2005.05.04.（水）

以前宿泊した際、客室に案内してくれた係から、上から下まで全フロアの１つのウィングだけはLANを設置したという話を聞いたことがある。それに、かつてスタンダードフロアでもLANを使ったことがあったから、そんなことはないだろうと思いつつも、ホテルの人間が自信を持ってそう言うのを覆すほど確信があったわけでもなかったので、しかたなく、手元にあった客室のアップグレード券を使って、LANのあるというスーペリアフロアに変更してもらった。

だが、客室に入り、改めてホテルのWEBサイトで客室タイプの一覧を確認したところ、スタンダードフロアもLANは一部設置と記載されていた。そこで改めてアシスタントマネージャーの所へ出向くと、はじめはフロント係と同じく、スーペリアフロアにしかLANはないという。しかし、持ってきたノートＰＣでホテルのWEBサイトの当該ページをみせたところ、今度はスタンダードでも一部にはLANがあると言い出した。

アシスタントマネージャーともあろうものが、自分のホテルの設備すら正確に把握していないのだろうか。昔なら、こんな調子の仕事ぶりでも問題はなかったのかもしれないが、詳細な情報を客が直接入手できる現代に、このような感覚では困る。このホテルの伝統的な風格は認めるが、勉強が足りずに成長のないホテルという印象は否めない。

その後、一休.comなどに掲載されるこのホテルの説明には、スーペリアを含む全ての客室に「LANなし」という注意書きが加わるようになった。本当にないのならいざしらず、あるものをないとは、まったく本末転倒の対応としか言いようがない。せっかくの設備を有効に活用しようとしないのは愚かなことだ。

それとも、ラックレートで泊まる電話予約の客を優先するつもりで、インターネットの割安なプランで泊まる客には、ＬＡＮのある客室は使わせないことにしたのだろうか。しかし、もし客室でLANを使うとすれば、電話予約の客よりも、ネット経由で予約する客のほうが多いだろう。いずれにしても、このホテルの性根の悪さが垣間見えた。

さて、アサインされた客室は、エレベータ裏にあるデラックスルームだ。ワイドな窓が特徴で、よりゆとりのある空間が一層のくつろぎを感じさせる。入口脇にはコンソールテーブルがあり、居室までの廊下に沿ってバゲージ台やクローゼットが設置されている。室内の設備は概ね標準客室と同等だが、ゆったりと配置されている分、余裕がある。バスルームは奥行きのある細長い造りで、標準客室より若干広めに取られてるが、設備内容は同じだ。

以前、スタンダードフロアにある同タイプを利用したことがあるが、その時はエレベータ音がさほど気にならなかった。しかし、今回は隣室の音やエレベータ音が大きく感じられた。また、だいぶ気温が高くなってきているにもかかわらず、空調が送風設定のままで、昼夜を問わず暑苦しかった。4月から全室に導入されたテンピュール枕は、高さが低いし、何となくフィットせず変な感じだった。

キャピトル東急ホテルからは、定期的にホテルの案内が記載された冊子が送られてくる。同じものは、館内でも入手可能だ。巻頭には、著名なノンフィクション作家によるエッセイが毎回掲載されており、それを読むのを楽しみにしている。よいホテルの何たるかを、わかりやすく魅力的な文章でまとめているが、それがキャピトル東急のことを言っているとは決して感じさせないのが面白い。むしろ、キャピトル東急に欠けているものを皮肉っているようにも思わせる。今号には「今夜も親しみを感じさせるホテルに泊まる」というようなことが書いてあるが、それを書いた日、彼の人はここにいたのだろうか。

編集はホテルではなく外部の業者が担当しているのかもしれないが、ケヤキグリルのページには「春のメロディを奏でるプロのピアニスト」とか「客の顔と名前を覚える名人揃い」だなどと、実際に利用した時の印象とは大きく異なることを、恥ずかしげもなく書き連ねている。自分で言ってりゃ世話ないという感じ。自慢をするにも、もう少し身の程をわきまえた表現があるだろうに。

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