グランドプリンスホテル高輪 Garden Suite
Grand Prince Hotel Takanawa
2009.02.20(金)
東京都港区
楽-3

春が感じられるガーデンにて
 
ロイヤルフロア ホテルに到着したのは、ちょうどチェックインタイムだった。そのせいか、フロントカウンターは埋まっており、手続きを待つ客が列に並ばされていた。

このホテルの最上階は以前から広い客室を配したフロアだったが、今では「ロイヤルフロア」と名付けて、ラウンジこそないものの、数々の特典を有する特別階に仕立ててある。

その特徴のひとつが、専用カウンターでのチェックイン。このように混雑している時こそ、その真価を発揮してもらいたいところだが、専用カウンターの意味も価値もわかっていない若いベルガールは、ロイヤルフロアを予約していると言っているのに、列の後ろに並ぶことを要求した。結局のところ、専用カウンターは機能せず、一般客扱いで通常通りのチェックインとなった。

だが、客室まで同行したベルキャプテンは、不満そうな態度から何かを感じ取ったらしく、部屋に着くなり「到着早々失礼しました」と名刺を差し出しながら詫びた。その様子からは単なるベルというよりバトラー的な役割を担っているように感じられ、その後にも彼は丁寧で細やかなサービスを提供してくれる頼れる存在となった。

部屋に荷物を置いたら、まずはランチ。朝食をとる時間もなかったので、腹ペコだった。チェックインを急いでいたのは、ランチタイムのラストオーダーを逃したくなかったからである。急いでロビー階に下り、天婦羅「若竹」に入った。テーブル席とカウンターがあるが、ゆったりとしたテーブルを選び、2,600円の天婦羅刺身定食を注文した。

ランチは1,200円からと非常にリーズナブルなのに、店内はひどく空いていた。これで料理がまずいとかサービスに問題があるならそれも納得だが、料理にもサービスにも不足はなく、値段以上の価値は十分あると感じられるだけに不思議だった。オーセンティックで安心感のあるいい店なのに流行らないのは気の毒だ。

満腹になって部屋に戻り、ロイヤルフロア特典のひとつである、ウェルカムドリンクのルームサービスを注文した。選べるのはコーヒー、紅茶、日本茶のいずれかで、クッキーとともに提供される。疑問なのは、その提供時間が14時から18時までに限定されており、それ以降に到着した客には出してくれないこと。べつに飲み物とクッキーくらい、24時間提供できるだろうに。この辺もプリンスのおかしなところである。

やがて注文したコーヒーが運ばれてきた。係はそれを恭しくトレーからテーブルへと移した後、トレーは残しておくと言って出て行った。トレーはどこに置いたのかと思ったら、デスクの上。こういう無粋なものは、目立たないようサイドテーブルの下段にでも置けばいいのに、気が利かない。

食後のコーヒーも飲んだことだ、そろそろ初めて使う部屋をじっくり眺めてみよう。ガーデンスイートは64平米。ガーデンビュールーム2室分の広さがある。このフロアに6室のガーデンスイートがあり、内装やレイアウトはほぼ同じだが、ダイニングテーブルやコネクトドアの有無など、細かい部分に差異があるようだ。

この部屋はダイニングなしでコネクトドア付き。入口からリビングまでのホワイエには、ゲスト用トイレ、ウォークインクローゼット、ミニシンクが設けられており、コネクトドアもここにある。リビングとホワイエの間には内扉を設けている。リビングにあるものは、ソファセット、デスク、サイドボード、テレビ台、バゲージ台で、遊び心とは無縁の堅実な雰囲気。家具類はみなダークブラウンに真鍮がアクセントとなった男性的なデザインだ。

サイドボードの上には20本ものミニボトルを並べたミニバーがあり、無料のコーヒー、紅茶、日本茶、4本のミネラルウォーターが用意されている。テレビは今となっては旧式に見える26インチの液晶で、DVDプレイヤーを設置。ダウンライト、窓上の電球間接照明、スタンド類で構成され、2系統の調光機能が備わっている。おそらく改装で新調したのはファブリックとランプシェード程度で、家具類はそのまま活用しているものと思われるが、ヘタに安物に入れ替えるよりはずっといい。

