2000.01.02
基本
ホテルインターコンチネンタル東京ベイ Club Deluxe Room
楽-1新しいミレニアムをホテルで迎えたという人も少なくないだろうが、最近では正月をホテルで過ごす人たちの滞在日数が年々短くなってきているようで、1月2日にはすでに混雑というほどの雰囲気はなかった。いつもと違う点といえばロビーに正月飾りが置かれ、振り袖姿の従業員に出迎えられることくらい。それでも、華やいだ活気が十分に伝わって来たのは、従業員たちの気持ちがあればこそだろう。
クラブフロアのサービスも日を追う毎にスマートさが増してきた。しかし、一方では基本的な部分でのトレーニングが不足しているようにも感じられた。ラウンジでテーブルから済んだ皿を下げる際、まだゲストが在卓にもかかわらず、トレーに載せる以前に卓上で皿を重ねるバトラーがいるが、それがタブーであることすら彼は知らないようだった。また、制服がかなり汚れており不潔な印象もある。朝食時はテーブルに注意が行き届いておらず、サービスに出来不出来が生じていた。
もちろん、彼らにはいいサービスをしようという気持ちはあるのだが、その手法を習得していない。十分なトレーニングをすることなく、彼らにすべてを任せてしまうのはとても危険なことだと思う。随時マネージャーが目を見張り、必要なアドバイスを与えるべきだと思った。更に、このラウンジでは、ラウンジ内にゲストが入ってきても、従業員が不在というケースが多すぎる。慣れていれば少々待つことも苦痛にならないが、これから顧客になろうとするゲストに「どうなっているんだろう?」という不安を感じさせているのも事実なようだ。
客室内はほとんど問題なく快適だった。清掃は行き届いており、ターンダウン時の作業も質が高い。ところが、最近はシャワーの湯温が安定せず困惑している。ちょっとくらい変動するのならいいのだが、急に冷水になったり、熱湯になったりと幅があり過ぎる。ミニバーについては、パークハイアットが値下げに踏み切った今では、日本一高額ではないかと思われる価格設定になっているが、最近になって内容が変わりミニボトルの類が激減した。
バスルームの一輪挿しが無くなってから久しいが、段々と簡素になっていくのはやはり寂しい。でも、ラックレートはまたしても値上げされた。
2000.01.08
ゆとり
ホテルインターコンチネンタル東京ベイ Club Deluxe Room
楽-2正月2日に訪れた時よりもホテル全体が更に閑散としており、この頃がおそらく一年中で最も落ち着いている時期だと思われる。真面目で気さくなドアマンが、世間話をしながら20階のラウンジまで荷物を持って同行してくれ、いつにないゆとりが感じらせた。ラウンジでは窓際で本を読み耽る人や、穏やかに語り合う夫婦など、思い思いの時間を過ごすゲストがポツリポツリと見受けられる程度で、いつもの賑わいとは対照的な空気が流れていた。
デラックスルームは天気がよければ、冬でも暑くて仕方がないくらい日差しが入るのだが、この日はあいにく曇天で、まるで別の部屋のように雰囲気が違っていた。比較的窓が大きいとはいえ、奥行きのある室内なのに照明器具は少なく、薄暗い印象がより強まってしまう。ホテルで過ごす場合、眺めはもちろん大切だが、日照も同じく重要であることを再認識した。
このホテルに宿泊するなら、ぜひベイビューの客室を選びたい。リバービューサイドでも都会的な景観が楽しめるのだが、日差しが得られないし、どうがんばってもベイビューの圧倒的な開放感にはかなわない。夜寝るだけの宿なら別だが、リフレッシュを期待するなら差額の価値は十分にあると思う。
大好評のランチブッフェに再度出掛けてみた。この日は成人の日だったが、通常通り月曜日のランチを実施していた。1,600円でカウンターに並ぶ屋台風の麺とタイ風カレーの他、ちょっとしたオードブルサラダやデザート、コーヒーまでが食べ放題だ。麺は、太麺と細麺を選んで湯通ししてもらい、鶏がらスープを掛け、あとは好みのトッピングをするのだが、さっぱりとした味付けにしたり激辛にしてみたりと、アレンジが可能。カレーは2種で、品数は多くないが、1,600円分は十分に楽しめるブッフェだ。サービスも安定し、非常に快適だった。こんなお手頃な注文をして、ここまで構って頂くとは、申し訳ないくらい・・・
2000.01.26
川の流れのように
ホテルインターコンチネンタル東京ベイ Club Deluxe Room
楽-4宿泊前日に電話を入れ、到着予定時刻を午後1時ごろと伝えた。すると、「かしこまりました。出来るだけ早くお部屋を仕上げてお待ちしております。」という表現の返答があった。その様子から、混雑しているのかと感じたので、そう尋ねてみたところ、前夜は満室だとのことだった。今回は慌てて部屋に入る必要はないから、部屋ができていなければ食事にでも行くので、そう焦らなくても構わないと伝えておいた。
