2000.06.18
気が付けば・・・
センチュリーハイアット東京 Regency Club Room
喜-2

ふと考えてみると、最近このホテルはどんどん居心地がよくなってきているような気がする。なにかが劇的に変化したということでなく、しらずしらずのうちに進化して来たようだ。ここ数年は確かにさほど不愉快な事件もなく、かといって特別喜ばされるようなこともなく、期待通りの滞在をさせてくれているが、もう少し記憶をさかのぼってみると、あまりいい印象がなかったことが思い出されてくる。傲慢で人を威圧するような態度を死守していたドアマンは、日本で1,2を争うほどにホスピタリティがあって礼儀正しいチームに変わったし、お高くとまったような印象があって、なにかというとヒステリックにつっかかってくることが多かったフロント係は、謙虚で積極的な仕事ぶりを見せてくれるようになった。

客室のインテリアや設備は、決して特別な仕掛けがあるわけではないのに、想像以上の快適さを提供してくれる。しかも料金は手頃でロケーションだって悪くはない。高級シティホテルとしての設備とサービスをフルに備え、価格からの期待値以上の満足を常に与えてくれる数少ないホテルのひとつだと思う。

ただ、レストランにはもう一工夫が必要かもしれない。サービスや料理は悪くないのに、店の位置や性格付けをもうすこし考えた方がいいような気がする。それぞれの店の特徴やウリをもうすこしハッキリとアピールしてもらえると、宿泊していない時でも行ってみたいという気になれるかも。

以前、ルームサービスのパフェを1000円と紹介したが、いつのまにか1500円に値上げしていた。バラエティ豊かで魅力的なメニューなのだが、どうも高いという印象を否定できない。パフェとコーヒーを頼んで、税サを考えたら3000円近い値段になってしまう。ふたりでそれぞれ頼んだら6000円・・・

リストランテ「マキャベリ」

新国立劇場で日中のオペラ公演を鑑賞したあと、少し早めのディナーをとろうと思いタクシーの中から予約をいれた。10分以内に到着する旨を伝えその通りに店に入ったが、店先に従業員の姿はなくしばらく待った後に名前を確認した上で席に通された。予約した甲斐あって店内奥のコーナーの席に案内され、細長いつくりの店内全体を見渡すことができた。やや高めの天井にはオブジェのような照明器具があり、半オープンになったキッチンからの活気とともに個性的な空間をつくりだしている。テーブルにはクロスが掛けられ、ナプキンも小ぶりながらやわらかい布製のものを使っており、しっかりとした食事にふさわしい準備が調っている。

メニューはコースやアラカルトが記載されたグランドメニューの他に、大きな黒板に手書きされたオススメメニューが用意されている。グランドメニューを手渡すと同時に空いた席にその黒板を掲げて、なにを注文しようかとあれこれ迷う楽しさを演出している。この日は6000円のコースを注文した。アンティパスト、パスタ、メインディッシュをそれぞれ黒板に書かれた本日の料理よりチョイスする仕組みだが、選択肢はそれほど多いわけではない。デザートは後からテーブルまで見本を持って来てくれるので、実物を見てからチョイスできる。

ワインリストはスッキリとまとまっており、リーズナブルなものを中心にツボを押さえた品揃えだ。サービスに関しても素朴ながらよく気が付き、快適に過ごすことができる。料理の味は、どちらかというと日本人の舌を意識した大衆受けする味付けで、インパクトはないが不足もない感じ。この手の味はやもすると数度通ううちに飽きてしまいそうだから、リピーターを獲得するには頻繁なメニューの入れ替えが必要かもしれない。

また、価格的には内容の割にやや高いという印象を受けたが、ディナー割引優待付き宿泊プランや会員割引、ポイントカードなど、ディスカウントや還元を前提とした高めの価格設定がなされている可能性が高い。各種割引を賢く使ってオトクに利用したほうがいいようだ。軽く冷えたフレッシュな赤ワインを飲みながら、気のおけない友達とともにその日のオペラのストーリーやそれぞれの歌い手の話題をサカナに楽しい時間を過ごすにはピッタリの環境だった。

