YKsonic Web | home | concert | kidoairaku>2010 | blog | gallery | profile | contact |

ホテルパシフィック東京 Comfort Room  
Hotel Pacific Tokyo 2010.09.10(金)
東京都港区 楽-3

庭園

ARCHIVES

1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
ホテル別リスト
レストラン別リスト
「楽5」「喜5」ベストコレクション
グルメ2010
グルメ2011

レトロな未来観


この月末で閉館が決まっているパシフィック東京。すでに閉館へのカウントダウンが始まっており、泊まれる機会もあとわずかだ。それにしても、良いホテルなのに、やめてしまうなんてもったいない。

外観

正面玄関を入ったところには、いつも季節の花が飾ってあるが、今月は秋の風情とともに、ホテルのメモリアルとして、ホテル外観をイメージしたガラスのオブジェが一緒に展示されており、まるで洋式の墓標のようでもある。

ロビー

秋田からの最終便で戻り、ホテルへ着いたのは夜も更けたころ。ロビーには人影も少なく、巨艦ホテルとは思えない静けさが漂っていた。

ロビー

フロントカウンターの前にも、まったく人が見当たらない。この風景を見る機会は、あと何度あるのだろうと思うと、なんだか切なくなる。

フロントカウンター

フロントは巨艦ホテルらしく、横にまっすぐ、長いカウンターが印象的だ。左隅にある両替の部ブースは、最近ではなかなかお目に掛かれない設備。

チェックインを済ませ、向かった部屋はコンフォートルーム。この部屋ができたのは、2002年。できたての頃に何度か泊まったが、実に久しぶりだ。当初はハイテクを駆使した設備に、ホテルルームの未来を垣間見た気がしたが、時代の急流の中で、今はどんな印象なのだろうか。

コンフォートルーム

オフホワイトを基調とした部屋の面積は37平米。建物の真ん中近く、ちょうど折れ目の部分にあるため、入口側が広く、窓の方に向かってすぼんでいく形をしている。

モダンルームといえば、余計なものを隠し、さっぱりと見せるのが流儀だと思うが、この部屋はわりとごちゃごちゃした印象を受ける。マッサージチェアのカバーや、ベッドに載ったナイトウエアやバスローブが、雑然とした感じを醸しているようだ。

窓側から入口を見る

部屋の手前から窓の方を見た時は、間接照明やユニークな家具によって工夫に満ちた部屋であることを感じさせるが、窓から入口方向を見た場合は、ふつうの部屋とあまり変わらない。

ベッド

ベッドはキングサイズ。一応、ポケットコイルマットレスを使っているようだが、寝具のメイクが雑で、なんとなく整っていないかのように見える。ベッドボードが梁のところまであり、やたらと明るい読書灯は、ベッドボードに向けて、間接照明的にセットしてある。

ベッド

シッティングエリアは、窓を背にしたベンチシートと、変わった形のイス、丸いテーブルで構成されている。いずれのイスにも肘掛はない。

窓際のベンチ

ベンチシートの下には間接照明が仕込まれているが、半分しか点灯していないのは蛍光灯切れだろうか。ふたつ添えられたクッションは、白いカバーで包んであるが、カバーの汚れが気になる。汚れといえば、カーペットも色が薄いため、汚れや染みがかなり目立っている。

マッサージチェア

マッサージチェアは2002年当時と変わっていない様子。だが、なかなか賢いタイプを導入しており、使い心地は悪くない。

AVパネル

壁面には3枚のパネルがあり、それぞれに間接照明が施されている。オーディオ、20インチ液晶テレビ、VHSプレイヤーなど、日進月歩の家電品は、翌年には古くなってしまうので、このように家具の一部をなすようにしてデザインするのはよくない。見た目はいいが、さほど役に立たないのである。

デスク

ライティングデスクは、バスルーム入口の反対側にある。改装前はドレッシングスペースだった場所。壁の一部を取り外し、デスクに向かいながら室内を見渡せるようにしてある。デスクの後ろがクローゼットだ。

バスルーム

バスルームは特に工夫もなく退屈なまま。レトロといえばレトロだが、モダンが売りの部屋には相応しくない。タオルは3サイズが3枚ずつ置いてある。

ベイシン

ベイシンは昔ながらの洗面台スタイル。アメニティなどを並べる場所が狭く、自分で持ち込んだものを置く余裕はあまりない。ミラーに疑似的な額風の枠が設けられているのは効果的だ。

窓からの眺め

窓から見えるのは品川駅前の風景。以前は海も見えたが、今はすっかりビルの林だけの景色になってしまった。だが、品川駅を発着する鉄道の様子を見ることができる。

オムレツ

ルームサービスのアメリカンブレックファストは2,700円。ジュース、卵料理、トースト2枚、コーヒーというシンプルな内容だ。特徴もないが、オムレツの仕上がりはきれいだった。ブロッコリーがしなびているのは気になるところ。

庭

ホテルパシフィック東京は、計画の段階から最高のホテルを目指していたため、当時としては贅を尽くして造られている。広い庭園もそのひとつで。今、ホテルを計画しても、このようなスペースの使い方は考えられないだろう。

立派な石でできた人工の滝があり、木々や芝が目に優しく、池の鯉たちも気品を添えている。この庭園で記念撮影をする人々の姿も、もう見られなくなってしまうのだろうか。

庭とピコロモンド

池のほとりには、「ピコロモンド at the garden」がある。以前は「浮殿」という店だったが、今はカジュアルなびブッフェを中心としたダイニングになっている。窓際に座れば、まさに池に浮かんでいるような感覚で食事を楽しめる。

ロビーラウンジ

もうひとつ庭園を望む店としては、ロビーラウンジがある。駅から近く便利な場所にありながら、都会の喧騒を忘れさせる緑豊かな環境が得られるとあって、いつも賑わっているラウンジだ。

ラウンジ天井の照明

天井からは無数のクリスタルが下がり、照明を浴びて星空か氷の宮殿のように光り輝いている。この意匠は結構お気に入りだっただけに、なくなるのは残念。

ラウンジ脇の階段

ラウンジ脇の階段は、模様の揃った石の壁が印象的。こうした重厚感のあるデザインは、館内の随所にみられる。

エレベータホール裏の通路

エレベータホールの周辺を彩るオニキスの壁と床は圧巻だ。手触りもよく、一枚一枚模様を眺めていても飽きることがない。閉館後に取り外して処分するのなら、もらって帰りたいくらいだが。

 ▲このページの先頭へ  

OFFICIAL WEBSITE

ホテルパシフィック東京(サイト閉鎖)
現在は京急EXイン品川駅前

このホテルに関する過去のレビュー

000105 000418 000927 020315 020608 030225 030713 030802 031231 050822 051125 060611 060627 060710 060729 060804 060813 060819 060913 060917 060918 061231 070106 070317 070720 070812 070825 071102 080103 080203 080224 080510 080531 081018