グランドプリンスホテル高輪 Prince Suite
Grand Prince Hotel Takanawa
2009.03.20(金)
東京都港区
楽-4

スイートに通じる廊下の扉
 
個性際立つスイート 朝は雨が降っていたが、気がつけば晴れ渡り、南の空には夏の雲が高く盛り上がっていた。午後、高輪プリンスの庭園には多くの人が出て、ゆっくりと散策を楽しんでいる。満開の桜に酔いしれるにはまだ早いが、それでもささやかな春を求めて思い思いの時間を過ごす人々の表情は、どこか穏やかだった。

チェックインを済ませて向かったのは、最上階のコーナーにあるプリンススイート。長い廊下を隔てた反対のコーナーには最高級スイートがあり、このプリンススイートはその次のクラスに当たる。こうしたプレステージスイートが利用できるプランが販売される機会は少なく、ホテルと特別な縁がない限りは通常料金での予約が必要だが、今回はたまたま宿泊プランを見かけたので、安くはないが予約を入れた。

ひとつ下の階には、同じ広さで同じ料金のプリンセススイートがあり、プランではどちらかを選択できるようになっていたが、内装やレイアウトの違いを比較すると、プリンススイートの方がより興味深かった。結果的にもこの選択は間違っていなかったと思う。

このスイートを特別なものだと感じさせるのは、室内だけではない。よりグレードの高い内装を施したロイヤルフロアの廊下の中でも、様子が異なるセクションにあって、よりエクスクルーシブな雰囲気を感じる。扉の質やデザインでも差を設けている。

メインの扉を入ると短い廊下があり、その先はすぐ広々としたリビング。そこはクラシカルなフレンチレストランのウェイティングルームを思わせるようなデコラティブな内装で、入るなり、親しい人たちを招いてパーティーでも催したい気分になった。だが、それはまたの機会にして、今日は広い空間でゆっくり過ごすとしよう。

リビングでメインの存在となっているのは、総勢10人でテーブルを囲めそうなソファセットだ。ロングソファの背にはフレンチウィンドウをはめ込んだ一面ワイドな窓があり、眼下には自慢のガーデンを一望する。天井には華やかなシャンデリアと蛍光灯間接照明に加え、壁には7箇所もの装飾ブラケットを設けている。他にもスタンド類があるなど照明は充実しており、一部は調光可能である。

壁はいくつかの色で塗り分けられた塗装壁で、布地は使われていない。その壁には、派手な装飾のミラーや数々の絵画が掛かり、室内を華やかに見せている。家具類も同様に装飾的だが、一番目立っているのはどこかの城から持ってきたような白いコンソール。上には置時計とともに、オーディオが載っている。

更に大きな装飾品としては、壁に向けて置かれた木目のコンソールピアノがある。演奏できる状態ではあるが、調律は悪く、弱く弾いても廊下に筒抜けなので、やはりこれは飾りだと考えた方がよさそうだ。

ダイニングセットとライティングデスクは部屋の片隅に追いやられているように見える。ソファセットがあまりに堂々と場所を占めているからだろう。ダイニングは円卓を4つのイスが囲んでおり、デスクは壁の隅に置かれ、デスク自体が小さいことに加え、ダイニングと近いために圧迫感がある。

また、奥の方にはカウンターキッチンが設けられ、オーブンやコンロ、冷蔵庫などを備え、結構本格的な調理までできそうなように見えるが、古めかしくて実際に使えるのかどうかわからなかった。テレビは液晶32インチのものが専用の台に載せられてキッチンの前に置いてあるのだが、この部屋のインテリアにはまったく調和せずに浮き上がっている。他に、ゲスト用トイレを備えている。

ベッドルームは、200センチ幅の快適なベッド、窓際のソファ、収納家具、テレビで構成され、ほどよい広さの落ち着いた空間だ。収納家具は大型でしっかりとした造りで、十分な収納力を持つだけでなく、立派なハンガーや真鍮の金具など、上質さを感じさせてくれる。

ベッドルームとバスルームの間のブードアには、ドレッシングカウンターやバゲージ台にもなる大型チェストがある。バスルームは模様を揃えた白い大理石張りで広く取られているが、設備の充実という点ではやや物足りない。ダブルのベイシンやバスタブは水色の陶器製。シャワーブースはなく、トイレも独立していない。

ユニークなのは天井の照明。何ということのない蛍光灯の照明だが、格子状の飾りを付けることで、まるでトップライトであるかのような効果が感じられる。

やはりこの部屋でも給湯には極めて時間が掛かり、シャワーも弱いためにイライラした。係に聞くと構造上の問題で、すぐには改善できないとのこと。

全体で100平米超の特別スイートは、ユニークな内装と設備が目を引き、総じて快適で楽しい滞在だった。欲をいえば、この雰囲気はそのままに、改装時、古いキッチンやバスルームを見直すことがあってもよかったと思う。

 
2面の窓があるリビング ゆったりと過ごせるソファ リビングの中央にはシャンデリアが下がる

入口ドア 立派だが窮屈なデスク キッチンとパントリードア

年代を感じさせるオーブン 冷蔵庫 キッチンの収納棚

インテリアの溶け込むコンソールピアノ ゲスト用トイレのベイシン ゲスト用トイレ

エレガントな家具 大型で高級感のある収納 立派なハンガー

200センチ幅のベッド 寝室の窓際から見渡す 収納家具とテレビ

夜の寝室 ベッド脇から窓を見る ベッドルームの奥はブードア

デイベッド ブードア ドアの装飾

ダブルベイシン バスタブ バスルーム天井の照明

シャンデリア 外からでもすぐにこの部屋だとわかる 貴賓館を見おろす

 グランドプリンスホテル高輪(公式サイト)
 以前のレビューはこちら→ 011006 031229 040522 041004 041113 060109 060120 060331 060907 071005 080225 090102 090131 090220 090224 090309 090314


公開中リスト | 1992 | 1993 | 1994 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 |
| ホテル別リスト | レストラン別リスト | 「楽5」「喜5」ベストコレクション |