当日、午後1時に到着するとすでに客室は用意されており、サインだけのチェックインはすぐに完了した。車寄せに到着してから実に2分と掛かっていない。この「流れを遮らない」というだけのサービスが、ぼくには実にありがたい。特に頭がシゴトモードになっている時は、余計なことに神経を使ったり、気を散らされたくないからだ。仕事の流れの中にホテルステイがある場合、ビジネスサポートがしっかりでき、「流れを遮らないスマートさ」を持つホテルを選ぶのが絶対条件だ。それが実現できるホテルはまだまだ少ない。
飲み物でもと勧められたのでラウンジへ入ると、数組の外国人を含んだビジネスマンたちが熱心に話し合いをしている。日差しに映える東京ベイの景観と、エネルギッシュなビジネスシーンが溶け合って、なんとも都会的な場面だった。
客室は打って変わって完全なプライベート空間。慌てて清掃したとは思えない清潔さにも目を見張るが、「人の気配」がまったく残っていないのがうれしい。その空間に現在人がいなくても、しばらく前に慌ただしい空気があったならば、それが残っていて落ち着かないことがある。言葉で伝えるのは難しいのだが、コンサートがはねて、だれもいなくなった会場に行く機会があれば、理解してもらえると思う。
こうして室内ではプライバシーが保たれ、自分だけの空間が確保できながら、扉の外には、心強いサポート体制が整い、気兼ねなくお願いできるホテルはめったにない。ぼくにとって、このホテルが最初からそうであったわけではなく、長い付き合いの末に得たものだ。あちこちのホテルに泊まるのも楽しいが、たとえ細くとも、長い付き合いのホテルも持っていたい。
10ヶ月ぶりに訪れた「ラ・プロヴァンス」。7名での会食のため、9,000円のコースと個室を用意してもらった。スタートはルイロデレールクリスタル。リーズナブルなコース料理にはアンバランスだが、初めてお目にかかる方々に敬意を表する意味で、個人的に用意させてもらった。というか、実を言えば、お昼間にただなんとなく「クリスタルでも飲みたいなぁ」と口を滑らせたら、席についた時点でもうすでにクーラーに入って置かれていて、「それでは、まずはじめに、こちらルイロデレールクリスタルをご用意いたしました」なんてアピールされてしまい、いまさら「要りません」とも言えなかったというもの。
その後はタイミング良く料理が提供され、それに付随するサービスも申し分なかった。料理そのものは果たして9,000円の価値があるかどうか疑問だが、その場の雰囲気などを考えると、そんなものかもしれない。女性の皆さんに喜ばれたのはワゴンサービスのデザートだった。数種のケーキとアイスクリームやシャーベット、そしてフルーツなどがワゴンに盛られ、この日初めてのお目見えだったため、ケーキにも傷のないホール状でサービスされたのが、評価されたようだ。
ワインは手頃なヴォーヌロマネを選んだ。途中渋谷氏が顔を見せてくれ、その際ワインの解説をしてくれた。作り手の話題を中心に、ワインを知らない人でも興味を持てるようなわかりやすい説明があり、ワインの味が何倍にも増した。
2000.06.25
浮気の代償
ホテルインターコンチネンタル東京ベイ Club Deluxe Room
哀-1よそのホテルばかりに泊まりに行っていたら、お気に入りだったはずのこのホテルに宿泊する機会が減ってきてしまった。頻度が減れば、当然知らない顔の従業員が多くなり、泊まりなれたホテルに帰ってきたという印象も薄らいでしまう。以前はチェックイン時に決して名前など尋ねられることはなかったが、知らない顔の係に「お名前を頂戴できますか」なんて聞かれる始末だ。それがさらに足を遠のかせてしまい、自然消滅寸前のカップルのような状態が続いている。
もちろん古くから続けて勤務している顔ぶれも少ないながら残っているので、彼らの姿を見るとホッとするが、クラブラウンジにはとうとう誰も顔見知りがいなくなってしまった。浮気をした罰かもしれないが、仮に以前のように足繁く通ったとしても、前のような親しみを感じる関係は築けないような気がする。ホテルの持つ雰囲気そのものがちょっと変化してきているようだ。
クラブラウンジでは朝食やカクテルアワーなどのサービスがあるが、春頃から内容がより充実した。以前は簡単なコンチネンタルスタイルだった朝食には、卵料理や温野菜などのホットミールが幾つか加わり好評なようだ。カクテルアワーのオードブルも一層豊富になり、簡単な食事代わりにもなる。サービスの簡素化が進む中で、こうした充実路線を実践してくれるのはとても頼もしいことだ。トップスイートを利用したパーティプランを始め、さまざまなアイデアを盛り込んだ宿泊プランも実に興味深い。
Y.K.