寝室へは小さな扉だけで通じている。内装のテイストや家具のデザインはリビングと共通。122センチ幅ベッドが2台並び、マットレスはシーリー社製の30センチ厚で寝心地はいい。ベッドボード側の壁紙だけは、他の部分と違って柄入りのシルク風生地を使っている。ベッドと窓の間には、古めかしいデザインのオットマン付ソファがあり、非常に重たい大理石のテーブルを添えている。それがあること自体はいいのだが、場所的に、手動であるカーテンの開閉の妨げになるのが気になった。

ベッド前にはドレッサーにもなるデスクユニット、中ががらんとしているクローゼット、23インチ液晶テレビが載るキャビネットがある。全体的に引き出しや収納スペースが多く、ハンガーはトータルで28本が用意されている。寝室の照明も暗めだが、こちらも調光が可能だ。LANはリビング、寝室の両方にあり、ロイヤルフロアでは無料で利用できる。

ベッドルーム奥に位置するバスルームは、約7.5平米の面積があり、ゲスト用トイレと並び総大理石張りだが、デザイン的に新しい感じがしないので、大きな改装はせずに、金具の新調程度にとどめたものと思われる。そして、広さの割にはレイアウトが悪く、使いにくかった。

ベイシンはひとつで、スタンド型。バスタブは150センチ長で、トイレと並んでいる。シャワーブースは160×90センチと広いが、固定式のレインシャワー風のヘッドしかないため、ブースの壁面に飛んだ泡を洗い流すこともできない。バスタブにはハンドシャワーが付いているが、シャワーカーテンがないので、これまた使いにくい。

加えて、水圧が極めて低く、バスタブ給湯もシャワーもじれったいほどに弱々しい。フロア特典で利用できるさくらタワーのサウナ&ジャクージまで出掛けるのもいいが、それでも室内のバスルームもしっかりメンテナンスしてもらいたい。アメニティはアロマテラピューティクスをメインに揃えているが、タオルは、プリンスのラグジュアリールームで多く採用しているテネリータではなく、通常の仕様のものを使っている。

ターンダウンサービスも、このホテルではロイヤルフロアのみで行なっている。夕方、男性の係がやってきて、ベッドメイクやタオル交換、アメニティの補充など、フルサービスのターンダウンが実施された。係は、タオルを取りに行ったり、アメニティを取りに行ったりと、何度も部屋を出たり入ったりするが、その度にチャイムを鳴らし、その度に扉を開けに行かなければならず、面倒だった。作業の間は、ドアを半開きにしておくのがフツウだと思うのだが。

あと残りのフロア特典は3つ。ロビー階の高輪ゲストサロンでの緑茶サービス。これは、コーヒーだのミネラルウォーターだのと、飲み物ばかりが重ねて振舞われ、もうガボガボという感じだし、結婚式の相談所みたいな場所でわざわざお茶だけもらっても、あまりありがたみはない。ランドリー半額サービス。これは、7連泊以上しなければ使えないので関係なし。

最後は品川駅までの送りサービス。ベルキャプテンに申し出れば、ホテルカーで品川駅まで送ってくれるというもの。出発時だけでなく、外出の際にでも利用可能だった。チェックアウト時、無料のはずのLAN代1,000円が計上されていた。明細はきちんとチェックした方がいいようだ。

 
天ぷら「若竹」からの眺め 天ぷら「若竹」店内 天ぷら「若竹」の天刺し定食

スイートの入口とコネクティングドア ホワイエにはミニシンク付き ウォークインクローゼット

ゲスト用トイレ お茶セットもレギュラールームより高級仕様 コーヒーメーカーもある

ディスプレイされたミニボトル リビングのキャビネット 冷蔵庫内

リビングを奥から見る ソファセット 重厚感のあるデスクユニット

内扉からリビングを見る ウェルカムコーヒーサービス 夕暮れの景色

ベッドルーム ベッドルームの家具 窓際のソファ

夜は間接照明が効果的 大理石張りのバスルーム スタンド型のベイシン

トイレ バスタブ 固定シャワーのみのシャワーブース

シャワーブースの固定シャワーヘッド 植物精油が香るバスアメニティ ロイヤルフロア用バスアメニティ

庭園にて 庭園にて 庭園にて

 グランドプリンスホテル高輪(公式サイト)
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