1999.06.20
マーガリン
「アトーレ東京ベイ」ホテルインターコンチネンタル東京ベイ
喜-1

以前「カリフォルニアキッチン&バー」として営業していた店舗が、北イタリア料理店として高い評価を得ているホテル西洋銀座「アトーレ」の支店として生まれ変わった。内装には手を加えず、食器類もそのままに、テーブルの配置やユニフォームを変えただけなので店内に目新しさはないが、全体にスッキリとした印象を受ける。

「アトーレ東京ベイ」のスタッフで、元々ホテルインターコンチネンタル東京ベイの従業員だった人は、ホテル西洋銀座に入社しなおして出向いているというかたちを取っているそうだが、店の名前が変わったとたんにサービススタイルに変化が生じた。以前は明るく活気のあるサービススタイルだったが、よりゆったりと丁寧な感じになった。決して不足があるわけではないが、昔の元気を知っていると暗くなったような印象を受ける。

料理はコースが4,500円、6,500円、7,800円の3種、その他にアラカルトがある。アラカルトも手頃な価格に抑えられており、気軽に利用できるのがうれしい。今回は6,500円の「アトーレ」と名付けられたコースを注文した。前菜の盛り合わせ、ニョッキ、パスタ、メインディッシュ、デザート、コーヒーとういう構成だが、一皿のボリュームは控えめなので、人によっては物足りなさがあるかもしれない。

物足りなさのもうひとつの理由には、味付けがあまりヘビーでないことも挙げられる。塩加減が控えめで重たいソースが少ないので、日本人にも受け入れやすい味付けだと言える。ワインのリストはソムリエによるセレクションで、やや品数が少ないものの手頃なものを中心に厳選されている。パンに添えられるのは、バターでなくマーガリンだった。カロリーを気にする人にはありがたいかもしれないが、単にケチなのかな?と思わせてしまうのが残念だ。

食後のコーヒーに添えられるシュガーも無粋なスティックシュガーで、ホテルのダイニングとしては演出に手抜きがあるように感じられた。近くのテーブルでは、パスタのみを2種注文してそれぞれシェアしているゲストがいたが、従業員たちは取り皿を用意したり取り分けを手伝ったりととても親切に接していたので、バール感覚で気軽に利用する場合でも気兼ねは要らないようだ。実際、店名はバー&リストランテ「アトーレ東京ベイ」となっている。

1999.08.15
東京湾華火
ホテルインターコンチネンタル東京ベイ Deluxe Room
楽-3

客室から見た花火

久しぶりにホテルインターコンチネンタル東京ベイに宿泊してみたくなり予約の電話を入れたところ、満室。シックスコンチネンツクラブのアンバサダーメンバーであってもウエイティングの状態になっており、リストの5番目に名を連ねて空きが出るのを待つことになった。そうこうしているうちに14日に予定されていた花火が荒天のため宿泊を希望していた15日に順延されることとなり、客室の確保は一層厳しいものになった。

こうなっては予約課を通すよりもマネージャーに直接掛け合ったほうがスムースだと思い、電話をつないでもらったところ、電話口にでるなり、「30分お時間を下さい。必ず何とかして、お返事いたします。」と言ってくれた。

それから5分もしないうちに電話が鳴って「4番(ベイビューでバスルームに窓が付いているタイプの客室)を確保したので、せっかくだからゆっくり花火でも楽しんで下さい。」との返事。なんともスピーディーで気持ちのいい対応ぶりだった。

ただ、今までクラブフロアしか利用したことがなかったが、折りが折りなのでレギュラーフロアしか用意できないとのこと。しかし、クラブフロアと同等のアメニティに交換し、もちろんチェックイン・チェックアウト共にいつも通りクラブラウンジで扱ってくれると、尋ねる前に案内してくれた。

ここのところ足が遠のいていたので、以前のような歓待を受けられることはもうないだろうと思っていたが、今まで通り、やもすればそれ以上に歓迎されているような印象を受けた。チェックインの際は、ラウンジで懐かしい従業員達と固い握手を交わして、お互いの無事を喜び合うという、旧友に会うかのようなシーンとなった。またこのホテルに魅せられてしまいそうだ。

