日ごろ、派手に装飾されたエレクトーンの音楽ばかりを聞いているので、管楽器や弦楽器が旋律を奏で、ピアノがそれを支えて行くといったシンプルな音楽が、ことさら心に響く。そこに更に深く沁み込んだのは、店主夫人の「神田さん、続けることよ」という一言だった。音楽もしかり。また、この「喜怒哀楽」もであろうと、しみじみ思った。

大賀ホールを後にして、その裏手にあるハーベスト軽井沢の食堂に入り、松花堂弁当（コーヒー付き、2700円）を注文。観光地の廉価なランチ弁当などどの程度だろうかと思っていたが、量は控えめながらも見栄えも味わいもなかなかであった。それから鶴溜、南軽井沢、旧軽井沢の協力者たちにあいさつ回りをし、今度は駅前の「茜屋」で熱いコーヒーを飲みながら、軽井沢での半日を振り返って過ごした。

プリンスアウトレットと星野周辺だけはとても人が多く、賑わいというよりは混雑という雰囲気。一方、ちょっと道を外れれば、木漏れ日が大層美しい昔ながらの軽井沢が残っている。新顔の施設は集客にこそ一役買っているようだが、古くからの軽井沢住人には受け入れられていない様子だった。

東京に戻り、高輪プリンスにチェックイン。予約通りのスタンダードツインが用意されたが、隣室には騒々しい子供連れがいる。どうしたものかと思ったが、この後はレストランで食事の予定があり、戻る頃には寝静まっているだろうと踏んで、このまま使うことにした。

「トリアノン」は、金曜日の夜でも数卓しか埋まっていない。席の間隔が広く、ゆったりとした空間が魅力の店なので、混雑してしまっては魅力半減なのだが、それでもいささか気の毒だと思う雰囲気だ。それならせめて売り上げだけでも貢献してやろうかと思い一番高いコースに奮発した。といってもそれでも13,000円と安い。

それ以上に奮発していたのは隣の席。高価なシャンパンやワインを注文し、主要なスタッフの注意を独り占めにしていた。ホストクラブでピンドンを続けざまに抜くような勢いを放っている。散財はお隣に任せて、やはりこちらはおとなしく行くことにしよう。どう競り合っても、スタッフの注意をこちらに向けるのは無理そうだ。残された給仕は、若いゆるキャラ的女性スタッフ。とことんマイペースで、ぽわ〜んとしたサービスをする。慣れればどうということはないが、慣れるまでは調子を狂わされた。

料理は伝統的な手法によるものを、無理にモダンな見栄えに仕立てている感じ。であれば、オーソドックスなままに提供してくれたほうが説得力が感じられるように思う。食材も悪くない。スズキや鴨は「ほう、いいじゃない」と唸る出来栄え。さて、デザートはどんなだろうと期待に胸ふくらませていると、ガックリするチャチなものが出てきた。トータルでの流れをもう一度考えてほしいところ。

翌朝は10時のオープンと同時に屋外プールへ。次々に人が集まり、30分と経たないうちに有料のデッキチェアが満席となった

。新高輪プリンスの大宴会場「飛天」では「鉄道展」を開催中。壮麗なシャンデリアが下がる場内には、壮大なスケールの鉄道ジオラマや、鉄道シミュレーター、鉄道グッズの販売コーナーが設けられ、ファミリーからマニアまで、幅広い客層で賑わっていた。子供よりもそのママの方が熱くなっているようにも見受けられ、それもなかなか興味深かった。また、大鉄道博をプロモーションするためのジオラマが高輪プリンスのロビーにも展示されているが、西武のホテルなのに京急のジオラマであるのが不思議な感じだった。