ハイアット リージェンシー 東京 View Deluxe Room
Hyatt Regency Tokyo
2009.03.29(日)
東京都新宿区
哀-5

ベッド上の装飾
 
最善の定義 心地よい出迎えを受け、上機嫌で部屋に向かった。だが、まだ新しいビューデラックスルームの清掃は不十分だった。せっかくフロントでは「いつもありがとうございます」ととびきりの笑顔を向けられ、ヘッドコンシェルジュからも「到着時にお出迎えできず申し訳ありませんが、ごゆっくりおくつろぎください」とメッセージをもらったというのに、晴れやかな気分は、曇ったガラスと同じになってしまった。

この部屋のガラスは埃がこびりついて文字通り曇っている。細かい粒子が静電気で引き寄せられ、まるで水蒸気で曇ったように白くみえるのだ。これを長く放置すると、やがては落とすことが困難な汚れになる。そうしないためには、毎日の手入れが必要なのだが、まだ新しくて汚れが目立って掃除しやすいはずなのに、見落とされているとは困ったものだ。

それはそうと、この部屋を掃除した客室係の手を見てみたい。なぜなら、浴室金具や、引き出し、置時計に至るまで、手を触れたはずのところには、べっとりと脂汚れが残っており、その手こそが脂で汚れていたのではないかと思えたからである。

この状況からもうひとつ思い浮かぶのは、先客がインルームでオイルによるボディトリートメントを受け、施術者か受けた客が触れたものにオイルが不着したというシーン。本来ならそれが客室清掃の際に拭き取られてしかるべきなのに、通り一遍の清掃しかしなかったため、多くが見落とされたということかもしれない。

窓は内側も汚いが、外側はもっと汚かった。まるで泥水が撥ねたあとのようである。客室係の責任者を呼び、気になる箇所を再度清掃してもらったが、そのやり方を見ていて、これじゃ汚いのも納得。まるでパリスヒルトンがいやいや清掃を体験させられているような手つきで、汚れをそっとなぜなぜしているだけなのだから。もっと腰に力を入れてしっかり擦れといいたいところを我慢して、必要以上の時間を掛けてそれなりにキレイになるのを見届けた。

だが、窓の外側は客室係にはどうしようもない。後にコンシェルジュが調べたところによると、外装工事を請け負っている会社が作業の最後に清掃のつもりで行なったものの結果らしく、ホテルの窓がどうあらねばならないかを知らないがために、このようなひどい状態になっていたのだとか。これも納得といえば納得だが、これから工業地帯の暴風雨後みたいな窓を見ながら過ごすのかと思うと気が滅入りそうだった。

気を取り直し、ランチを食べに行くことにしよう。軽くサッパリとしたものが食べたかったので、日本料理「佳香」がよさそうだった。直接店に出向くことはせず、フロントに立ち寄って予約を頼んだ。係の女性は、そこにある館内電話で「佳香」に問い合わせたが、あっさりと満席と言われたらしく、それを聞いてすぐに受話器を置き、今聞いたコトを同様にあっさりと繰り返した。

なぜこのような子供の使い程度の仕事しかできないのだろう。そこにフロント責任者が来たので、今の経緯を説明し、どうにかならないものかと頼んでみた。しかし、彼もまた先ほどの女性とほぼ同じ。相手が何を言っているかはわからないが、目の前のフロント責任者が言っていることははっきり聞こえる。これから席があるかを尋ねたあと、「ああ、そうですか、いや、とんでもないです」と受話器を置いた。

「いや、とんでもない」とはどういうことか。「そこを何とかならないでしょうか」と、ウソでもパフォーマンスでもいいから突っ込むべきところだ。もちろん、ごり押しをするつもりなどない。係が全力を尽くしてくれれば、それ以上を望みはしないが、ここは引き際というには程遠い。こちらはというと、これまで繰り返し利用しており、ついでにいわせてもらえば、散々迷惑も掛けられてきたのだから、ちょっとレストランの予約で特別な融通を利かせてもらうくらいは当然だと思っているのである。

係には、それに見合うだけの特別な努力を見せて欲しかった。まさか店にいる客をどかしてまで席を用意しろとは言わない。最大限の配慮をしてくれればいい。それで席がなくても、努力をねぎらって礼をいう用意はできているのだ。だが、一人前のサービス人であれば、次善の策を提案し、その手配を率先して手伝うくらいの機転が必要である。

こうした思いとは裏腹に、カウンターの向こうの連中は、いとも簡単にリクエストに終止符を打つ。どうやら最善を尽くすという定義が違っているようだ。彼らは店に一本の電話を入れることを持って最善だと信じて疑わないのだろう。自らのプライドを掛けて、レストランの責任者と交渉しようなどという情熱はないのだ。だから、「なぜもう一歩踏み込まないのか」と問い質しても、「やるだけのことはしたつもりだ」と開き直って逆ギレされるのだろう。

話しているうちに心底、哀れに思えてきた。客に尽くし、信頼を得ることは、この仕事で最も大きな喜びのひとつなのに。それは、「佳香」の席が取れようと取れまいと、わずかな行動で手に届くところにあるというのに。まぁ、本人たちが興味ないというなら仕方がない。

結局「佳香」はやめて、中国料理「翡翠宮」に行くことにしたが、こちらはスムーズに席が取れた。この時、ちょうど「杭州 上海 東京 美食祭」なるプロモーションが行なわれており、あと数日で幕だというので、その特別ランチコースを注文した。西湖のほとりに佇むハイアットリージェンシー杭州より料理人を招き、本場の味を伝えており、全8皿のコースには杭州の名物料理が多数盛り込まれていた。

翌日の朝食は「おんぼらあと」にてブッフェ。和洋のアイテムが揃っているが、ブッフェ台が狭いため、いろいろな料理が入り混じっている感じだ。ちょっと面食らったのは、粥とワッフルが隣り合わせに置いてあって、餡だと思って粥に掛けたのがメープルシロップだと気付いた時である。予想外の香りと甘さが口に広がり、一瞬びびったが、これ、案外美味しいかも。

 
キングベッド1台のビューデラックスルーム ベッド以外の仕様はツインと共通 ベッドからデスクを見る

バスタブとシャワーブース ベイシン トイレ

おつまみを食べながら献立を見る 杭式涼菜?盆 龍井蝦仁

杭式東坡肉 海戦玄米炒飯 翡翠ワンタン

蟹黄小龍 杏仁豆腐 「翡翠宮」店内

工事中のコーヒーショップ前 4月オープンの「カフェ」の看板 外観

 ハイアット リージェンシー 東京(公式サイト)
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