入口側から窓方面を見る 窓からバスルーム方面を見る

凝縮感のあるバスルーム バスタブからは見事な景観が・・・

「ブルーベランダ」

花火の前の軽い腹ごしらえのために夕方出掛けた時は比較的空いていたが、花火の直後に行ってみたら行列ができていた。少し落ち着くまでの間、ロビーのソファに腰掛けていつにない賑わいを見せているロビーウォッチングを楽しんだ。周辺道路の規制のためタクシーがホテルになかなか入れず、帰るに帰れない客も多いようだった。また、いつもの客層とはかなり雰囲気を異にしており、そのあたりも見ていて飽きなかった。

21時15分頃になってやっと行列が解消したので店に入った。20時から21時までの間だったらブッフェが2,500円で楽しめてオトクだったが、ブッフェは早々に片づけられていてアラカルトで注文することになった。ところが、この日は花火大会用の特別メニューで営業しており、品数が極端に少なかった。普段でさえも、豊富だとは言えない品揃えなのに、あまりの少なさにびっくりした。

食事になりそうなものといえば、ミックスサンドイッチ、ビーフカレー、スパゲティーボロネーズ、フレッシュトマトとバジルのリングイネだけだった。仕方なくリングイネを注文したところ、あっという間に出て来たが、パスタをあまり素早く提供すると茹で置きでございますと宣伝しているようなものだ。

花火大会といえども、客席数が増えるわけではないのだから、いつも通りのメニューで十分対応できなければならないと思う。それとも、回転をよくし客を待たせないという配慮なのだろうか? サービスは安定しており、コーヒーショップとしては、極めて快適だと言える。

1999.12.18
言葉と態度
ホテルインターコンチネンタル東京ベイ Club Deluxe Room
楽-3

相変わらず、ドアマンは優秀だ。入口に立つドアマンはふたりとも初めて見る顔ぶれだったが、彼らはきちんと名前を呼んで出迎えてくれた。スタッフが変わっても仕事が受け継がれていくのは素晴らしいことだ。オープン3年で早くも伝統を築くとは実に見事だと思う。出迎えと見送りという重要な節目を担うセクションだけに、彼らの仕事ぶりはホテル全体の印象に直結する。いいホテルには必ずいいドアマンがおり、逆に、ドアマンがろくなサービスを提供できないホテルは、館内に入ってもろくなサービスができない従業員ばかりだ。

1階のフロントを横目に、そのままエレベータで20階のクラブラウンジに直行すると、すでに到着の情報がゲストリレーションに届いており、レジストレーションカードをカウンターに載せて待ち構えていた。ゲストリレーションとバトラーの顔ぶれも、オープン当初からのスタッフは1名を残すのみと、ほとんど総入れ替えになってしまったが、質の高いパーソナルサービスはいつもながらだ。

夕方のカクテルタイムには空席待ちが出るほどの賑わいで、ホテル全体の3分の1強を占める大きなクラブフロアは活気に満ちており、多くのファンとリピーターを獲得していることにもうなずける。

エントランスで預けた荷物が届くまでにかなりの時間を要し待ちくたびれるほどだったが、荷物を運んで来たベルアテンダントは「たいへんお待たせして申し訳ございませんでした」と口で言うだけでなく、それが態度からも伝わってきたので、イライラした気持ちはとたんに晴れていった。当然の言葉と態度のはずだが、これができるホテルマンの方が、現実には少ないようだ。

「ブルーベランダ」

ブッフェレストランと呼んでも過言ではないくらい、このレストランではブッフェが圧倒的な存在感を示している。毎月テーマを変えてはいるが、料理の内容はそれほど大きく様変わりしないので、何度か利用していると飽きてしまう。全体的に脂っこい料理が多いことも、個人的には好きになれない理由のひとつだ。

この時のテーマはアメリカ料理。ブッフェ台に並ぶ料理はどれといって特徴はなく、アメリカらしさを感じさせるものといえば、カントリースタイルのクッキーかクラムチャウダーくらい。「これはおいしい!」と感じる料理はなにひとつなくても、この店には古くからいるベテランのスタッフによる快適なサービスがある。

