チェックインは16階のクラブラウンジで行なった。すでに顔を覚えられ、名乗ることなく手続きが進んだ。部屋に向かう前にラウンジで喉を潤していると、窓の外から子供たちの歓声が聞こえてくる。この日はスカイプールのプール開き。前日までは雨の予報だったが、それに反して素晴らしい晴天と真夏の陽気に恵まれ、絶好のプール日和となった。聞けば、プール開きに合わせて地元品川の小学生たちを無料で招待したのだという。子供たちのはしゃぎようを見ると、このプレゼントがどんなにか嬉しかったかが伝わってくるようだ。

客室は、最上階に多数あるエグゼクティブクラブルームのツインタイプが用意された。改装前はスイートと呼んでいたが、現在はやや控えめにエグゼクティブルームと改められている。ツインとダブルがあり、それぞれに2種類（ダークカラーとライトカラー）のカラースキームがあるようだが、いずれもワンルームタイプのジュニアスイート的な設え。今回の部屋はダークカラーだ。

リニューアル済みの部屋と比較しても、こちらの方がバスルームを含めてより根本的に改装してあり、かつての面影を残すのは、バルコニーと無駄に広いホワイエ部分のみとなっている。そのホワイエにはミニバーや飾り棚を配置し、床はフローリングにした。

続くリビングやベッドスペースはカーペット敷き。リビングには大きなソファとアームチェアに囲まれたローテーブル、窓の近くに置かれたライティングデスクがある。家具の位置が壁の額とずれているのが非常に気になっただけでなく、クラブラウンジにあるのと同じ形状のアームチェアは妙に大きすぎて、室内の通行を困難にしている。

また、壁紙がパッとしない上に、貼り方が粗雑なため、早くも壁から浮き上がっている部分がいくつも見られる。デスクは黒いながらも、両端が丸みを帯びたデザインのため、シャープさよりも優しい印象を醸しているが、作業をするにはやや奥行きが足りないように感じられた。

リビングとベッドスペースを仕切っている衝立の両面には、それぞれ42インチのプラズマテレビが掛けられているが、DVDプレイヤーはリビング側だけの設置。2面の窓には、それぞれレースとドレープが掛かり、いずれも電動式だ。ベッドは140×205センチサイズが2台並び、マットレスや寝具もなかなか心地がよい。

バスルームは約7.5平米の広さがあり、2面のベイシンの間に小窓とドレッサーを配置しているのがユニーク。トイレは同じスペース内にあるが、バスタブと洗い場はガラスで仕切っている。バスルーム内は石張りで、洗い場の壁の一部のみ本磨きではなく変わった仕上げになっているのが面白い。

バスタブは160センチの長さがあるが、カランが細いため、給湯にはかなりの時間を要した。アメニティはアロマテラピューティクス。タオルは3サイズが4枚ずつ用意され、バスローブも備える。内装の雰囲気は気に入ったが、清掃状態は今ひとつ。特に金属部分やバスルーム内に手の跡や、洗い残しなどがあり、一層の徹底が望まれる。

ルームサービスのディナーは、指定した時間よりも15分ほど遅れて届けられた。アームチェアが邪魔をしてワゴンを室内に入れるのに一苦労したが、ワゴンとソファの高さ関係は悪くない。ディナーはルームサービスメニューに載っている5,980円のコースに、魚介料理とデザート盛り合わせが追加されたもの。トータルで8,000円相当らしいが、ラップが掛かった状態で一気に運ばれてしまうと、まるで大勢で出前を取ったような状態。でも、味は思ったよりも美味しかった。

チェックアウトもスムーズに行なわれ、プリンスには珍しいキリッとした感じで知性をたたえた若い男性がタクシーまで見送ってくれた。これまでのプリンスでは、客室設備的にもサービス的にもこのような満足は得られなかったと思う。確かにプリンスホテルは生まれ変わりつつあるようだ。