ホテルパシフィック東京 Standard Suite
Le Meridien Pacific Tokyo
2008.05.10(土)
東京都港区
怒-3

新レストラン「シンガポールシーフードリパブリック」の中庭
 
悪夢 雨の土曜日、なんとなく憂鬱な気分でチェックインしたホテルパシフィック。夜には人と約束があったのだが、急な寒気を感じてから、まるで萎れるように体力も気力も失せてしまったので、これでは相手に心配と迷惑を掛けるだけだと判断し、ドタキャンして休むことにした。

こんな時に限って、用意された室内には妙な臭気が立ち込めている。できることなら窓を開けて換気したいけれど、このホテルでそれはかなわない。頭をスッキリさせるには冷たい空気が欲しい気がするが、ゾクゾクするような寒さも感じる。早いところベッドで横になった方がいい。

しかし、この季節は空調のコントロールが難しい。新しいホテルならば4管式空調が備わり、季節を問わず好みの温度に設定できるが、ここは旧式の2管式である。とりあえず、バスタブに湯を張って、蒸気の効果で室内がほどよく潤うのを期待しつつ横になった。

少しうとうとしていたが、ふと妙な夢を見て目が覚めた。自分が死体になって横たわっており、関西弁のオバちゃんたちに囲まれ、死肉を啄ばまれるという夢だった。オバちゃんたちは屍を貪りながら、なにやら黄色い声で呪文のようなものを唱えており、時折ドッと爆笑する。

夢から覚め、時計を見ると20時半だった。死体になったのは夢の世界であったが、オバちゃんたちの存在はあながち幻想ではなかった。どうやら、隣室に元気な中年女性たちがいる様子。おそらく団体で来て、いくつかの部屋に分かれて滞在しているのが、一時的に隣の部屋に集まっているものと思われる。今回滞在しているスイートはリビングルームにコネクティングドアが設けられているのだが、そこから洩れるオバちゃんたちの声が、ベッドルームにまで響いてくる状態だった。

フロントに頼んで一度注意をしてもらったが、まったく効果がない。こちらが迷惑を掛けているわけでもないのに不本意ではあるが、これ以上死体役の夢も勘弁して欲しいので、別の部屋を探してもらうことにした。しかし、フロントの対応は不誠実だった。他に用意できる適当な部屋がないと言い切るのである。それも、十分努力して見つからなかったならまだしも、電話の様子からほとんど気持ちを注いでいないことが明白に伝わってくるのだ。

その態度に腹が立った。マネジャーを呼んで事の次第を報告すると、同じフロアだが反対側にあるスイートが用意できるということになった。新しい部屋に移ったことで騒音は劇的に解決したが、数日間は使われていなかったと思われる部屋には冷たくて臭い空気がこもっていた。この寒さはどうにかならないものかと相談すると、「こればっかりは仕方がない」みたいなことを言う。

5月にしてこの日の最高気温は13度。暖房が必要な寒さである。「一応、33度の風を送っているんですけどね」と開き直るが、それ以上の知恵は出てこないようだった。毛布だけでは寒いので、せめてデュベを貸して欲しいと頼むと、手配してくれたのはいいが剥き出しのままのデュベを持ってきた。

汚してもいけないので、なにかカバーが必要ではないかと言っても、返ってくるセリフはまたしても「ありません」。パシフィックフロア用のデュベカバーがあるのでは?と尋ねても「サイズが合わないので」という調子で、何か言えば口答えするという風潮になっている。この際サイズは気にしないから、とにかくデュベカバーを掛けてセットするよう頼んだら、ターンダウンもせず、ベッドスプレッドの上にデュベを置いて帰っていった。

このホテルのスローガンは「粋で世話好き」である。この一連のやり取りの、どこが「粋」で、どこに「世話好き」の要素があるというのか。とにかくもう寝よう。また悪い夢を見そうだけれど。だが、朝まで悪夢もなく、よく眠った。

体調も回復したので、6時半には朝食を。「ピコロモンド」では、どの従業員が席に案内してくれるかで快適さが決まる。朝にピッタリな爽やかな笑顔で接してくれればたちまち気分がよくなるが、無愛想で顔も合わせないような態度に出られると実に不愉快だ。今回はハズレだった。しかも大ハズレ。係は「ハイ、何名様」「どうぞ」「こちらでお願いします」その3つしか口にせず、狭くて落ち着かない席に案内した。これでインターナショナルホテルのレストランと言えるのか。

昼食は最近庭先にオープンしたシンガポール料理店を利用してみた。店内には活気があって、店中カニのにおいが強烈だ。ランチはとてもカジュアルでリーズナブルだが、それなりの内容。シーフードの入ったカレーは魚介のダシがしっかり出ていて美味しかったが、メニューの写真よりも実物はかなり貧相だった。

 
リビングルーム リビングのデスクとアーモア ベッドルーム全景

ターンダウン前のベッド スイートのエントランス ロビー

新レストランの入口 カニがたくさん 見た目は悪いが味は悪くない

 ホテルパシフィック東京(公式サイト)
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