そんなビューバスがある部屋は、各フロア01、04、21の3タイプ。今回利用した04タイプは、クラブフロアには3室しかない希少で人気のある客室である。とても眺めのいいバスルームだが、いささか狭いのが難点。特にベイシントップが狭く、どうにかして棚を増設してもらいたいものだ。シャワーブースやトイレも、狭いスペースに無理に詰め込んだような印象があり、もう一歩工夫を凝らして欲しかった。

窓自体は大きくないが、バスタブに浸かっても十分に視界が確保されているのがいい。ホテルによっては、せっかく大きな窓に沿ってバスタブを配置しているのに、バスタブの縁を高くしてしまい、バスタブに浸かると空しか見えないという構造になっていることも少なくない。やはりビューバスは、バスタブに浸かった時の眺めが肝心である。

もうひとつ残念なのは、バスルーム内の照明が蛍光灯であること。せっかくの夜景を十分に楽しむには、調光可能な白熱色の照明が望ましい。ベストロケーションにあるだけに、こうした工夫の不足がもったいないバスルームだ。

だが、今回の宿泊はビューバスよりも、食べ放題が主目的である。特に、閉店が間近に迫った「エイジアンテーブル」のランチブッフェは、ぜひもう一度利用しておきたかった。平日の開店時間直後なら予約はいらないだろうと踏んでいたが、甘かった。開店と同時に入店したのでかろうじて席は確保できたが、ほとんどの席が予約済みだという。

その後間もなく席は埋まり、開店5分後にはブッフェカウンターに長蛇の列が生じていた。皆、順序良く並ぶのが習慣なのか、それをマナーだと勘違いしているのか、オードブルの方から行儀よく一列に並んでいる。反対側にあるホットフードやフォーのコーナーはがら空きだ。

それならばと、空いているところから先に取り分け、温かい料理をベストな状態で味わった。それが食べ終わる頃、ちょうどオードブル付近の行列が解消したので、今度はサッパリとした冷製料理を取り分ける。順序は入れ替わるが、こうすれば並ぶ必要がないし、マイペースで食事を楽しめる。ブッフェでは、並ばずに空いているところを狙うのが鉄則だ。客層は女性だけのOL組と男性だけのリーマン組に、なぜかキッチリ分かれていたのが面白かった。

店内はアジア風の布や雑貨で飾られているが、よりアジアの情緒を感じさせてくれたのが、インドネシア人スタッフの発音だった。例えば「フォー」や「ブン」といった麺類の呼び名ひとつとっても、日本人がカタカナ読みするのとはかなり違うエキゾチックな響きなのである。作り物の装飾よりも、ホンモノの文化や習慣が与えるインパクトの方が、はるかに強烈だった。

夕食には「ブルーベランダ」のブッフェを利用した。2月の平日。それだけで客が少なく閑古鳥なのは想像付くだろう。ヒマなブッフェほど悲惨なものはない。いくら内容が充実していても、長い間並んだままだった料理は当然美味しくないのである。回転寿司なら、流れてくるのが干からびていても、カウンターに一声掛ければ握りたてが出てくる。

だが、ブッフェではそうもいかない。きっと出来たてはもっと美味しそうなんだろうなと想像するばかりで、一向に手が出なかった。そんな中、グリルミートのカットサービスだけはまあまあだった。