グランドプリンスホテル高輪 Standard Twin Room |
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Grand Prince Hotel Takanawa |
2009.03.09(月)
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東京都港区 |
哀-2
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教育不足? | 雨の東京。やがては美しい花を開き、この地へ多くの人を誘い込む桜の幹もしっとりと濡れている。あえてさくらタワー脇からガーデンへの石段をあがり、木々や草の匂いを胸に吸い込みながら、ロビーへ続く小路をゆっくり歩いた。
ガーデン側のエントランスには和傘が並び、各ホテルを往来する人々に重宝されている。臨時に置かれたカゴには、こぶりのタオルが積まれ、訪れた人が滴をぬぐえるようにしている。このささやかな気遣いが、スタッフひとりひとりの心に宿っていれば申し分ないのだが。 20時を過ぎた館内はとても静かだった。ラウンジからはピアノの甘い旋律が漂っている。演奏しているのは瞳の大きな黒人の女性だ。ラウンジに客は少ないが、それでも指を止めず、リラックスした表情で空間を彩っている。なかなかいい雰囲気ではないか。 そのまま歩みをフロントに進めると、カウンターでは数人の外国人たちがチェックイン中だった。ゆったりした気分だったので、列に並ぶことはせず、後ろのソファに掛けてカウンターが空くのを待っていた。外国人たちはフロント係に対し、遠慮なく希望をぶつけているのが聞こえてくる。シングルルームを予約しているのにキングサイズベッドがいいと言う人、その場で目的地や観光の情報調査を始める人、部屋にゲーム機が欲しいという人など、それぞれに対応するだけでも大変そうだ。 しばらくしてフロントに客がいなくなったところでチェックイン。先ほどの外国人対応で疲弊したのか、もう愛想は売り切れましたと言わんばかりに、機械的な手続きだった。だが、今日ばかりは自分でも不気味なくらいにロマンチックで楽天的な気分だった。まるでイタリア人になったかのように。無愛想など気にも留めず、イヤミにならない程度に微笑みを浮かべながら、キーを受け取って部屋に向かった。 用意されたのは24平米のスタンダードツイン。このタイプを予約して来ても、いつもコーナールームをアサインしてくれたり、ガーデンビュールームにアップグレードしてくれたりしていたので、予約どおりの部屋になったのは初めてのことだ。 部屋はややL字型。窓は1枚分だが、わずかながらに隣室のタワービューダブルに壁が食い込んでいることで、居室の横幅が広くなっているのである。ベッドは窓を足にして2台が並ぶ。ひとつの幅はわずか98センチだ。そして、ベッドの足元と窓の間に、アームチェアとテーブルが置いてあり、ちょうどベッドとご対面するような位置関係になっている。この部屋にも新型ビジネスデスクはなく、旧式のデスクユニットのみが置いてある。 結局、コーナールームと備品の数や質は同等で、わずかな面積差とレイアウトだけが相違点のようだ。 夕食は性懲りもなく「パティオ」へ。軽く食べるにはここしかないのである。まして雨では館外に行く気にもならないし、この狭い部屋でルームサービスという気分でもない。本当に軽いものだけでよかったので、サラダとパン程度をイメージしてメニューをめくった。するとパティオセットなるものが目に飛び込んだ。スープとパンとコーヒーで1,200円。これは手頃でいいと、迷わず注文した。 パンはこの店自慢のふわふわっとしたホットロールで、オーブンでふっくら温めて提供される。最初にこのホットロールだけが来た。「温かいうちにどうぞ」というので、スープを待ちながらも、ちょっとずつちぎって口に運んだ。スープはなかなか来ない。気が付けばホットロールは食べ終わっていた。 それからしばらくしてやっとスープがやってきた。店はガラガラなのに、何をしているのだろう。「パンと一緒に食べたかった」と一言だけ言わせてもらった。「そうか、パンとスープは同時に出せるよう注意しなければ」と感じてもらえば十分だった。だが、係は「はあ?」という表情で去っていった。まあいい。今日はイタリア人だから。 そしてスープだけすすって、もうすぐ飲み終わるという頃、なんと「今回は特別に」と言って、またホットロールが出てきた。「ぼくたち心通じないね、セニョリータ」と思いながら、「ありがとう、いただきます」とニッコリ。ああ、もう腹いっぱいなのに。 あくる日は、室内にこもって終日作業することにしていた。昼頃になって空腹も感じてきたので、ランチタイムの間、滞在中の清掃をしてもらおうと、その依頼のためフロントに立ち寄った。客室係に直接電話してもよかったのだが、他の用件もあったのでフロントで頼み、今からだと何時に仕上がるかを確認してもらった。できるだけ急いで欲しいと付け加えることも忘れなかった。 フロントの若い女性は、目の前の電話で係と話している。彼女は希望を正しく伝えていたが、客室係の返事は期待とは掛け離れていた。受話器を置いた彼女は「あと1時間半掛かるそうです」と言った。そんな、悪い冗談か嫌がらせにしか聞こえない。広大な最高級スイートなら理解できないでもないが、あんな鶏舎のように狭い部屋を整えるのに、どうして1時間半も必要なのか。 そこにまた殺気を感じたのか、マネジャーがどこからともなく出没した。もうイタリア人モードは終わり。チャオ。部屋はきれいに使っているので、それほど清掃に時間は必要ないはずだと言い、掃除機を掛ける必要もないと付け加え、レストランへ向かった。 食事をしていると、先ほどのマネジャーが来て、清掃は終わったと告げ、フロント係への教育が行き届かないことを詫びた。それは違う。この件に関してはフロント係は悪くない。若いフロント係の言葉を客の声と思って聞けなかった客室係にこそ傲慢さが潜んでいるのだ。若手が客のリクエストを伝達しにくい風潮があるとすれば、とても危険である。セクション間に、つまらぬ上下関係のようなものが生じていないか、今一度確認した方がいいように思った。 |
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グランドプリンスホテル高輪(公式サイト) | |
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