だが、改装が済んでから、フロアのサービスや設備は、わずかながらも進歩している。フロント脇に設けられた特別階専用プレミアカウンターは、その代表だ。立派な大理石の構えのある専用カウンターでは、よりパーソナルでスムーズな手続きが可能になった。そして、料金はまだ高いが一時期よりは落ち着いている。今回は17時IN10時OUTの時間限定プランだが、とてもリーズナブルに利用することができた。滞在時間もちょうど予定とピッタリはまる感じだったので、実に好都合だった。

用意されたのはツインルーム。キングよりは3平米狭い33平米だ。窓もキングが3面あるのに対し、ツインでは2面となる。その分、部屋の奥行きが長い、いわゆる「ウナギルーム」だ。キングとツインでは、部屋の形状だけでなく、カラースキームが異なっている。キングがウッディーなフローリングや、紫系の落ち着いた配色であるのに対し、ツインではホワイトや、オリーブ系のナチュラルカラーを用い、LOHAS的な雰囲気。キングよりは明るい配色ながら、それほどエッジ感はなく、まろやかに落ち着いている。

特にホワイエ部分とクローゼット扉の白いパネルは、質感もよく、強い印象を与えている。居室も非常にスッキリとレイアウトされており、とてもハンサムな客室に仕上がった。照明プランも効果的で、それぞれの灯りがインテリア的にも重要な役割を果たしている。一方で、クローゼット内をオリーブグリーンで統一し、内部の壁にミラーを据えるなど、遊び心も感じられる。ただ、やはり26インチのテレビは、今となっては小さすぎる。

バスルームは、改装前のものを多く残し、照明器具を新調したり、ベイシン下に新たな引き出しを設けるに留めたが、雰囲気は劇的に変化した。ピンクのバスタブに、サーモスタット付きカラン、パワフルなシャワー、ストライプ柄の洒落たシャワーカーテンなど、新旧のものが見事に調和した心地よいバスルームだ。アメニティはロクシタンを中心に揃え、タオルはプラザプレミアのロゴが刺繍されたフカフカのものが用意されている。室内だけでなく、エレベータホールや廊下も含め、トータルにデザインされており、都会的ながらもナチュラルな空間は、とても完成度が高い。

デザイナーはストリングスやコンラッド東京も手掛けているので、それらには共通点が散見される。特にストリングスのデラックスルーム32.5平米とは、面積的にも近いものがある。ストリングスはバスルームが広く取られており、入口も居室も木目を多用した深い色合いが特徴だが、京王プラザの方がスッキリとしていてる分、広々感もある。どちらも良く出来た客室だけに、あとは好みによるところだろう。

また、一部を改装して特別階にしたという点は、品川のパシフィックも追随している。やはり、ナチュラルなイメージを売りにしているが、特別カウンターはなく、デザイン面でもワンランク劣る。パシフィックの方がよい点は、地デジ対応の大型テレビとサラウンドDVDの存在くらいだろうか。広さの比較でも、パシフィックの30平米と、京王プラザの33平米では、まったく印象が違い、その差が3平米だとは信じられないほどにパシフィックは窮屈だ。共通点は「電車屋さんの経営」で、やっぱり「新フロアは料金が強気」。