このホテルではいつも32平米のツインかダブルばかりを利用してきた。しかも、禁煙室を希望するので、ほとんどいつも14階。そして、一度の例外もなく海側の客室だった。たまには山側にでも泊まってみようかと思わないでもないが、いざそうしようという段になると、やっぱり静かなマリーナと雄大な海の眺めが恋しくなる。

では、海側でこれまで利用したことのないタイプというとスイートになるが、64平米のベイスイートは満室だった。今回はシングルユースで2泊する予定で、日中はほとんどホテルにいられないため、ちょっともったいないかと思ったが、エグゼクティブスイートを利用することにした。

スイートはすべて最上階18階の海側にある。レギュラールーム4室分のプレジデンシャルスイートに次いで広いのが、レギュラールーム3室分のエグゼクティブスイートだ。96平米の面積があり、64平米がリビングダイニング、32平米がベッドルームとバスルームに当てられている。両開きのエントランスドアには、「Executive Suite」とだけ表示されており、部屋番号は書かれていない。ヒルトンだからルームキーを見ても部屋番号はわからない。サインで食事をする時などに困ると思ったが、室内の電話機を見たら書いてあった。

エントランスには大理石張りのホワイエがあり、続いてソファのあるリビングコーナーになっている。大きなアーモアには、26インチの液晶テレビとミニコンポ、VHSデッキが備わっているが、DVDはない。床はフローリングで、ソファの下にはラグマットが敷いてある。大きなソファなので、ゆったりと過ごせるのがいい。リビングに続いてダイニングコーナーがあり、8名用のダイニングテーブルセットが据えてある。ソファとの間にはコンソールを置いて簡単に仕切った。

2面の窓の間には、洒落たデザインのライティングデスクが置いてある。レトロな雰囲気のデスクランプもあり、ここで海を見ながら恋文でも書いてみたいような気分にさせられる。照明器具も充実しており、スタンドやシーリング、ハロゲンのダウンライトなどを効果的に使って、室内を美しく見せている。インテリアは明るい木目とベージュやグリーンのファブリックでコーディネート。ナチュラルな印象で、やさしい雰囲気だ。大きな観葉植物も配置され、居心地のいいリビングダイニングに仕上がっている。

ベッドルームには190センチ幅のベッドが一台。寝具は真っ白いデュベカバーを使っているが、マットレスはややへたり気味だった。窓際にはオットマン付ソファを配置。その他、20インチ液晶テレビを収めたアーモアと、ドレッサーが設置されている。リビングルーム、ベッドルームともに天井高は290センチ近くあり、レギュラールームより高い。

バスルームは約8平米で240センチの天井高を持っているゆとりの空間だ。大理石張りで高級感があり、ダブルベイシン、大きなバスタブ、シャワーブース、トイレを備えている。全体的に清掃状況もよく、とても快適だった。

段々クオリティが落ちてゆくばかりだった朝食が、少し盛り返してきた。おそらく夏のシーズン到来で、稼働率も高くなって来たのだろう。朝食のアイテムが増え、鮭のちゃんちゃん焼きも復活した。盛り返したのは結構なことだが、冬の閑散期でも朝食の料金は同じなのだから、内容に差があるというのは好ましくない。

閉店してしまっていた「海鳴楼」も銀行の手により再オープンされ、また手頃なアクセサリーが並ぶようになったが、明らかに品揃えが悪くなった。更に、店員の雰囲気も不親切で感じが悪くなるなど、銀行のセンスと手腕を疑わざるを得ない。小さなテナントショップでのこととは言え、ホテル全体の印象低下にもつながりかねないので心配だ。

滞在中は、朝食以外はすべて外食だった。馴染みの店を訪ねたほか、神威岬をドライブする途中で、岩内の「みさき」でバフンウニ丼3,200円を食べたが、これがまた美味だった。大衆食堂の雰囲気だが、次から次へと客が入ってくる人気店。やはり人気はウニ丼のようだが、おまかせ定食や鍋などもいい味している。やっぱり北海道は海産物が特に美味しい。