イベント三昧の年越し |
2007.12.31(月)
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ANAインターコンチネンタルホテル東京 Superior Room | |
ANA InterContinental Tokyo |
楽-5
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大晦日をどのホテルで過ごすか、毎年大いに悩むところだ。新しい外資系ホテルは、客室こそ魅力的でも、暮れや正月だからと言って特別な催しにはあまり積極的ではない。だが、どうせなら日本らしいお正月気分を掻き立てる演出に気合いを入れているホテルに泊まった方が、いつもとは違った滞在を楽しめるというものだ。
東京の場合、その代表格は元祖御三家ホテルに加え、京王プラザ、パシフィック、パレス、ロイヤルパーク、各プリンスなどが挙げられるが、今年は元全日空ホテルを選んでみた。ANAインターコンチネンタル東京とリブランドしてはいるが、その本質は今でもバリバリの全日空ホテルであろうと信じて、かなり早い時期に予約を入れておいた。 到着はスムーズだった。ロビーには華やかな正月飾りが施され、今にも祭りが始まりそうな雰囲気。この時期は正月プランで連泊して、家族ぐるみでのんびりとくつろぐ客が多い。正月プランなら食事からイベントまで丸ごとパッケージになっているが、値段は割高だ。日頃考えたり決断することの多い立場の人には、脳みそを正月休みにしても差し支えのないところが、高額なのに人気のヒミツかもしれない。正月でも自分で考えてチョイスする派の人は、ホテルの海外サイトから予約すれば、通常のルームチャージで利用できるし、運がよければお得な割引レートも見つけられる。 マネジャーに出迎えられ、スムーズにチェックインが済んだ。案内された客室は東京タワー側の32平米スーペリアルーム。インターコンチネンタルになってから、クラブフロア以外を利用するのは初めてだ。これまで清掃状況には散々苦言を呈してきたが、今回はとてもよく行き届いている。カーテンやガラス部を隅々まで見たが、概ねキレイだ。 すでにウェルカムアメニティが用意されおり、見ると大好きな山盛りブルーベリーの他、不知火デコポンや金柑など、なかなか気が利いている。風呂敷風の赤い布に包まっているのは金平糖。他に、チョコレートやフラワーアレンジメントなど、到着の気分を更によくしてくれる内容だ。 この部屋は比較的初期に改装されたタイプだが、オーソドックスなレイアウトで使いやすい。入口脇の折戸がクローゼットだが、ここが開いている時に客室扉を開けるとぶつかってしまうのが難点。そして、クローゼット内もあまり広くはない。そこにアイロンだのなんだのと細かいものが収納されているので、最初からゴチャゴチャしてしまっている。だが、クローゼット脇やデスク脇を合わせると10の引き出しがある点はポイントが高い。ミニバーも入口付近に設置している。 居室は幅が広く、ベッドとデスクとの間にも余裕が感じられる。天井高は270センチあって、壁と天井とで色を変えてある。ベッドは115センチ幅が2台並び、インターコンになって寝具やベッドリネンは新調されたが、マットレスは以前のままだ。 窓際の三角形に張り出した部分がちょうどシッティングスペースになっていて、テーブルを挟んでふたつのアームチェアが置いてある。クラブフロアのベンチや、壁に沿って置かれたラブソファの部屋よりも、この方がずっと使いやすい。デスクも壁向きのシンプルなものだが、不足はない。空間を有効に使うには、オーソドックスなレイアウトが一番優れているといういい例だ。工夫をするなら材質やデザイン性で競ってもらいたい。 バスルームは160×220センチのユニットで、インターコンになってからシャワーヘッドが交換され、ベイシン脇に照明付きバニティミラーが取り付けられた。あとはアメニティが変わった程度で、大きな変化はない。ターンダウンも実施されるようになったが、クラブフロアでないからか、簡易的で粗雑だった。また、満室状態だからか、バスタブカランの給湯が非常に遅かった。 しかも、タンクの底まで水位が下がっていると見えて、赤水寸前の湯が出てきた。混雑する日の午後11時過ぎにバスルームを利用するのは、避けられるものなら避けた方がいい。 多くのホテルでは、暮れや正月に便乗して、レストランを特別メニューオンリーで営業するという阿漕な策に出る。オペレーションをシンプルにして、混乱を避けるためと言いながら、本当はここぞとばかりに稼ぎたいのだろう。それは構わないが、身の程をわきまえて欲しいと思うこと、が少なくない。普段からアルバイト中心で回しているコーヒーショップでフルコースディナーなど出しても、ろくな結果にはならないのだ。 だが、このホテルは比較的良心的だ。大晦日だからと言って普段のメニューを中止したりはせず、ほぼ通常営業をしている。それでも、味はいつもより落ちる印象だった。夕食は「カスケードカフェ」で4,200円のオススメコースを注文。かまぼこみたいなテリーヌ、牛乳の味しかしないキノコのポタージュ、ゴムみたいな肉にすっぱいソースを掛けたステーキ、パサパサに乾いたムースとシャーベットという内容。サービスはにこやかだったが、ちょっと店の選択を後悔した。 それよりは地下1階のバンケットをフルに使った正月イベントの方が面白かった。宴会場ごとに様々な催しがあり、子供用のゲーム、囲碁ルーム、なんちゃってカジノ、卓球ルーム、伝統工芸の実演など、老若男女問わず楽しめる。そして、大宴会場には縁日よろしく屋台が並び、バンケットスタッフたちが、焼きソバやたこ焼きを作ったり、ヨーヨーすくいのおじさんに扮したりしている。これらは正月プランの客でなくても、5枚1,000円のチケットを購入すれば誰でも楽しめるようになっている。 23:30からはロビーで天満敦子さんや行天祥晃さんによるコンサートが開催され、集まった人にはスパークリングワインが振舞われたが、せっかくの演奏なのに、PAが悪いし、バラエティ番組みたいな司会が下品なのが残念だった。最後まで見ていると、一斉に部屋へ帰る客でエレベータが混雑するので、一足先に退散。 翌朝は、獅子舞や出初式が行なわれ、ロビーの正月ムードは最高潮に達した。やっぱり、ここは今でも日本人の作った全日空ホテルである。 (2009年の正月は、イベントが大幅に縮小されるとのこと。すでに予約したというのに、いやはや残念・・・) |
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ANAインターコンチネンタルホテル東京 | 980103 020216 030817 041102 040612 040821 050428 050505 050828 051227 060430 060811 060815 060824 070506 070805 070904 |
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