シェラトン都ホテル東京 Premium Floor Deluxe Room |
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Sheraton Miyako Hotel Tokyo |
2009.01.07(水)
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東京都港区 |
哀-1
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この世でない場所 | 作品づくりにひとり集中するため、都ホテルをアトリエ代わりにロングステイをすることにした。自分で決めたデッドラインは6日後。これを決めなければ、いつまでも筆は進まない。だが、一度決めたラインは、これまで常に守り抜いてきた。
音楽の創作には楽器が必要だと思われるだろうが、今やパソコンがあれば楽器はなくてもいい。パソコンと入力用の小型鍵盤、そして頭の中にある自分だけの交響楽団がツールのすべてである。付け加えるならば、集中して思考するための静寂と、誰にも邪魔をされないための隔絶された空間が欲しい。その理想の環境に一番近いのがホテルである。 自分のアトリエや別荘があれば、それもいいような気がするが、根っからの旅ガラスは毎度同じ環境よりも、気分でチョイスできるホテルの方が好都合というわけだ。こうしてホテルに閉じこもる時、周囲の者たちは「神田将は今、この世にいない」という表現をする。 確かにそうかもしれない。極度に集中している最中、一番わずらわしいのは親しい人とのコミュニケーションである。特に肉親。どうしても「人の子」としての部分が刺激され、ある意味「鬼」に徹している意識が途切れてしまう。ひとたび途切れると、元のテンションに戻すのは難しく、場合によっては一からやり直さなければならなくなる。 そのため、この期間は携帯の電源も入れず、「よほどの事態でない限り連絡無用」と閉じこもるのである。だが、僧侶の修行とは違い、ホテルでの缶詰なんて贅沢なものだ、と周囲の目は冷たい。頭の中だけで創作できるなら、刑務所だっていいはずと思われているのかもしれない。理屈では確かにその通りだけれど、こうしてホテルで作業をすることで、刑務所でしたのとは違う何かが、舞台での演奏を通じて聴き手にも染みていくものだと信じ、説得力のない言い訳を続けるしかないようだ。 チェックインは好印象だった。これまでなかなか顔も覚えてくれなかったが、やっと馴染みになってきた実感が得られた。新年の挨拶があり、担当した係の仕事としての顔だけでなく、人間としての表情が見受けられた。最初アサインされていた部屋はフロアセブンの狭いタイプだった。 7階のフロアセブンには特別なアメニティや設備があり、デスクも広く使いやすいのが気に入っている。だが、5泊もするのに狭い部屋では気が滅入るかもしれないと思い、7階でなくてもいいので広い部屋にしてくれないかと頼んだ。そして改めて用意されたのは9階禁煙プレミアムフロアのデラックスルームだった。 7階の内装に慣れ、久しぶりに見るプレミアムフロアの印象は濃厚だ。ダークウッドが随所に使われ、ベッドボード上の明るい格子模様とのコントラストが、濃淡それぞれを引き立てている。だが、大型のアーモアは邪魔だし、カウチ風ソファも使いにくい。デスク周辺にはスペース的なゆとりがもうないが、楕円形のデスクはもう一回り大きくして欲しかった。これらすべては見た目ばかりを優先したことで生じた欠点である。 ナイトテーブルにある照明とラジオのコントロールパネルにも不具合が続出している。過去を振り返ってみても、このパネルが正常に機能している方が稀で、どの部屋のものも壊れかけているようだ。今回はボタンの接触が悪くなっており、照明を点けようと思ったらいきなりラジオが鳴り出したり、それを止めようと思えばボリュームが大きくなったりと、操作中の誤作動が多かった。 そして、このホテルでいつも気になるベッドメイクの仕方。デュベをマットレスに折り込む際、肩が丸出しになってしまうような仕上げ方をしており、もっと枕側にデュベの上端が来るようにしてもらいたいと毎回頼まなければならない。この際と思い、客室係の責任者を呼んで、このような仕上げをする理由を尋ねてみたところ、返ってきた答えは意外だった。 毎回同じ状況なので、ホテルがこの仕上げ方を基準としているのかと思ったが、こうした指摘を他にも受け、清掃業者に改善を求めているが、なかなか応じてくれないのだという。だがそれはおかしい。清掃を業者が行なうにしても、最終点検はホテルの者がするはず。であれば、その時点で即刻改善を求めればいいのに、現実にはしていないということになる。 いずれにしても、指示の仕方が曖昧では、やる方もよくわからないだろうから、デュベの上端がマットレスの上端から何センチのところになるようにと、具体的な数値で指示した方がいいように思った。 その後、ベッドはリクエスト通りの仕上がりになっていたが、ステイ清掃のやり方には、係によって個人差が大きいこともわかった。ある日はアメニティが補充されなかったり、ある日はバスタブ内が清掃されなかったり、単にやり忘れたというよりも、意図的に割愛した様子だった。 今回の滞在でありがたかったのは、静寂が保たれていたことである。正月明けの時期で、ホテルが閑散としていたのが理由だろう。 だが、週末のレストランは混雑していた。土曜日に、中国料理「四川」でランチをとろうと、13時半頃に店へ向かった時のこと、入口の係によれば満席で30分待ちだった。ならば席が用意できた時点で部屋に連絡をくれるよう頼んで戻ろうとしたところ、係から妙なことを付け加えられた。 席が用意できるのがラストオーダー時間近くなるので、チャーハンか麺類など、簡単な料理しか出せないと言うのだ。ここの料理人はそんなに偉いのか、それともやる気がないのか。ひとたび予約を受けたのなら、仮にラストオーダー時間を過ぎたとしても、最後の客の注文を受けるまでは、いつも通りに構えるべきである。それがラストオーダー時間前であれば尚のこと、注文できる品を限定するなどとんでもない。 そんな条件を付けて、いったい店に何の利があるのか。客の気分を悪くして、財布の紐を締めなおさせるだけである。実際、席が用意されたのは13:45だった。もちろん、何の限定もなく、いずれの料理をも注文可能であった。つまらぬセリフは、逆効果となった。 |
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シェラトン都ホテル東京(公式サイト) | |
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