ロビーを行き交う人々にはリラックス感や華やぎが感じられ、それに連動してスタッフたちの笑顔も弾けている。ロビーに設置された大型ディスプレイでは箱根駅伝の様子が放映され、歩みを止めて見入っている人も多い。それを横目にスムーズなチェックインを済ませ、部屋へと向かった。

今回の客室はフロアの一番奥にあるコーナールーム。東京タワー向きの狭い部屋が並ぶ側にあるスタンダードダブルだが、コーナーにある分、少しだけ広くなっている「当たり部屋」だ。

通常のスタンダードダブルは約24平米で、160センチ幅ベッドが窓に足を向けるように配置されているが、この部屋では異なっている。ベッドは200センチ幅で、配置は窓に対して平行。奥まった場所にベッドが丁度よく収まり、均整が取れている。だが、マットレスは硬く、ベッドリネンは粗い感触だったのが残念。

どっしりと重いソファセットは、ベッドの足元、すなわち部屋の中央付近に置き、ベッドと遠く離れた反対側の壁にデスクユニットがある。このため、ベッドからテレビを観るには、不向きな印象があった。また、改装時に多くの部屋に導入されたビジネスデスクだが、この部屋には設置されておらず、旧来のデスクユニットだけがある。デスクランプだけは新しい。

バスルームはタワー側の客室共通である150×200センチサイズのユニット。タオルは3サイズ揃うが、バスローブはない。この部屋には、不思議な落ち着きが感じられる。ちょうど、シェラトン都ホテルの、レギュラーフロアにあるコーナーダブルに似た構造と印象だ。広くもなく、窮屈でもなく、このほどほどの広さが、一人旅や緊密な相手との時間にぴったりフィットする。

そして、低めのソファに深く身を埋めれば、相手がそこにいようといまいと、穏やかな対話がスタートすることだろう。それが夜ならば、灯りを落として、シングルモルトでも注いでみたい雰囲気である。

だが、今回の目当てはスコッチではなく、正月イベントだ。早速、各種催し物の案内を片手に、3軒のプリンスを散策してみることにした。最も賑わいがあり、工夫が凝らされていたのは、新高輪プリンスの宴会場だった。パミールでは、東京の伝統工芸の店や駄菓子屋など、下町の情緒が感じられる雰囲気が演出されており、卓球ルームや移動式のプラネタリウムもある。意外に混雑しているのが囲碁コーナーだった。

ふと見ると、とりわけ多くの人が集まっているコーナーがあり、何をしているのかと近寄ってみると、ちょうどホテルスタッフたちによる餅つきが始まったところだった。来場客のこどもにも飛び入り参加を求め、アットホームなムードに包まれた。つき上がった餅が配られるのかと思いきや、感染症予防のため、客たちにはあらかじめ厨房でこしらえたものが振舞われた。

花録など、有名な噺家が出演する新春落語は、500名の会場に8割ほどの入り。寄席とは一味違った雰囲気が味わえた。

これらの催しは、正月プランを利用していれば、ほぼすべてが無料で楽しめる。親子三代での滞在など、人数の多いファミリー利用なら、食事もイベントもいちいち手配の必要がなく、追加出費の心配もいらない正月プランは便利だろう。海外旅行にたとえるなら、至れり尽くせりの添乗員付きパッケージツアーといったところだろうか。

一方、正月プランを利用しなくても、これらのイベントは十分に満喫できる。中には有料のイベントもあるが、値段は手頃なので、気に入ったものがあれば、その場で申し込んでもいい。ルームチャージだけのシンプルなプランでステイし、好みのイベントだけをチョイスして楽しむというのが、アクティブな人々にとっては賢い利用法だろう。