まあ、急ぐわけでもない。次の電車を待つことにしよう。次の電車というのは、札幌から各駅停車になった。そのため、小樽に到着したのは、目前で逃げられた快速よりも１時間後だった。小樽築港の駅からヒルトンまでは、ペデストリアンデッキとモールを抜けていけば、さほど外気に触れることなくアクセスできる。でも、それも日中の話。この日の通行可能時間は、ちょうど１時間前に終了していた。

かと言って、タクシーに乗るような距離ではなく、重いスーツケースを持ったまま階段を降り、歩道を通って正面玄関を目指すしかない。ロビーに到着したのは、別海町を出発してから、実に７時間後だった。道内の移動で、しかも飛行機まで使っているのに、これほど時間を要するとは。やはり、北海道は広い。

今回は、もともと釧路から東京へ帰る予定だった。だが、小樽の知人たちに北海道を訪れていることを伝えたら、ぜひ立ち寄るように言われ、急遽予定を変えたのだった。ホテルは知人が予約してくれてあった。そうとは知らず、自分でもネットで予約を入れてしまったのだが、ホテルから携帯に電話がはいり、ダブルブッキングになっていることを知らされた。

どちらの予約を生かすべきか。もちろん、安い方である。聞けば、知人が予約したレートの方がかなり安かったので、それを残し、自分でブッキングした分は自分キャンセルすると伝えて電話を切った。その後、ネットでキャンセル操作をしたが、うまく出来なかったので、到着時にフロントで対応してもらった。

部屋はいつも通り。夕食がまだだったが、もう22時を過ぎているこの時間では、ルームサービス以外の選択肢はない。それでも、こうしてルームサービスがあるというのが、高級ホテルのありがたさである。メニューを見るが、お気に入りの低カロリーシリーズが無くなっていた。残念。こんな遅い時間に高カロリーなものなどヤバ過ぎると思ったが、もうこの際、どうでもいい。カルボナーラと、デザート、コーヒーを注文して、しめて3,550円だった。

料理が届くまでの間、シャワーを浴びた。以前は水圧の低さが気になっていたが、かなり改善されている。食後には、あらためてバスタブに湯を張って、じっくりと体を温めた。ホッとしたところで、書類や荷物の整理をして、しばらくのデスクワーク。時計を見たら深夜3時近かった。少し仮眠をしようと、ベッドに滑り込んだ。朝食は7時に。今回は団体客が少なかったようで、レストランは落ち着いた雰囲気。サービスは安定しており、料理の内容も充実した印象である。

チェックアウト後は、小樽の知人たちといつもの「福鮨」へ。今週は道内で美味しい海の幸をたくさん食べたが、やっぱりここが一番美味しい。

次回小樽を訪れる時は、もうヒルトンではなくなっているだろう。シンガポールのグランドパークが、イシンからこのホテルを買い取り、ヒルトンではなく自社ブランドとして運営するらしい。イシンにとっては、落ちぶれたホテルを安く買い、再生し、高く売れたのだから大成功だろう。

日本で知名度のないグランドパークが、小樽という場所でどこまで健闘できるのか、行く先は不透明だ。ニセコなど、北海道が外国人にも人気が高いことは確かだが、このホテルがグランドパークとして軌道に乗るのは、しばらく先になるような気がする。心配なのは従業員の雇用だが、GM以下、ほとんどのスタッフがそのまま残るとのこと。母体は変わっても、いつものサービスで迎えてもらえそうだ。ただ、HHonorsの特典が使えなくなるのは、かなり痛い。ヒルトンでなくなる寂しさに「哀」。