ところが、最近ではアルバイト従業員の入れ替わりが激しく、ろくに仕事も覚えないうちに次々と辞めてしまうようでサービスが安定しなくなってしまった。少ない人数で多くの利用客をもてなすには限界があるにもかかわらず、この状態を続ければ、体調を崩す従業員も出てきてしまうだろう。

また、満席の状態では、新しく入った従業員に、適切で丁寧なトレーニングを施すことは難しい。そうした悪循環がベテランと新人とのスキルの差、意識の差をより大きくし、結局は従業員たちは過度な負担を強いられることになるわけだ。隠し切れない疲れを、どうにか見せないようにして微笑む彼らの姿がいじらしかった。

「エイジアンテーブル」

かつて、土日・祭日のランチは、平日より高く設定されていたが、近頃は平日と同じ料金のランチが、土日・祭日でも楽しめるようになった。曜日によって趣向を凝らした楽しいランチが用意されており、屋台風に麺類を提供したりと、毎日通っても飽きない工夫をしている。

この日の1,600円ランチは、主になる料理を数種のなかからチョイスし、前菜・サラダ・スープ・ご飯・デザートはカウンターからブッフェ形式で好きなだけ取るというもの。プラス300円でコーヒーか紅茶を付けることができる。前菜にはエイジアンテイスト溢れるスパイシーな料理が並び、どれも「エイジアンテーブル」ならではの本格的な味だ。

おいしそうだからといって、前菜やサラダの取り過ぎに御用心。主になる料理は、どれもかなりのいボリュームがある。グループで出掛け、何種類かを注文して取り分ければ、楽しみが倍増するだろう。サービスは快適で、よく気がつくようになったが、それだけにユニホームの汚れが残念だった。

1999.12.26
嵐の後の静けさ
ホテルインターコンチネンタル東京ベイ Club Deluxe Room
楽-3

カーテンを閉じると、ぐっと落ち着いたムードに

前日までのクリスマスシーズンには、多くのカップルたちで連日満室状態だったはずだが、クリスマスが明けて26日には、水を打ったような静けさが館内を満たしていた。トップシーズンの賑わいは尋常でないにしても、日頃から比較的多くのゲストで賑わいを見せているイメージが強いホテルだけに、人がいない状態には違和感を覚える。

すっかりクリスマスの装飾が取り払われ、いつもの状態に戻ったメインロビーにも人影は少なく、しみじみ見回してみると、邸宅風にデザインされたあたたかな雰囲気がこの季節にぴったりマッチしていることを再認識させられる。一組の外国人ファミリーがソファでくつろぐ姿は、映画のワンシーンのようだった。

20階クラブラウンジも、いつになく平穏な空気が流れていた。角度の低い冬の太陽がもたらすぬくもりに身を委ね、静かに語らったり本を読み耽るゲストの姿が見られ、昼下がりらしいコージーな空間だった。スタッフたちも、前日までの疲れを微塵も感じさせないスマイルでもてなしてくれとても快適だ。

今回利用した客室は、ラウンジのある20階のデラックスルーム。バスルームに窓のあるタイプではなく、スーペリアルームと同じバスルームを持ち、室内が少し広くなったタイプ。カーブを描いた建物の先端に近い分、正面にレインボーブリッジを望み、眼下に見える湾の面積が大きい。室内のしつらえよりも、景観的に優れてることの方が大きなポイントだ。また、日当たりは抜群で、同じベイビューの客室でも最も日当たりがよく、昼間は暑いほどだ。

末尾2番と3番はほぼ同等の設備がある客室だが、3番はベッドがエントランスから見て左側に配置されている関係で、カーテンを開けたままベッドに横たわると、東芝ビルなどから丸見え(とは言ってもかなりの距離があるが・・・)なので、横たわったときにほとんど海越しの景色しか目に入らない2番の方が気に入っている。

このホテルの難点は照明が暗いことだ。広めのデラックスルームにも、スーペリアと同じ照明器具しかないので、一層暗く感じる。開業当初は白熱電球を使っていたので今よりも明るかったが、省エネ目的からか白熱色蛍光燈に変えてからは、薄暗いイメージが強くなってしまった。

ゆったりしたバスルーム シックなアメニティ。カンカンに入ってるのは石鹸。

Y.K.