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ホテルニューオータニ Garden Tower Deluxe Room | |
Hotel New Otani | 2010.01.28(木) |
東京都千代田区 | 楽-2 |
ARCHIVES ・ 1992 |
最新型アンドロイド ホテルニューオータニには「ザ・メイン」と「ガーデンタワー」のふたつの宿泊棟があり、前者の方が格式と高級感で勝っており、両者のクオリティには歴然とした差がある。いっそのこと、それぞれ別のホテルに分けて、異なる名称を使った方がいいのではないかと思うこともある。 今では死語となった「御三家」のひとつであったが、ガーデンタワーの平均的客室クオリティは、帝国やオークラのそれよりも低く、同列に扱うには抵抗がある。ガーデンタワーだけに注目すれば、京王プラザや赤坂プリンスと大差ないレベルだ。 今回はそのガーデンタワーの客室を予約した。デラックスルームであることは確約されているが、カテゴリー内のどのタイプがアサインされるかは不確定のプランを使い、格安で利用することができた。 チェックインはタワーのレセプションで。フロントレセプションはメインにもあり、そちらの方が立派できれいな上、スタッフも多い。どちらでもチェックインできるが、宿泊する棟があらかじめわかっている時は、その棟で手続きする方が楽なので、いつもそうしている。 このホテルのフロント係は、今の時代には珍重したくなるような、アンドロイド型。昔のエレベータガールや受付嬢のように、美しいが親しみは感じさせないタイプで、すました表情とつれない素振りが特技である。 今日もまた人間の客をてきぱきとさばいているが、観察によるとどうやら最新型モデルらしく、やや人間的な仕草がプログラムに加わった様子。丁寧な言葉遣いや、恐縮しながら多額のデポジットを要求するところも、バージョンアップの新機能だろうか。だが、迂闊に怒らせると、冷たい眼球から殺人光線を発射しそうな雰囲気。ここはおとなしく従うとしよう。 荷物は少なかったので、部屋への案内を断り、急ぎ足で部屋へと向かった。用意されたのは、中層階のエレベータホールから近いデラックスルームだった。2面の窓を上底に「ハの字」の台形型をした部屋は、約60平米の広さがあるという。面積の割には設備も内装もシンプルなので、ブルーカーペットの何もない空間がひときわ目立っている。 居室には、デスクユニットとソファセット、2台のベッドがあるのみ。照明は4つのダウンライトと、フロアスタンドひとつに、デスクスタンドがひとつ。これらはすべて電球型蛍光灯の白い明り。ナイトランプはミニ電球を使っている。ダウンライトが十分に当たらないソファとデスクの間付近は、かなり薄暗い感じがする。また、客室天井高が236センチしかないことが圧迫感を生んでいる。 窓を背にして置かれた長ソファの脇には、テレホン台とメモパッドが置かれている。ひとり用ソファはふたつあり、その間には少し高めの丸テーブルを置き、さらに長ソファとの間にもローテーブルを置いてある。この長ソファは、エキストラベッドにもなる。 デスクユニットは、タワースタンダードルームにあるものと同等。古いものだが、よい木材でできているので、むしろ味わいを増して存在感が出てきた。デスク脇には観葉植物があるが、こちらは薄暗いために存在感が薄い。テレビは37インチ液晶。LANは24時間1,260円と高額。そのくせデスク周辺にコンセントがないなど、時代遅れの感がある。 ベッドは140センチ幅のものが2台並ぶ。シーツはしわしわでゴワゴワ。更にまずいことに、マットレスが最悪だ。煎餅のように薄いマットレスは、寝ていると具合が悪くなる。ベッドの下にも簡易ベッドが入っており、大人数で宿泊する客のために、少人数で宿泊する客の快適を犠牲にしたというわけだ。 2面の窓はいずれもひどく汚れていた。目の前にはガーデンコートが立ちはだかるが、視界の半分は開けており、東京タワーの上半分を見ることができる。汚れで半分、ガーデンコートで半分、ビルの陰で半分。都合、夜景の魅力は8分の1である。 入口脇にあるクローゼットも、スタンダードルームと同等。ミラー張りの引き戸式で、内部には整理棚や金庫、バスローブがある。バゲージラックも、この中にたたんで入れられている。 バスルームはなかなか魅力的だ。床を見ると、ベイシンエリア、バスエリア、独立トイレとの間は段差がなく、バリアフリーを考慮したのかと思わせる造り。しかし、居室との間にはしっかり段差がある。ここもフラットにするか、スロープにすればよかったのに。 ベイシンはダブル。天端はグリーンの大理石を使っている。ベイシンサイドやミラーの枠には、バードアイメイプル風の木目を使い、華やかな印象だ。全体に明るく清潔感のある空間に仕上がっており、添えられた白いスツールもいい感じ。 150×234センチサイズのバスエリアは、深くて大きなバスタブの脇に、広々とした洗い場を設けている。洗い場の床と台は石製で、壁はタイル張り。バスタブのカランは強烈な水流だが、シャワーは弱々しかった。 バスアメニティはスタンダードルームのものに準ずるが、一通りは揃っている。黒いパケージが印象的だ。シャンプー類は国産品。タオルは3サイズが4枚ずつ用意されている。 さて、人との待ち合わせのため、ザ・メインにあるレストラン「SATUSKI」へ向かった。タワーのエレベータホールは、なかなか個性的で派手なデザイン。改装時期によりさまざまな内装が施されており、フロアごとの統一感がまったくないのがニューオータニ風だ。 タワーとメインとをつなぐアーケードにも、独特な柄のカーペットが敷かれている。カーペットそのものは立派なものなのかもしれないが、いったい何と調和させようと考えたのだろうか。 ザ・メインに入ると、雰囲気は一変する。派手なことに変わりはないが、多少は色彩のコオーディネートが考えられている様子。ゴージャスさは欠かせないという主張を感じる。 正面玄関の除風室はモダンでシックな最新ホテルを意識したムード。コントラストのある照明が、また違った世界観を表している。 こうして、同じホテルを歩いていても、まるで幾つかの違ったホテルを通り抜けているような気分にさせられる。ホテルがあまりに広大なために、同一のテイストを保つのは難しいことだろう。だが、アイデンティティはないのだろうか。この「ちぐはぐ」こそが、ニューオータニのアイデンティティなのか。よくわからん。 |
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