンド、デスク用ダウンライト、ソファのスタンド、ベッドボードの間接照明、ナイトランプ、読書灯。その他の照明は2系統に分けられている。そのうち、ハロゲンダウンライトの系統は調光が可能である。 しかし、調光パネルは居室からは見えない玄関の脇。そこでどうやってあんばいを見ろというのか。玄関脇ではオン/オフのみにして、居室内で調光できるようにすべきだった。ナイトパネルには2系統それぞれのオン/オフスイッチがあるが、電話の背後に隠れて使いにくい。こうしたスイッチは、居室のわかりやすい位置にも、加えて設けて欲しかった。 バスルームも魅力と不便のせめぎ合いだ。コントラストの強い照明は、モダンなレストランのトイレを思わせるが、ミラーのある場所では、もっと顔面を明るく照らしてくれる照明が欲しい。ベイシンも天端が狭く、持参した自分のアイテムを並べる余裕はほとんどない。 大きな窓があり、檜のバスタブとシャワースペースを設けたバスルームも、一見魅力的。だが、ビニールコートされたバスタブは、もはや檜風呂であって檜風呂ではない。銀のスプーンにビニールを掛けてスープをすするようなものである。 バスタブの照明も具合が悪い。せっかくのバスルームなので、湯に浸かりながら本でも読もうと持ちこんでも、湯船に浸かった状態では書面に光が当たらない。 また、ミラーがバスタブ脇にあるので、シャワーを浴びながら鏡を見ることができないのも不便。自慢のレインシャワーは、湯が均一に出るどころか、狂ったように四方八方に飛び散って使いにくかった。 こうした不便なところを差し引いたとしても、まだ十分に魅力の方が勝っている。逆に、魅力的だからこそ、細かいマイナスポイントが惜しく感じられるのかもしれない。 さて、このホテルには多くの外国人が滞在するが、その強い味方になっているのがコンシェルジュたちである。フロントカウンターの後ろにデスクを構え、客が相談に来るのを待っている。旨い鉄板焼屋やイケてるナイトクラブはないか、富士山を見に行きたいなど、相談も多岐にわたる。 このコンシェルジュデスクには、これまで一度も立ち寄ったことがない。そのため、フロントのすべての係とは顔見知りでも、コンシェルジュとは面識がないのである。特に相談ごともないので不思議なことではないが、他のホテルではコンシェルジュの方がフロント係よりも親しみやすいのに、ここではなぜか寄りつき難い。 コンシェルジュデスクの奥には、いくつものソファが並び、待ち合わせやくつろぎに自由に使えるようになっている。最近のホテルは「タダでは座らせまい」としているところが多く、こうした元来のホテルらしい余裕を見るのは気分がいい。 このソファコーナーの脇には窓があり、夜にはライトアップされたガーデンが見える。ラウンジ「バンブー」からとは角度が違うだけでなく、「バンブー」からは隠れて見えない池も同時に眺められるのがいい。 |
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