2000.07.25
大都会に抱かれるホテル
センチュリーハイアット東京 Guest Room
喜-3

使いやすい室内

センチュリーハイアットは最近お気に入りでよく利用しているが、L字に折れたホテル建物の内側に位置する客室に宿泊したのは今回が初めてだった。外側を向いているスーペリアタイプ(最近ではビュールームと呼ぶようになった)が33平米あるのに対し、内側のスタンダードタイプ(同じくゲストルーム)は29平米とその差はわずか4平米だ。客室の横幅は両者とも同じなので奥行きだけが異なっているのだが、レイアウトに違いがあるからか印象はかなり違う。インテリアのテイストはまったく同じでバスルームもほぼ同等だ。こちらの方がコンパクトにまとまっているもののラブチェア以外の設備はすべて備わっているので、ひとりで利用するにはかえって使い勝手がよいかもしれない。個人的には結構好きなレイアウトだ。

しかし、もっとも差を感じたのは室内よりも外の眺めだった。外側の客室でも公園側と都庁側では開放感がまったく違ってくるが、内側も目の前には高層ビルが立ちはだかっていて、都庁側同様窮屈な印象だ。その辺を気遣ってだろうか、ネット経由でゲストルームの予約を入れて行っても、いつもフロントで「広いお部屋にも空きがあるのでそちらにしませんか?」とすすめられ、いままで利用しそびれていた。今回も同じように広い方をすすめてくれたのだが、一度狭い部屋にも泊まってみたいと言ってそのままにしてもらった。

広い部屋には開放感があって、思い切り羽根を伸ばしたりしてリラックスできるのがいいけれど、たまには膝を抱えてひとり静かに過ごすリラックスが必要な時もある。考え過ぎて寂しくなっても、窓の外には大都会。それにエレベータを降りれば燦然と輝くシャンデリアや行き交う人たちがある。自分を見つめ直したい時にふと訪れてみたい客室だった。

窓に向いたベッド テレビと荷台

日本料理「賀茂川」

久しぶりに「賀茂川」で朝食をとったら、以前の印象とは随分とちがっておいしかった。かつて肝心なゴハンがイマイチだと感じたのだが、今回はおいしく炊き上がっていた。前回干からびたような(干物じゃないのに)冷たい焼き魚が出ていたのだが、今回はふっくらとしておいしかった。アトリウムを見下ろす一番奥の席に座ったのだが、和服姿の従業員とシャンデリアの両方を眺めるというのもなかなかおもしろいと思った。サービスもなかなか快適だった。

2000.11.02
ゆでタマゴ
センチュリーハイアット東京 View Room Park Side
喜-2

那覇から最終便で帰ってきたのだが、東京が大雨だとかで機材の到着が遅れたあおりで出発が遅れた上に、乗った飛行機も羽田の天候が安定しないという理由で旋回を繰り返し、やっと着陸した時は23時半を回っていた。定刻ならば最終のリムジンバスに間に合う計算だったが、どうあがいても間に合わない時間になってしまった。タクシーを使おうかとも考えたが、なんとなく飛行機が遅れたツケを自分で負担するのがバカらしく思え、たまにはいいかと臨時便のモノレールで浜松町まで出てみた。

たまたま到着ゲートに立っていた係に、そのモノレールに乗るとその先はどこまで行く最終に間に合うのかと質問してみたところ、急ぎ足で歩くぼくの歩調に合わせて横に付き添い、こと細かく説明をしてくれた。遅れにつぐ遅れで苛立ちを禁じえない気分であったが、彼の誠実なアドバイスのお陰でそんな気持ちはいつのまにかクールダウンしていた。浜松町からはJRに乗り継いでホテルに着いたのは午前1時過ぎ。2日間の講座よりも、空港からホテルへの移動の方が体力の消耗が大きかった。

チェックインして部屋に上がってみると狭いゲストルームで入れた予約が、ビュールームにアップグレードされていた。しかも眺めのよい公園側の客室だった。深夜で森の緑は感じられなかったが、公園の向こうに広がる武蔵野の住宅地の夜景が美しかった。部屋を見回してみると、ちょっとずつ手が加えられつつあることがよくわかる。空調のコントロールパネルが液晶表示付きの使いやすいものになったり、以前箱に入っていた歯ブラシがビニールパッケージに変わったり。この客室にはちいさなインルームFAXが設置されているが、高速インターネット回線は来ていないようだ。

清掃状況は大変素晴らしく、真鍮の部分もそれらしい輝きを放っていた。ゴールドパスポート会員向けに、セルフサービスのコーヒー・紅茶とパンをサービスコーナーに用意してあるが、それとは別に追加料金1,500円を支払うことでフルーツをつけてルームサービスをしてくれるようになったようだ。実際に利用はしなかったので、詳しい内容とシステムはわからないが、パンフレットによればさらに200円追加するとゆでタマゴを1個つけてくれるらしい。

Y.K.