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2003年5月14日

キャピトル東急ホテル Superior Room
楽-3 ひとりひとりがホテルの顔
正面玄関
数日前と同じホテルとは思えない。それが正直な感想だった。冷たく人間性を感じさせない対応に終始した滞在から一転、迅速で間違いなく、それでいて温かさがたっぷりと添えられたサービスぶりだった。特にチェックインを担当したフロント係は、ゲストの潜在的な要望を先読みして行動に移す能力を持っていた。これが本来のキャピトル東急ホテルの姿であり、このホテルを選ぶ大きな動機となる要素だ。

ホテルには多くの部署があり、それぞれに多くのスタッフで構成されている。しかし、ゲストとして利用する際、直に接する機会があるスタッフはほんの一部に過ぎない。そして、ゲストはその限られたスタッフとの接点から、ホテル全体のイメージを作り上げるしかないのだ。数十年のベテランであれ、昨日入社したばかりの新人であれ、ゲストに接すれば即ちホテルの顔であるということを、全員が肝に銘じて欲しい。

案内されたスーペリアルームはちょうど正面玄関を見下ろす位置にあった。室内から外を望めば、日枝神社の緑を借景に、森の中にたたずむような気分が味わえる。スーペリアルームは全体的に落ち着いたテイストのキャピトル東急ホテルの中では、最も若々しさのあるインテリアでまとまっている。バスローブやアニックグタールのアメニティなど、エグゼクティブフロアに順ずる用意を整え、加えてLAN(有料)やFAX(有料)も備え、よりビジネスに便利な工夫が施されている。

夜になってニュースを見ようとテレビを点けた。普段あまりテレビは見ないし、ましてはキャピトル東急ホテルのテレビプログラムは非常に退屈なので、滅多に点けることはない。スイッチを入れてしばらくすると、まるで超音波を伴うかのような、甲高いノイズを発しだした。それが落ち着くどころか徐々に大きくなってきた。とりあえず客室係に連絡をしたところ、若いベルマンがやってきた。しばらくテレビの様子をチェックしていたが、結局原因がわからず、ルームチェンジかテレビごと交換することを提案された。まぁ、どうしてもテレビがなければいられないという性質ではないので、そのまま下がってもらった。

このベルマン、今回の滞在で何度か部屋に来てもらうことがあったが、なかなか優秀だった。経験は浅いと思われるが、ホテルマンとしての素質に恵まれているように感じた。気が利いて頭がよく、人の怒りや不満を緩和する物腰を持っている。こうした能力は、採用の際、どの程度重視されているのか疑問に思うことも、実際には少なくないのが現状だ。

そういえば、ロビーのシッティングスペースはいつの間にか禁煙になった。それに伴いベルマンたちが毎夜磨き上げていた真鍮の灰皿も姿を消した。無言のうちに心意気を伝えるものがひとつ消えてしまった。

カーテンがない分シャープな印象 テレビやミニバーが収まったキャビネット
2003年5月14日 昼
キャピトル東急ホテル 「オリガミ」
楽-2 リニューアル
60年代風インテリアが、むしろ今っぽくてカッコいいなと思っていたが、「オリガミ」もまたモダンな雰囲気に生まれ変わってしまった。しまった、なんていうと、悪くなったように聞こえるかもしれないが、新しい店内もそれはそれで悪くない。色調のセンスも悪くないし、照明効果はセルリアンタワー東急ホテルの「カルメラ」とは比較にならないほど優れている。食器も一部新しくなり、メニューブックの形も変わった。しかし、名物料理はいずれも健在だ。サービスは大昔と比べると、いささか落ちたなと言わざるを得ないが、それでもコーヒーショップとしては極めて高い水準を保っている。この日は2,000円の日替わりランチを食べた。料理とパンとコーヒーというシンプルな組み合わせである。店内は非常に活気があり、その躍動的なざわめきが心地よい。

[キャピトル東急ホテル] 960217 990103 990618 000504 000805 010407 010628 010818 010923 020222 020302 020524 030511

Y.K.