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グランドプリンスホテル赤坂 Semi Double Room | |
Grand Prince Hotel Akasaka | 2011.02.13(日) |
東京都千代田区 | 哀-3 |
ARCHIVES ・ 1992 |
赤坂の記憶 赤坂プリンスホテル閉館のニュースは、ホテルファンだけでなく、広く一般の人々にも大きな衝撃を与えた。大きなホテルがひとつ消えてなくなるという事実だけではない。赤プリは、日本の成長の証明でもあり、青春と憧れの象徴でもあり、バブルへのプレリュードでもあった。赤坂プリンスの喪失は、さほど好きでもなかった昔のアイドルに訪れた突然の死に似ている。 だが赤坂プリンスが閉じるまで、まだ時間が残されている。最後まで顧客だった奇特な人ばかりでなく、とんとご無沙汰な人、そもそもホテルを利用する機会のない人までが押し寄せ、空前の賑わいを見せているのではないだろうか。ちょうど横浜プリンスの最期のように。 赤坂見附交差点からホテルへは、弁慶濠に掛かる弁慶橋を渡り、紀州和歌山藩徳川家屋敷跡の石標を横目に、赤坂プリンス正面玄関へと通じる歩行者専用通路を進む。 歩道は緩やかな階段が続くが、江戸時代にはどんな眺めだったのかと、想像を膨らませながら歩くのも悪くない。階段の終点まで行くと、正面玄関車寄せに合流し、すぐ先が正面玄関だ。 西日が差し込むメインロビーは、ホテルの黄昏を一層もの悲しく感じさせている。ロビーは日曜日にもかかわらず閑散としており、想像とはまったく違う雰囲気に驚いた。 チェックインも待ち時間ゼロ。スタッフたちはたいへん丁寧で、真心のこもったサービスを心掛けている。これまでの愛顧に感謝し、どこかでの再会を願っているようだ。散々やんちゃをした生徒が、卒業式にだけしおらしくしているようにも見えなくないが、ここは真心にだけ気を向けるとしよう。 真っ白な大理石でデザインされたロビー空間では、これまでの歴史を振り返る写真展が開催されている。昭和初期の貴重な写真や、新館がどんどん高くなっていく建築中の写真など、非常に興味深かった。一冊の写真集にするのなら、ぜひとも購入したいところだ。 他にも、古いタリフやレシピ本などを展示してあるコーナーがあり、そこからはホテルが歩んできた道のりと、ホテルを支えて来た人たちの熱意が感じとれる。 さて、宿泊したのは低層階の狭い部屋だった。高層階のグレードの高い部屋や広々としたスイートは、最後の名残りを味わう滞在には相応しくない。おそらくあまり人気がなかったであろう部屋に、あえて泊まってみたかった。 エレベータホールは、どのフロアもさほど変わらない。ほとんど何もないという雰囲気のシンプルな空間だ。窓から小さなビルが見えるところが、低層階ならでは。 客室階廊下はエレベータホールを中心にV字状に伸びている。タワーが典型的な雁行型で、すべての客室がコーナールーム。各客室扉が斜に構えて配置されているのも特徴だ。 セミダブルルームは各階のV字先端近くに2室だけある。スパンは標準客室と変わらないか、フロア面積の一部が削られているため、若干狭い。 入口ドアから居室内扉までの距離や廊下片側に張ったミラーは標準客室と同じ。標準客室ではここにミニバーやクローゼットがあるのに対し、この部屋ではそのスペースが削られている。 居室も一見すると標準客室とよく似ている。窓の大きさ、デスクやロングソファの仕様は同等だが、テーブルの高さや大きさはかなり違う。 入口に配置されなかったクローゼットとミニバーは、ベッド脇の壁面にある。標準客室ではチューリップイスを添えたドレッサーがある場所だ。つまりこの部屋にチューリップイスはない。 ベッドは160センチ幅。かつてはベッドカバーを掛けていたが、いつのまにか廃止され、白いシーツがむき出しになった。ナイトテーブルは片側にだけある。ベッドボード側の壁が標準客室よりも手前に迫り出している分、居室が狭い。そのため、ベッドと窓の間の空間も少なくなっている。 バスルームの広さは標準客室と大差ないが、ベイシン脇の構造が少し違っていて、アメニティやタオルのラックがベイシン壁面ではなく、背後に設けられている。 バスルーム内は同等。真っ白い空間に、バスタブとトイレが並んでおり、窪みの棚に、ホテルロゴがまったく入っていないシャンプー類と入浴剤が並んでいる。タオルはかなり古びているが、今から新調することはありえないだろう。 朝食は日本料理「紀尾井」を利用した。ロビーよりひとつ下の階にあり、落ち着いた雰囲気がある。ブッフェの方が人気なのか、ほとんど客がいない。 和朝食はごはんか粥を選ぶ。今回は粥にした。一品ごとに皿に盛られており、見た目にも悪くない。箸袋はなく、むき出しの割りばしだった。これで食べ納めだろうと思いながら、しみじみと味わった。 |
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