新宿のホテルは自宅から近いこともあり、しばしば利用する機会があるが、ここのところハイアットリージェンシーを使うことが増えてきた。顔馴染みのスタッフが増えるに従って、どこのホテルに行こうかと思案する時、心に浮かぶ顔が多くなり、「この人のところにしよう」という具合に決めるパターンが結構ある。

この日、宮崎から羽田に戻り、そのままホテルに直行した。到着したのは午後7時過ぎ。エントランスでのアテンドは素晴らしかったが、チェックイン時にやや不満を感じる出来事があった。

9階のクラブレセプションではなく、ロビー階のフロントカウンターでチェックインした際のこと。手続きの途中で、チェックアウト日の出発時間を尋ねられた。このホテルのチェックアウト時間は午前11時だが、ホテルメンバーは午後3時までのレイトチェックアウトが可能である。

おそらく年始で混雑しているだろうとは思っていたが、できれば少しゆっくりしたいと申し出た。だが、係は混雑しているので無理だとあっさり。この「あっさり」には気分が悪かった。なぜなら、このホテルではこれまで散々貴重な時間を無駄にされ続けてきた経緯があるから。

今更どの面下げてさっさと帰れと言えたものか。だったら今まで無駄にした時間を返せと怒鳴りたくなるではないか。ホテルは迷惑を掛けてきたという自覚を持つべきで、それがあればもっと別のいい方ができたはずである。いずれにしても、後から来る客の迷惑になるつもりはないので、ゆっくりすることは諦め、時間通りに出発するよう予定を組み直すことにしたが、到着早々気分が萎えたのには変わりがない。

部屋に荷物を置き、ひとまずクラブラウンジをのぞいてみた。やはり年末だからか、いつにない賑わいだった。かといって空席がないこともなく、活気あるラウンジでトマトジュースを1杯だけ飲み干し、ロビー階の「CAFE」へ向かった。

正月間近で、すでに休日気分だったが、レストランの営業形態は平日なので、ブッフェはやっていない。コースは2種類あるが、今夜は5,500円のステーキコースを選んだ。ステーキは思ったよりボリューム感があったが、肉質が筋っぽく美味しいとは言えなかった。また、追加で注文したデザートは各種1,320円と立派な値段ながら、実際は500円程度かと思わされる貧弱なもの。値段に相応しい見た目とクオリティを両立させてもらいたい。

大晦日もレストランは平日モード。ランチは「トロワグロ」に行こうかと考えたが、胃袋が「どうか軽めで」と懇願するので、「おんぼらあと」の野菜せいろ膳1,980円をチョイス。限定15食のこの膳は、蒸した野菜と出来立ての豆腐をメインにしたベジタリアンメニューで、気分的にもヘルシーだった。

昼食の間を利用して、客室のステイ清掃を頼んだ。いつも通り、ほとんど汚していないので1時間で仕上げてくれるよう頼んだが、不慣れな係は「通常の部屋より手間が掛かるので、1時間では仕上げられない」と遮った。慣れている係なら20分で仕上げてくれるのに。事情に明るいかそうでないかで、物事の運びに大きな差を生じさせるし、また一から説明するのは骨が折れる。

ロビーの装飾は、クリスマスからイメージを一転して、落ち着いた和のエッセンスを注ぎ込んでいる。シースルーエレベータが上下する壁面には、大きな凧が飾られ、松や竹の緑が鮮やかだ。だが、新年を盛り上げる演出やイベントは特に行われず、さりげなく年が明けた。

元旦のクラブラウンジは静かだった。いくつかの正月料理が雅な器で飾られており、おとそもある。そして顔見知りのスタッフたちが次々と新年のあいさつに来てくれ、そのままの清々しい気分で出発することができた。