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ANAインターコンチネンタルホテル東京 Corner Suite | |
ANA InterContinental Tokyo | 2010.07.17(土) |
東京都港区 | 哀-4 |
ARCHIVES ・ 1992 |
ロマンスのない部屋 関東地方はやっと梅雨明け宣言。週末に予約してあったANAインターコン東京には屋外プールもある。東京の真夏を満喫するステイが期待できそうだ。 それにしても、このホテルがインターコンチネンタルになったことには、今なお違和感がぬぐい切れない。館内のインテリアはインターコン風になり、表示にも世界中で見慣れたマークが使われているのにである。 他のストリングスやクラウンプラザは割とすんなり受け入れられたのだが、ここだけはまだ「東京全日空ホテル」の残り香が強い。というか、東京全日空ホテルのままでいて欲しいという願望がそう感じさせるのかもしれない。 ダイナミックなアトリウムロビーも、開業当時とはずいぶんと雰囲気が変わってしまったが、やはりエアライン系ホテルらしいシャープな意匠はあちこちに残っている。いくら美容整形を重ねても、生まれ持った本質はなかなか変えられないのと同じなのだろうか。 さて、この日はロビー階の正面玄関に到着した。ドアマンの顔には覚えがなく、こちらのことも認識していないらしい。チェックインはクラブラウンジのレセプションでしようと思っているのに、特に何かを尋ねられるでもなく、半ば当然のようにしてフロントカウンターへと連れて行かれそうになった。 フロントへ至るよりも先に、顔見知りのスタッフと長年馴染みのマネジャーとが気付き、すぐに近寄って来てくれた。歓迎の意を表するということがいかに大切か、そして人が醸すものがどれほど場の雰囲気を左右するかを実感する瞬間だった。 再会の挨拶を交わした後、マネジャーにより直接部屋へと案内され、そのままインルームチェックインが行われた。このまま部屋でくつろぐのもいいが、せっかく久しぶりに顔を合わせたので、その足でクラブラウンジへと向かい、しばらく歓談。ベテランのマネジャーとの会話はとても刺激的で楽しいものだった。 今回の客室はクラブフロアにある65平米のコーナースイート。特に広くもなく、まったく立派でも豪華でもないのだが、このホテルの中ではマシな部屋のひとつとされている。 リビングルームは主に、L字型のソファとイステーブルセット、テレビキャビネット、ミニバー、ワークスペースで構成される。シンプルでスッキリしているといえなくもないが、むしろ退屈で気が沈むという印象の方が強い。 色彩も平板。そこに加えて照明がひどく平板。しかも、品質のよいものがまったく使われていないので、感性に触れる要素がひとつもないのである。ここは単なる64平米の部屋なのだ。 床はベッドルームまでずっと同じ退屈なカーペットが続いている。そして、ドアを入ってすぐのところには、ワークスペースとミニバーがある。 ワークデスクは大型。背後には整理棚や引き出しがあるが、装飾性に欠ける。何か、気の利いたオブジェのひとつでもあればいいのだが。 ドア脇のバゲージ台は、一部が窪みに隠れてしまっている。こうした細部にデザインの配慮が行き届かないのは、全体を通じて考え抜かれていないことの表れだと受け止められる。 ミニバーには上品な茶器セットが置かれ、小物としてはこれが一番目を引いた。下段にはミニボトルやスナックを収めた引き出しや冷蔵庫がある。 グラスやマグカップも引き出しに収納されており、底の赤が黒に映える。グラスの種類は、もう少し豊富である方がいい。 ウェルカムフルーツはなかなか気が利いている。小さな風呂敷包みになっているのは金平糖だ。果物はナイフフォークを使わなくても手づかみで食べられるものばかりなのがいい。 窓からの景色はオークラ越しに東京タワーの上半身を望む。周囲には高層ビルが急増しつつあり、いずれこのホテルも、ビルの林に呑み込まれてしまうだろう。 ベッドルームも、インテリアとしてはわけがわからない仕上がりでしかないのだが、寝具の心地よさはなかなかのもの。デュベの適度な重さや、ベッドリネンの肌触りがとてもいい。 ベッドの配置は明らかに設計ミス。ツインルームなのに、ナイトテーブルとランプがそれぞれの右側になるなんて、どう見てもアンバランスである。ベッド脇にあるクローゼットも狭くて使いにくい。 またベッドルームの窓脇にあるスペースには、何も置いていない。まるで泥棒に何かを盗まれたような感じなので、イスとテーブルくらいは置いた方がいい。 ベッドルームとリビングルームの往来は、テレビキャビネットの両脇にある2か所のスライドドアを使う。バスルームへは、ベッド前のスライドドアから通じている。 バスルームは、ベイシン室、独立した個室トイレ、シャワースペース付きのウェットルームからなっている。ベイシンはダブルで、ボウル型ベイシンを使っている。下は棚になっており、タオル類などが置かれている。 シャワースペース付きウェットルームは、あまり広くない。バスタブは幅が狭く、水深も浅いので、あまりくつろいだ感じがしない。壁面に取り付けられたテレビは、引き出して角度を変えることができて便利だ。 シャワースペースもまたあまり広くはない。そして、壁面、床面ともに同じ素材で仕上げられているのも退屈だ。照明にもっと工夫が欲しいことも、居室同様である。 シャワーヘッドは上部の固定式と、下部のハンドタイプ、加えてボディシャワーが設けられている。これを見る度に思うのが、なぜこんなものを選ぶのかということ。ハンドシャワーはとにかく使いにくい。フックが低い位置に一箇所しかなく、角度すら調節できない。 上部のシャワーヘッドも大嫌いだ。水流が細く、痛くて仕方がない。もっと上品で心地よい水流を放ってくれるシャワーは他にいくらでもあるのに。これを心地よいと思う程度の人が作った部屋ならば、さほど快適でないのは当然かもしれない。 バスアメニティは「REN」。タオル類は今治タオルの製品を使っている。良質のコットンならではのあたたかな肌触りが素晴らしい。この審美眼が、部屋全体、そしてホテル全体に浸透することを切に願う。客室の清掃、ターンダウンのクオリティは文句なしだった。 クラブラウンジは悲惨な状態だった。軽々しい洋楽がガンガン鳴り響く中、マッサージコーナーに備え付けのテレビでバラエティ番組を大音量で見ている客がいたり、遊び場よろしく駆け回る子どもを野放しにする客がいたり。フードサービスの時間には、配給のように群がる客たち。これが高級ホテルのラウンジだろうか。恐ろしい。 レストランは数軒利用した。味は悪くない。サービスに当たる個々のスタッフの感じも悪くない。だが、全体にはどこか客をさばくような雰囲気が漂っている。店の都合で客を振り回し、我慢を強いる光景が多かった。これは航空会社系ならではの気質だろうか。食事中は、まさに長時間のフライトで窮屈な思いをしている時のあの感覚だった。 アウトドアプールはガラガラだった。なぜなら肌寒く、強風が吹いていたから。せっかくの梅雨明けだが、夏を満喫することはできなかった。 |
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