グランドプリンスホテル新高輪 Club Twin Room |
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Grand Prince Hotel New Takanawa |
2008.07.06(日)
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東京都港区 |
怒-1
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置き去りにされたメインディッシュ | 曇り空の下、品川駅からざくろ坂を上がり、ホテルに着いたのは15時半だった。今日の予約はチェックインタイムが16時からのプランなので、それには少し早かったが、とりあえず手続きをすることにして16階のクラブラウンジへ向かった。
ラウンジレセプションにはベテランの係が2名いて、前回とはまるで違うパーソナルタッチのチェックインが行なわれた。前回の若い新人にも手違いがあったわけではないし、明らかな無礼があったわけでもない。ただ、度々利用するものとして若干の物足りなさを感じたのは事実であり、今日のような気持ちのよい対応を経験してしまうと、常にこうあって欲しいと思うのも、客の心理というもの。同じ料金を払うなら、洗練されたサービスを味わいたいし、大切に扱われる方が気持ちがいい。ホテルには、常に高い水準で安定するよう、努力を重ねてもらいたいと思う。 客室へは男性の係が案内してくれた。用意されたのは15階の部屋。ラウンジからだとエレベータでひとつ下りなくてはならない。せめて15階と16階の往来くらいは非常階段を開放してはどうだろう。駅からのエントランスからロビー階へは、堂々と非常階段を開放して来たのだから、今更恥ずかしがることもなかろう。そうすればラウンジと客室との往来が楽になるし、エレベータも多少はスムーズに運行するようになるはずである。 そういえば、前回来た時、6基あるエレベータは、高層階用と低層階用に3基ずつ分けられていた。赤坂プリンスホテルの真似っこをしたのだろうと思っていたが、また6基ともすべての階に通じるよう戻されている。 しかし、ボタンは3基ずつ独立したままなので、ひとつを押しても片側の3基しか反応せず、反対側の3基を呼ぶにはそちら側のボタンを押さなくてはならない。これを知っている客は、自らの待ち時間を短縮するために、両方のボタンを押して待つだろうから、運行状況は一層非効率的になり、悪循環だ。 案内した係にどうしてこのような状況になっているのか尋ねたら、「苦情が多かったため」とのこと。どういう苦情かわからないが、客の心理を考えずに安直な改変を行なうから、こういう結果になるのだ。大抵、ホテルが考えることの半分は客の不評を買う。 エレベータ3基の改装は終わったが、残り3基は手付かずのまま。低層階客室の改装も遅れているらしく、少なくともしばらくはこの中途半端な状態が続くが、ここまま改装計画が頓挫してしまう可能性もある。 客室はこれで何度目かになるクラブツインルーム。室内に変わった様子はないが、棚に飾られたエアプランツが見るたびに痩せ衰え次第に朽ちていくのは、なんとも痛々しい。毎回同じ部屋のものを見ているわけではないが、すべての部屋に於いて命からがらの状態に違いなく、壁を1枚隔てたところで兄弟同士死に行く運命を、植物ならではの超常現象的なパワーで互いに感じあっていると思うと不憫であった。 そんな室内の風変わりな植物とは対照的に、バルコニーから望む庭園の木々たちは、夏の日差しを存分に浴びて、ここぞとばかりに葉を茂らせている。さくらの季節に見た庭園とはまったく違った眺めだ。こうして、部屋にいながらにして四季の移ろいを強烈に感じられるホテルは、東京広しと言えども滅多にない。 夕食は、庭園を通って高輪プリンスまで行き、この3月20日にリニュールオープンした「グランカフェ パティオ」を利用してみた。オープンキッチン、ウッドデッキのテラス席を設け、アクティブでカジュアルな雰囲気とともに、ナチュラルな料理が楽しめるのだという。大きな窓から望む庭園も魅力のひとつだ。明るい店内は、気の毒にも閑散としており、アルバイト中心のスタッフたちは、困ったことにやる気半分といった感じだった。 テーブルに案内されると、若い男性スタッフからメニューを渡された。フツウにニッコリと差し出せば十分なところを、バーのように腰を低くして渡す。フラメンコダンサーを思わせるようなキリッとした男がやれば、それはそれでカッコイイと思うが、そんなわけもなく何だが滑稽だった。 笑うのを我慢していたら、今度は「よろしければ最初にお飲み物はいかがですか」と、いっちょ前のことを尋ねてきた。高級店を気取っているのか、はたまた居酒屋の血統なのか。ここで喉でも乾いていれば、こちらから進んで何かを頼むかもしれない。だが、つい数分前までクラブラウンジで喉を潤して来たので、そのオススメは不要だった。 彼が本当に客のためを思って飲み物を勧めているのであれば、このやり取りはここでおしまい。それでいい。でも、実際は客単価を少しでも上げたい店舗責任者からの指示で言っているに違いなかった。であれば、客の気持ちをそそるような言い方も一緒に教育してやらなければ、効果は上がらないだろう。彼の言葉は明らかに棒読みで、つっけんどん。注文する気持ちになるどころか、かえって萎えた。メニューの出し方もそうだが、要するに板に付いていないことをすると、どの道ずっこけることが多い。 メニューを見ると、すべて文字。プリンスのコーヒーショップやラウンジのメニューは、写真が入っているところがよかったのに。例えば、クラムチャウダーとか、ペンネアラビアータとか、全世界にあるような共通料理ならば説明は不要だが、本日のおまかせ肉料理とあっても、想像できない。 遠く離れたところでたむろしている係の注意を苦労して引き、料理について説明を求めても、「少々お待ち下さい」と引っ込んでしまうし、「はい」と言えず「ほい」と発音する子とは会話が成立しないなど、どこか別の文化圏に迷い込んだ気分。ここは本当に東京か。 温かいものが飲みたかったので、メインディッシュの前にスープを注文したが、しばらく時間が経ってから「今日は温かいスープはありません」と来た。あるのは冷たいスープだけだというのである。ポタージュもすぐに作れないとは、キッチンに調理人はいないのか。というわけでスープは諦め。 程なくメインディッシュが運ばれてきた。と思ったら、その料理はカウンター席に一度置かれてしまった。その様子を直接目に出来ないが、窓に向かって座っていたので、反射により見えている。料理を置いた係は、入口に訪れた別の客を席まで案内し、その後改めて料理を運んできた。テーブルに差し出された料理の表面はすでに乾いている。空調の効いた店内なので、料理は速やかに提供しなければ、たちまち冷めてしまうのだ。 第一、料理提供と客の案内ならば、料理が優先である。たまにしか来ない客を逃したくないのだろうけれど、客とて料理を放っておいてでも先に案内しなきゃ帰るとは言わないはず。「ただいますぐに・・・」的な視線を向け、まずは料理を出して、それから案内に駆けつければよかったのである。それとて、従業員がひとりしかいないわけでなし、なぜチームプレーが出来ないのか。困ったものだ。 余談だが、高輪プリンスホテルには、明治44年に竹田宮邸として建てられた貴賓館があり、現在でも宴会場として利用されている。館内には見事な建築美がちりばめられており、一見の価値がある。 |
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グランドプリンスホテル新高輪(公式サイト) | |
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