前回宿泊したのは5年半前である。当時はモダンでスタイリッシュだと感じたインテリアが、今見るとひどく時代遅れに見える。たった5年半だが、流行という観点からすればまったく別の世代なのだろう。家具はまだまだ現役で立派に役立つのに、こうも古くさくなってしまったら、そろそろ部分的にでも改装しなければなるまい。

実際、どこを改装すべきなのか。家具はこのままでもいける。だが、照明器具がダサいようだ。特にダイニングの上に下がるペンダントがひどい。このほかにも、スタンドのデザインは悪くなくても、シェードがダサい照明器具が多数あるので、せめてシェードを交換してはどうだろう。せっかく贅沢なほどの広さがあるのに、インテリアにコントラストやキラキラ感、ゴージャス感がまったくないのも退屈に感じる原因だ。

かといって、落ち着いた重厚感を愉しませてくれるほどのクオリティではないので、どっちつかずの雰囲気になっている。ダイニング上に豪奢なシャンデリアを下げるとか、存在感のあるオブジェを配置するとか、最高級スイートなのだから、もっと装飾があっていいと思う。デスクの後ろにある本棚も、まるで廃品回収待ちみたいな書物ばかりが並んでいるし、テレビはブラウン管でＤＶＤすらないとなれば、まるでリサイクルショップのショールームのようだ。

だが、室内にはそれだけではないアンバランスさが漂う。一体なんだろうと思いつつ部屋をしみじみ眺めたら、3箇所ものハロゲン電球切れがあった。ハロゲン球は白熱球に比べればかなり長持ちするので、3箇所が同時に切れたとは考えにくい。おそらくそれぞれ別の時期に切れて、そのまま気付かれることなく放置されて来たのだろう。すぐに係を呼んで電球を交換してもらったら少しはいい感じになったが、照明バランスの悪さはまだ残り、ダサさが帳消しになるわけではなかった。

寝室のベッドは152センチ幅のスターンズ＆フォスターに入れ替わった。しかし、ベッドメイクは相も変わらず、どうしようもなく下手くそ。素晴らしいマットレスなのに、その上に敷いたベッドパッドは、片方は小さすぎ、もう片方は大きすぎる。なぜベッドパッドくらいマットレスに合ったサイズのものを用意できないのか。これじゃマットレスがかわいそうだ。

バスルームは約16平米。総大理石張りの優美な空間である。カラン、ベイシン、シャワーともに、温かい湯が出るまで3分を要すのは以前と同じ。アメニティはTHALGOを揃え、タオルも十分に用意されている。広くて立派なバスルームだが、今ひとつ垢抜けないのは、居室と同様だ。

食事は「カフェカリフォルニア」を利用した。誕生日の会食だと告げると、個室を用意してくれ、サービスも行き届いていた。