ハイアット リージェンシー 東京 Ambassador Suite |
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Hyatt Regency Tokyo |
2008.12.27(土)
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東京都新宿区 |
怒-3
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バキュームノイズ | 今年最後の土曜日は、素晴らしい晴天に恵まれた。どこか遠くへ行って、裸足で砂浜や草むらを歩きたい気分だったが、今日も都心にとどまることになっていた。宿泊はハイアットリージェンシー東京。いつもならロビー階にあるフロントカウンターでチェックインするのだが、今日に限って9階にあるリージェンシークラブのレセプションデスクに直接向かった。
そこまで荷物を持って同行したのは、実習生のバッジを付けた若い女性だった。丁寧なサービスを心掛けているようだったが、そこから何も伝わってこない。人のこころに響くサービスの難しさを改めて感じさせられた。 クラブのレセプションデスクは、先客で埋まっていたので、しばらくラウンジ内で待つことになった。それほど時間は掛からないだろうと踏んで、飲み物などを取らずに、ただ座って待った。程なく、係が呼びに来て、またレセプションへと戻り、チェックインが行われた。 その間、レセプション前にある廊下では、客室係が掃除機を掛けていた。業務用の掃除機なので、その作動音はかなりのものだ。数メートル離れたところで作業をしていたのだが、チェックインを担当している係の声がよく聞き取れないほどであった。掃除機の音がうるさいと文句を言ったが、それすら聞こえなかったらしい。だが、仮に聞こえなかったにしても、客が不満そうな表情をしていたら、そこから何かを察知できるはずである。 その時、レセプション付近には、5名ものスタッフがいた。にもかかわらず、そのうちの誰一人として掃除を中断させようとはしなかった。客が目の前にいて、到着の手続きをしている最中である。掃除など後回しにするのが礼儀のはずだ。なのに平然と掃除機を掛け続けるのは、礼儀を示すには値しないと言われているも同じこと。そんな扱いを受けるなら、金を払って泊まる気にはなれない。そう言って帰ろうとしたら、係はキョトンとしていた。 次いで、若いマネジャーが軽いタッチで謝ってきた。それがかえって神経を逆撫でした。おそらく、事態が飲み込めていなかったのだろう。それがわかるくらいなら、最初から掃除を中断させていただろうから、何が怒りを買ったのか、理解できなくても不思議はない。だが、それではお粗末である。 こんどはアシスタントマネジャーが謝りに出てきた。顔を見ると、タクシー乗り場の一件で、正面にタクシーを呼ぶことを拒否したドアマンの行為を正当だと言ったマネジャーである。後に、別のマネジャーにこの件を話したら「当然、ご要望があれば、タクシーを正面に付けてご乗車頂いていたものと思っておりました。お恥ずかしい限りです」と言っていた。同じホテルでも、考え方にひらきがあることを垣間見た一件である。 それはそうと、出てきたアシマネは、肩をゆっさゆっささせながら、またも高圧的な態度をにおわせていたが、むしろここで開眼したのは若いクラブマネジャーの方であった。次第に態度が真面目になり、深く頭を下げ非礼を詫びていた。もう客の目の前で、掃除機を掛け続けることはないだろう。 今回利用した客室はスイートフロアにあるアンバサダースイート。2009年1月から、とうとうスイートフロアも改装に入ることになったとのことで、今回が旧来のインテリアとしては見納めになる。 同じタイプは、以前にも利用したことがあるが、それは都庁側だった。そちらは家具はマホガニー調で壁紙はベロアだったが、今回利用した公園側は白塗りの家具に、ダマスク柄のシルク張り。それぞれに個性があるが、トータルで見ると、白系の方が開業当時のセンチュリーハイアットのイメージに合っているように感じられる。 室内は、大きく分けてリビングとベッドルームの2室構造。エントランスを入ると、やや広めのホワイエがあり、コート掛けやゲスト用クローゼット、コンソール、カーペット敷きのゲスト用トイレが設置されている。天井にはクリスタルを使ったシーリングライトがあり、そこから放たれる光条がプロミネンスのようで美しい。 続くリビングルームは40平米程度の広さだろうか。ひときわ目をひくのは、中央に下がる大きなシャンデリアだ。しかし、こうした華美ともとらえられる装飾は流行遅れとされ、最近は撤去される傾向にあるのが残念。手入れも面倒だろうが、グランドホテル的なムードを感じさせてくれ、演出効果は高い。 広い空間には、大きなソファセット、2名用のダイニングセット、テレビキャビネット、ミニバーキャビネットをゆったりと配置している。テレビは28インチのワイドブラウン管型で、DVDコンポも備えている。ミニバーの冷蔵庫には、ビール、ミネラルウォーター、コーラ、ジンジャーエールが入っているが、すべてビンで用意され、無料。だが、一般の部屋に用意されているアイテムは置いていない。 窓は大きく、バルコニーも備わっている。日当たりがいいので、ずっしりとしたドレープは日焼け気味だ。カーブした天井にはシャンデリアの他に、ダウンライトが設置されているが、電球型蛍光灯を使っている。シャンデリアはオン・オフのみで調光不可だが、ダウンライトの方には調光機能がある。しかし、電球型蛍光灯では調光機能は使えないので、無駄になっている。であれば、シャンデリアと配線と換えて、シャンデリアを調光可能にすればいいのに、知恵が足りない。 また、サイドテーブルに載っているスタンドは、足部分がオニキス製で、その中にスモールランプが仕込まれているので、オニキスを透かした光がいい雰囲気を醸している。天井高は290センチと高く、開放的なリビングルームである。 続く寝室には134センチ幅ベッドが2台並び、デスク、アーモア、背もたれの高いソファをひとつ配している。ソファにテーブルは添えられていない。また、壁にはタペストリーが掛かり、重厚感を生み出している。そして、空調の吹き出し口が窓の上にあるので、とかく寒くなりがちな窓際でも、快適な室温が保たれているのがいい。 ベッドルームとバスルームの間には、ドレッシングルームがあり、クローゼットとドレッサーを設置。収納スペースも十分に用意されている。バスルームは、設備としてはいささか古いが、インテリアはユニーク。青いタイルと金色の金具類、そしてクリスタルのブラケットが、高い装飾性を感じさせる。床とベイシンにはノルウェー産のパールブルーの天然石を使っている。 バスルームの面積は6.3平米。工夫すればシャワーブースも十分に設けられる広さだが、シャワーブースはなく、浅くて長いバスタブとダブルベイシンを配している。バスタブの水深を測ってみたら、30センチだった。アメニティはモルトンブラウン、タオルは3サイズが4枚ずつ用意されている。 全体にレトロな感は否めないが、それはそれで深い味わいとなって、居心地のよさを感じさせてくれるスイートだ。きっと大改装されれば、すっかりモダンに様変わりしてしまうことだろう。新しい部屋は便利で先進的であるに違いないが、この上質感が引き継がれることはない。20世紀のホテルデザインを象徴するような、この111.9平米の別世界。この一晩で目に焼きつけ、肌にしみこませておきたいと強く思った。 |
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ハイアット リージェンシー 東京(公式サイト) | |
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