赤坂近くで仕事があり、その拠点としては赤坂プリンスホテルが最も便利だったので、2泊の予約を入れた。ホテル内できままに過ごす時間を重視するなら、高層階やスイートも選択の視野に入れるが、今回は泊まれればいいという程度だったので、ホテルのサイトから低層階利用の手頃なプランを予約した。15時頃ホテルに到着しチェックイン。ドアマン、ベルガールともに感じがよく、印象のいい到着だった。
フロントでも丁寧な対応を受けることができ、以前の客をさばくようでぶっきらぼうな態度はもう過去のものになっていた。チェックインを担当した係から、1泊につき2,000円の追加でロイヤルフロアの客室にアップグレードできるがどうだろうかと勧められた。これはちょっとしたうれしいオファーだった。海外ではこうしたチェックイン時のオファーによく遭遇するが国内では珍しい。当日の空き状況次第のオファーではあるが、わずかな追加料金でクラブフロアやスイートが利用できるのは利用客にとってうれしいだけでなく、この好印象が次回へとつながるし、ホテルにとっても収益になるはずだ。
このロイヤルフロアへのアップグレードを受け入れたが、喫煙ルームしか空きがなかった。更にLAN回線を完備している客室となると、さらにアサインできる客室が限られるとのこと。とりあえず、ベルガールとともに36階の客室に向かった。しかし、部屋に入るや否や、強烈なタバコの臭いを感じたので、これはダメだと思い、ルームチェンジを申し出た。喫煙ルームしか用意できないことは承知しているので、もうひとつ別の喫煙ルームの様子を見せてもらうことになり、そちらに向かった。次の客室は、まったく同じ条件の喫煙ルームであるにもかかわらず、ほとんどタバコ臭いは残っていない。カーテンに鼻を近づけても気にならないほどだ。同等の客室でもこれだけの違いがあることを知り、驚いたと同時にとても参考になった。
やはり高層階からの眺めはダイナミックで見事だ。特に窓がワイドで室内の照明をコントロールしやすいこのホテルからはの夜景は素晴らしい。窓際の長いソファに足を投げ出し、ロングシートの列車の車窓から風景を楽しむようなスタイルで、時間と共に変化する東京の景観を見つめて過ごすのは、赤坂プリンスホテルならではの贅沢だ。しかし、残念なことに今回はそうのんびりとはしていられない。一刻も早くデスクに向かって知恵を絞らなくてはならないのだ。ご馳走を目の前にして、おあずけというのもつらいけれど、デスクに向かいながらも窓からの景色を楽しめるので、ちょっとした気分転換にもなった。
デスクの上にはSANYOのINN FAXというプリンタとコピーを兼ねたファクスがあるのだが、そこにセットされたコピー用紙には、たっぷりと埃が積もっていた。これだけ溜まるということは、相当の長い間、このマシンは利用されていないということだ。実際、このシステムは利用料金が高い。客室内で使えて便利だとは言え、ファクスの送信が1分につき350円と別に通話料、そしてコピーは1枚100円と高額で、それならコンビニを探して少々なら歩いてみようかと思う人の方が多いのではないだろうか。部屋にあれば利便性が高く、高めの値段設定が当たり前のようになっているが、これからはそのような発想では通用しない時代になるだろう。
ミニバーもどんどん空っぽの冷蔵庫に取って代わられたり、一般価格と大差ない価格設定に改めているホテルも増えてきた。LANもこのホテルでは1泊1,500円の料金設定だが、無料で備えるホテルが急増する中、いつまでその価格が通用するのかが見もの。便利なものが低価格で利用できなければ価値とはいえない時代が到来していることを、どのホテルももっと認識する必要があるだろう。ちなみに赤坂プリンスホテルでは、ビデオデッキレンタルは1泊3,000円、CD/MDラジカセは1泊2,000円となっている。
ロイヤルフロアは高層階に位置しているだけでなく、アメニティも充実している。モルトンブラウンのシャンプー、コンディショナー、バス&シャワージェル、ボディローションのほか、ピュアベジタブルオイルソープやフェイシャルウォッシュも用意されている。清掃にはよりベテランの係が当たっている様子で、ワンフロアを1名ないし2名の人数で少なくない客室の清掃をこなしているようだった。それでも、清掃状態は概ね良好。しかも、滞在中の清掃はリクエストしてから30分とかからないが、決して雑に行ったという印象はない。また、20階に位置するビジネスセンターには、滞在中何度か世話になったが、係はなかなか有能だった。実務的ながら、よく気が付く上に、先読みした行動を見せていた。
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