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2002年12月7日

ホテルニューオータニ The Main Standard Room
怒-1 Room Change
客室階エレベータホールのクリスマスツリー
12月のニューオータニは、広い敷地と館内のいたるところにクリスマスのデコレーションが施され、とても華やいだ雰囲気に満ちている。いつものように、本館ロビーは行き交う人が途切れることなく、このホテルが単なる宿泊施設ではなく、ひとつの街を形成していることを実感させる。フロントでのチェックインはとても感じよく行われた。グリーンのベレー帽をかぶった、知的な印象の女性ベルアテンダントに案内されて客室へと向かった。経験も年齢もさまざまなスタッフがサービスに当たっている中、今回のような手馴れていながら、天性の明るさと品性を感じさせるスタッフに案内されるのはラッキーなことだ。ちょっと幸先いいかなと思ったが、やはりニューオータニ。イイコトばかりでは終わらなかった。

予約してあった客室は、本館「ザ・メイン」のスタンダードルーム。34平米だが、ユニークなレイアウトで、使い勝手を追求した客室造りがなされている。もともと3部屋だったものを2部屋に改装してから、すでに10年ほど経ったが、いわゆる縦に長い長方形のホテルルームとは随分と違って、随所に興味深い工夫が見られる。客室の3分の2がベッドスペースとリビングスペースにあたり、3分の1がバスルームやドレッシングスペースと、客室をすっぱり2:1に分けたカタチをしている。120センチ幅のベッドが2台並び、ベッドの頭の部分には、蛍光灯の照明を仕込んだ床の間風の飾りがついている。テレビはベッド脇の壁に埋め込んだ。テレビの脇のくぼみにはライティングデスクが独立するなど、スペースに無駄のないよう、巧みに配置している。

客室の最大のアクセントは、アールを描いたソファだ。その後ろが無駄なスペースになりそうだが、そこを埋めて棚のように使える工夫をした。天井からハロゲンのダウンライトが照らし、花でも飾れば映えるような場所だ。ソファの脇にはミニバーや冷蔵庫を置いた。ソファの後ろはロールスクリーンと引き戸で仕切られたドレッシングスペースになっているが、スクリーンと引き戸を開け放てば、一体化させることもできる。窓は、ベッド脇とドレッサー脇の2面を持っている。ドレッシングスペースの床はフローリングになっており、クローゼットもこのスペースに設けた。クローゼットの右側にバスルームがあるが、こちらは狭かった。タイル張りで明るい造りだが、ベイシンも小さく、バスタブとトイレは寄り添うように近くに並んでいる。それでも、ベイシンの上には小型テレビを設け、アメニティを置く棚もあり、アメニティは一通り揃っている。

客室に入って、部屋を一通り見て回っていると、置かれたシャンプーとコンディショナーが、ともに使いかけで、半分程度しか入っておらず、しかも、容器がべとついていた。ちょっと見れば直ぐに使いかけとわかるはずなのに、客室係も、インスペクターも双方見落としたということだ。客室係に電話をするが、単に係に伝えるだけでは、「失礼しました。お取替えします。」で終わってしまうので、些細なことながらも現状を知ってもらおうと、責任者に電話を取り次がせ、この件を報告した。ガッカリしたのは、責任者であるにもかかわらず、まったく悪びれることもなく、一般の係よりも始末の悪いことに「ああそうですか、1本でいいですか?」という返事の仕方だった。恥を知らないのだろうか。この係の感覚では、レストランで他のお客の食べかけが自分のテーブルに運ばれても、不思議に思わないのかもしれない。小さなことだとしても、あるべきでないことが起こってしまったのだから、不手際をきちんと詫び、責任者として十分な対応を取らなくてはならない。もう少し、品格のある対応をしていれば、新しいボトルを持ってきてもらうだけで納得できたが、対話してるうちにガッカリが怒りに変わったので、ルームチェンジして欲しいと申し出た。一瞬渋ったので、これよりもグレードの高い部屋をと要求した。

部屋にホテル側に責任のある不都合がある場合、新しい部屋に移るというケースが多い。その際、ろくに詫びもせず、同じタイプの部屋を用意して、しかも、ベルボーイを荷物の運搬に寄こすだけでことを済ませようとするホテルは少なくない。一度部屋に落ち着いて、荷物を広げた後に、再度まとめて部屋を移るという面倒と時間の無駄を、一体何だと思っているのだろう。ホテルとしては、ゲストに大変な手間を強いていると自覚をし、それに相応しい態度で対応をしなければならない。責任者が自ら出向してゲストを案内し、その手間隙に相当する穴埋めも必要だ。ワンランク上の部屋を用意するとか、それが無理ならコーヒー一杯を届けさせるとか、コストを掛けずに効果の大きい手段など、いくらでもあるはずだ。その程度のサービスは、求められる前に提案できるスマートさが欲しい。

一昔前のデザインの室内 アールを描いたソファが印象的

ナイトテーブル ティーカップとポットは大きめ

黒いパッケージのアメニティ パスルームに置かれた炭

新しい客室は、高層階のデラックスルームだった。先程の客室よりも後になって改装し、内装のグレードもより高くなっている。面積は44平米と先程よりも一回り広く、かつての2室分の広さがある。全体にベージュとブラックを基調にコーディネートされているが、落ち着いているというよりも、華やかな雰囲気だ。シャイニングブラックや、ゴールドなどがアクセントとなり、古典的な和のモチーフを、現代風にアレンジした空間になっている。

レイアウトは横長の客室にはよく見られるパターンで、中央に大きなライティングデスクやテレビとミニバーのキャビネット、奥にベッド、手前にリビングスペースという配置だ。照明が明るく、ダウンライトやスタンドなど、さまざまな照明器具が揃う。もっとも力が入っているのは、バスルームだ。細長く、そして広く取られたスペースに、ダブルベイシン、曇りガラスで仕切られて独立したトイレ、石張りの洗い場付きバスルームがある。ベイシン部分は非常に明るく、清潔感にあふれる空間だ。ガラスで仕切られたバスルームには、椅子や桶もあり、ゆっくりとバスタイムを楽しめる。

全体的には、なかなか豪勢な雰囲気の客室だが、やや煌びやか過ぎ、疲れた体や心をクールダウンするには、前の客室の方が落ち着くような気がする。

ベージュを基調にしながらも華やかな室内 ベッドボードは壁と一体化

バスルームは非常に広い ダブルベイシンには一輪挿しも ベイシン後ろのタオル棚

タオル地のカバーを掛けたスツールと使用済みタオルのかご 石張りのバスルームは洗い場付き 和風のアイテムもある

[ホテルニューオータニ] 930327 930814 950130 980828 010113 011007 011026 011124 020706 020720

Y.K.