大阪出張の荷物をゴロゴロと引きずりながら、品川駅から新高輪プリンスホテルまで早足で歩いた。緩やかな上り坂を進みながら、こんなに遠かったのかと改めて思ったが、タクシーに乗るには近すぎる。品川界隈のプリンスと品川駅を回るシャトルバスもあるが、本数がかなり少ない。やっとホテルのエントランスに着いたが、そこはとても小さいのでホテルに来たという実感に欠ける。しかも、フロントカウンターはまだまだ遠かった。
フロントでは、思いがけずホスピタリティ溢れる係が担当し、徒歩の疲れが一気に吹き飛んだ。言葉の選び方や口調に品があり、いい雰囲気だった。フロントは混雑を呈しており、ベルアテンダントは出払っていた。客室への案内を勧められたが、荷物は重いけれどひとつだったので、ベルが戻るのを待つことなく自ら部屋へ向かった。
ロビーにはエアクルーやアジア系の団体客に混じり、SPの姿も見られたので誰かV.I.P.が来館していたらしい。客室へ向かうエレベータに乗り、自分の部屋のある階を押そうとしたが、部屋番号と階との関係がズレているので、またしても一瞬考えてしまった。
部屋は飛天を見下ろす向き。室内が暑かったのでバルコニーに出ると、さわやかな風が心地よかった。品川駅周辺の高層ビルに囲まれていながらも、空が広く感じられる。特に大きな音は聞こえないが、耳を澄ますと低い都会特有のノイズが響いている。このノイズが聞こえる限りは、一人ぼっちでいても寂しくならない。
室内の様子は見慣れたものだが、今回のソファはレッド系で全体の華やかな雰囲気を増強していた。シャンデリアの汚れと、絵の位置が不自然なことが気になった。フットライトはナイトテーブルの下にあることが多いが、ここでは常夜灯としてバスルーム入口天井にある。室内でパソコンを使ったが、コンセントが少なく、モジュラージャックはデスクの下の壁にあって使いにくかった。ダイヤルアップ接続は28.8Kとイライラ速度。
バスルームは相変わらず古めかしい。青い花柄のビニールクロスがアジアの安ホテルを思わせる。ベイシンとカランの位置関係が悪く、手を洗おうにも水流に手をさらすことが難しい。バスタブのカランも年季が入り、水の出方までレトロだ。バスルームの照明は、ベイシン上の蛍光灯のみだが、全体を十分に明るく照らしていた。
3月19日から桜まつり。春先の高輪をジョギングするのもいい。ウェアとシューズは無料でレンタルしてくれる。
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