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グランドプリンスホテル新高輪 Superior Room | |
Grand Prince Hotel New Takanawa | 2010.03.10(水) |
東京都港区 | 哀-3 |
ARCHIVES ・ 1992 |
崩れゆく都市型ホテルらしさ ホテルに到着したのは21時前。フロントカウンターは混み合っており、その背後にポールでラインを作り、手続きを待つ客を並ばせていた。係は十分な人数が揃っているのに、なかなか列が進まないのはなぜだろう。やっと順番が回ってきた時、その理由がよくわかった。 実に丁寧なのである。結構なことではないかと不評を買いそうだが、チェックイン時の丁寧さは効率の中で表現されるべきものであり、客を長々と待たせてすることではない。ひとつひとつの動作が遅い上に、キーの開け方の指南から、アンケート用紙の記入を一組ごとに丁重な態度で頼み、用紙へのチェックの入れ方まで説明している。これでは時間がかかるわけだ。 客室は8階のスーペリアルーム。比較的後期に改装された部屋で、スーペリアとしては低層階だ。だが、以前とは大きく趣きを変えて大変身を果たした客室は、プリンスホテルの中では最も洗練された空間のひとつである。 ベージュやブラウンを基調にナチュラルなテイストでまとめられた部屋は、一見いつも通りだと思ったが、じっくり見るとあまり条件のよい部屋でないことがわかった。 通常、デスクは窓と平行に置かれ、室内を見ながらデスクに向かえるようになっている。だが、この部屋ではデスクが壁向きに置かれている。デスクがある場所には、本来ドレッシングカウンターがあって、スツールが添えられているのだが、ここにはそれがない。 ドレッシングカウンターがないからといって、特段不都合が生じるわけではないが、インテリアのアクセントとして、それなりに存在感のある設備だけに、なければないで寂しいものだ。 デスクが移動している分、窓際のあたりにはゆとりが生じる。肘掛のないソファがふたつ、丸いテーブルを挟んで向かい合っているが、これもなんとなくバランスが悪く見える。 なにゆえの配置違いなのか。窓に近いベッドの下を見るとその答えがあった。3つ目のベッドが隠されており、この第3のベッドを広げるスペースを確保するためだったのだ。 この、不要なアイテムのために、インテリアのバランスが崩れているのはとても残念。しかも、ベッドの寝心地も著しく低下するので、まったくもっていいことがない。 3人仕様の部屋だけあって、グラスなどの備品は3つずつ置いてある。しかし、タオルやバスアメニティは2人分だけ。こうしたケチくさいやり方は、どうも中途半端でいけない。 また、清掃状況もよくなかった。浴室の金具には脂っぽい手跡が多数あり、鏡には水しぶきがそのまま白く残っている。 バスアメニティもクオリティが低下し、魅力のない品揃えになったが、歯ブラシだけは意外としっかりしている。固形せっけんはなくなり、液体ソープのボトルディスペンサーが置かれるようになった。バスローブはない。 客層も落ち着かなかった。隣室はそれぞれ、深夜まではしゃぎ通しのガールズと、泥酔したおっさん。とにかく騒々しいので、在室中は常に耳栓をしたまま過ごした。 グランドプリンスホテルはどこへ向かっているのだろうか。当初のコンセプトは、「都市型ホテルに求められるすべてを。」だったように記憶しているが、その「すべてを」の後に「省略する」というくだりが抜けていたのかもしれない。 冷蔵庫は空っぽ。それはプリンスだから驚きはしないが、今度はルームサービスをやめてしまった。レストランも貸切専用のような店ばかりで、いずれ都市型ホテルの水準を満たせなくなる日もそう遠くないような気がしてならない。 そんな不安をよそに、見事な庭園では早咲きの桜が見ごろを迎えている。花を愛でに小鳥も集いだした。人は、このホテルの何を愛でたらいいのだろう。 |
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