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ザ・キャピトルホテル東急 Garden Suite |
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The Capitol Hotel Tokyu | 2010.12.27(月) |
東京都千代田区 | 哀-3 |
ARCHIVES ・ 1992 |
ガーデンとは名ばかりのガーデンスイート 新キャピトル滞在2度目の2泊目。冬の青空に新しい建物がよく映える。だが、さほど特徴のあるビルではなく、外観を頼りにここを目指すには印象が薄く目立たない。この主張の淡さは、外観のみならず館内全体にも共通する。 2泊目はユニークなスイートにルームチェンジした。多くの客室は18階から29階の高層階に並んでいるが、5階という低層階に、4室だけスイートを配置している。3室のガーデンスイートと1室の山王スイートがそれに当たり、ガーデンというキーワードからは都心を忘れさせる静寂や自然美がイメージされ、ちょっとした「離れ」的な雰囲気も楽しめるような予感に期待が膨らんだ。 5階エレベータホールは、よりエクスクルーシブな雰囲気。抑えた照明も静寂を象徴するかのようだ。 廊下は広く、各客室の扉もレジデンス風に立派に作られている。ただ、後に判ったことだが、あまり遮音性には優れず、隣室に出入りする人々の声や音がかなり気になった。この日、隣室がイベント控室のような使い方をされており、常時不特定多数の人が出入りしていたため。ホテル自慢の特別な空間で、そのような利用を認めるホテル側の品位を疑う。 ガーデンスイートの面積は108ないし109平米とのこと。100平米超のスイートは、空間の使い方にもゆとりがあり、おおらかな気持ちにさせてくれる。室内は大きく分けて、リビング、ベッドルーム、バスルームに分けられ、あまり細かくは区切ってはいないが、連続性を持たせながらも独立性を確保する工夫が見られる。 リビングは大きな窓に面しており、まさにレジデンスのリビングルームといった趣き。窓には障子をあしらったスライドスクリーンをはめている。他にシェードやカーテンはなく、障子を閉じる以上の遮光はできない。 窓の外にはガーデンがあるものの、手入れがいいとはいえず、かなり期待外れ。見えるものも、自然美より都会のごちゃごちゃとした風景の方が目立ち、これなら高層階から遠景を楽しむ方がずっといい。 そしてなにより残念なのは、庭は見るだけで出られないことだ。窓はわずかに開くが、ビジネスホテルの換気窓程度の役割しかなく、サイトの説明にあるような「自然の風を感じる」には程遠い。 このようにあってもなくてもいいような庭なので、結局在室中は障子を閉じたまま過ごすことになった。その方が落ち着いた空気が保て、この部屋の魅力も引き立つ。 リビングルームには、大型のソファセット、対面式のデスク、収納キャビネットの3点セットのみ。床には十分なゆとりがあり、ヨガでも座禅でも思うがままだ。 空間といい置いてあるものの質といい、なかなかのものばかり。このクラスにならなければ、このホテルが掲げる和のテイストは伝わらないのかもしれない。レギュラールームでは中途半端だった和心が、ここではしっかりと感じられる。 重厚感とモダンな感性が融け合ったソファセットには、サイドテーブルやスタンドライトが添えられている。座り心地もいい。 ソファの向かいには白木造りのキャビネットがある。大型テレビやオーディオ機器を収納しており、それらを使用した時には色付きガラスの引き戸で目立たないようにすることができる。 デスクはベッドルーム側の壁に寄せて置いてある。基本はワークデスクだが、簡単なダイニングテーブルにも利用可能な大きさ。ふたつのアームチェアは同じものだ。 この部屋の完成度を引き上げているのが天井の意匠。木目を使い、二本の線に沿って照明器具を埋め込んでいる。白いだけの天井に比べたら、大きな主張を感じる。 ミニバーはテレビキャビネットの並びの柱に沿って設けられている。エグゼクティブスイート同様、豊富なグラス、TWGのティーセット、大倉陶園の立派なカップ&ソーサーやティーポットを備えており、室内でいつでも上質なティータイムを楽しめる。 照明は天井からのダウンライトを中心に、3つのスタンドが陰影を添える。スタンドはそれぞれ行燈のような和風デザインだ。窓上には蛍光灯の間接照明もある。 ベッドルームはリビングを奥。四方を壁に囲まれた窓のない空間だ。リビングとベッドルームの間には、ふたつのスライドドアが設けられているものの、片側はデスクでふさがれており、通行はできず、明り取り的な役割。 夜は落ち着いて過ごせるが、閉所が苦手な人には心地よくないかもしれない。デスクはカウンター式で、テレビやオーディオもその上に載っている。 ベッドはハリウッドツインスタイル。2台のマットレスが同じ大きな台座の上に並んでいる。両脇にナイトテーブルとスタンド。ベッドメイクはやや乱雑な印象。この内装と雰囲気に調和させるには、シワひとつ残さない丁寧なメイクが必要だ。クッションや枕の位置も、完ぺきに揃っていないとおかしく見える。 バスルームは、ウェットエリア、独立トイレ、ベイシンエリア、ウォークインクローゼットから成る。ベイシンエリアとクローゼットはほぼ一体化した造りだが、このエリアはまるでキッチンのような作業場的雰囲気がある。リラックスしながらホテルライフを楽しむには、もう少し色香が欲しいところ。 ダブルのベイシンは、ウェットエリアに通じるドアの両脇に、シンメトリーに配置されている。正面に照明付きミラー、脇にもスリット状のミラーを設置。バスアメニティを収めた白木のボックスは、それぞれのベイシンに用意してある。 ベイシンの背後にはガラスとステンレスのタオルラックがある。洗濯場に置くようなデザインで、あまりいい感じはしない。 ウェットエリアへの重い引き戸を開けると、バスタブとシャワースペースがある。十分過ぎるほどの広さと窓に面したロケーションは一見魅力的。だが、とにかく寒い。せっかくの窓も、障子風の目隠しを開くことはできず、単に光を通すだけ。なんとも中途半端な造りにガッカリした。 バスタブはブロア機能付き。冷たい印象の色使いと、実際に寒くて仕方のない環境との相乗効果で、霊安室にいるような気分になった。こんなに無駄に広くしなくていいから、風邪を引く心配のないバスルームを造るべきだったのではないか。 クラブフロアとスイートの滞在客は、27階にあるライブラリーラウンジを利用できる。それにしても、クラブラウンジはどこのホテルでも拡張の動きがあるというのに、なぜこんな中途半端なラウンジしか造らなかったのか、理解に苦しむ。 ゆったりと座れる座席配置はいいが、席が少ないのですぐに満席。ソファの形状もだらりとくつろぐには向いているが、カクテルアワーや朝食には不適当。夕方には各種リカーやオードブルが並ぶカクテルアワーがあり、朝食もここで提供する(2012年1月現在、朝食は廃止)。それ以外の時間はティーサービス。 係は常駐しているが、ほとんど役に立たない。かたちだけで、実際の機能を果たさないというのが、何とも東急的。このままではホテル全体がトーンダウンし、どんどん安売りをせざるを得なくなるだろう。やはり東急にラグジュアリーホテルはムリなのだという印象が一番強く残った。 |
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