フードコーナーも充実している。屋台風のラーメン、焼きそば、焼き鳥などの定番から、スパゲッティのそうめん風、本格的なリゾットなど、各レストランが工夫を凝らしたホテルレストランならではのメニューもある。中国料理「冠園」からは、蒸し饅頭や杏仁豆腐が出品されていた。これらは、専用のチケットでも、その場で現金でも購入できて、どれも5百円以内の手頃な価格だ。

ホワイエには、ヨーヨーすくいや金魚すくい、射的コーナーがあって、子供たちが興奮して楽しんでいる。また、ベーカリーやフラワーショップの即売会も行われており、メイン会場にひけを取らない盛り上がりを見せていた。こうしたイベントは、かつて多くのホテルで実施されていたが、最近はめっきり少なくなった。パシフィック東京では、夏や正月にファミリーイベントを行って、ホテルに気軽に足を運んでもらう努力をし続けている。今後もぜひ継続してもらいたい。

子供の頃に神社や商店街で行われていたようなまつりの雰囲気を、懐かしく思い出しながら会場を後にして、部屋へと向かった。今日は、どうやら外国人が多く泊まっているらしい。それは、廊下の匂いでわかる。様々なフレグランスが入り混じった匂いがするのだ。その中に、懐かしい香りがあった。やわらかい微かな香りを感じた瞬間、21年前の光景がフラッシュ映像のように頭をよぎった。これが映画なら、そこから回想シーンでも始まるのだろうけれど、リアルな状況では劇的なことは起こらない。あの頃、頻繁に嗅いだこの香りの主は、今どこで何をしているのだろう。実は、その人がこの階に泊まっていたりして。いや、ありえない。

翌日は、朝一番でプールに行った。まだ、誰もいないだろうと思ったら、すでに数人が好みの場所を陣取っていた。午前中のプールは、水が冷たくて気持ちがいい。暑さで緩んだ脳ミソも、一気に引き締まる感覚だ。