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パークハイアット東京 Park Deluxe Room | |
Park Hyatt Tokyo | 2010.05.29(土) |
東京都新宿区 | 喜-5 |
ARCHIVES ・ 1992 |
格別の心地よさ 贅を極めたラグジュアリーホテルが顔を揃えた東京で、パークハイアット東京は、今でも格別の存在であり続けている。では、他のラグジュアリーホテルと比較して、何が優れているのだろうか。 立地は、悪いわけではないが、かといって他と比べて優れているとはいえない。今さら、高層階の誘惑など、たいした価値はない。内装はどちらかというと地味で、豪華さはない。サービスにも波があり、常に高品質だというわけでもない。 料金は、むしろ他よりも強気を貫いているわけだが、それでも、パークハイアット東京が支持されるのは、他には感じられない魅力があるからだろう。 まず見事なのは、デザインの一貫性である。時代や流行はとっくに超越しており、全館が同じコンセプトでトータルにデザインされている。同じジョンモーフォードのインテリアを施したホテルは他にもあるが、このホテルほど高度な完成は見られず、パークハイアット東京の雰囲気は、パークハイアット東京でしか味わえないのである。 客室の内装も、開業以来ほとんど変わらない。途中、改装もしているが、トータルでのイメージに違和感をもたらすような変化は与えていない。他のラグジュアリーホテルに比べれば、格段に低予算で仕上がったと思われる品質でありながら、それを感じさせることもない。 また、室内にしろパブリックスペースにしろ、小物での演出も非常にうまい。室内には、それがどんなに小さなものであっても、内装とマッチしないものや、そこにあることが耐えがたいような無粋なものは、一切置いていない。 そうした細かい品々が、到着した瞬間から、まるで我が家のようなくつろぎと安心感を与えてくれる。また、シックで渋めのインテリアの中に、遊び心のある工夫をちりばめることで、スタイリッシュでありながらも、人間くさい空気を作り出している。 そして、完ぺきなメンテナンス。客室に一切のほころびはなく、カーペットにもシミひとつ見当たらない。もちろん、チェックイン時には、どこを探しても埃ひとつないのである。 美しく仕上げられた客室は、イスの角度まできっちりと整っているばかりか、カーペットの毛並みにまで注意を払われており、ピンと伸びたシーツにもグレードの高さがうかがえる。 この日のウェルカムアメニティは、桐箱に入ったグリーティングカードセットだった。いつもよりも気張ったものが用意されていたわけだが、その理由はよくわからないままだった。包装にもセンスが感じられるが、この包装は、頼めば持ち込んだ品にも施してくれる。贈り物に個性を持たせたい時などには、利用価値大である。 パークハイアット東京では、すべての点においてラグジュアリーホテルとしての高い水準が満たされている。クラブオンザパークのバスエリアで使われているアメニティは、客室と同じイソップ製品。他のホテルだと、ワンランクも、やもすればスリーランクくらい安物を使ってるところが多い。 室内に用意された便せんやメモ用紙に、折り目が付いているようなこともなく、電球切れや、設備の故障にも滅多に遭遇しない。 また、デザイン性を損なうことなく、使い勝手のよさを確保していることで、いつまでいても、そして何度泊まっても、使いにくさに悩まされることがない。 一度頼んだことは、10年経っても忘れずにやってくれることも、信頼につながっている。タオルはいつでもフカフカのものをたっぷりと用意してあり、ターンダウン時の消耗品補充もきちんとしてくれる。 ソープに包装はなく、ホテル名が型押しされた白い大きなものと、丸い小さなものが用意されている。どちらも開業以来変わらぬ同じ香りがする。 やはり、この開業以来変わらないものの数々が、このホテルに特別なポテンシャルを与えているような気がする。伝統や歴史というには、まだ新しいホテルではあるが、すでに伝説の域に到達しつつあるのかもしれない。 サービスに波があるとしても、平均的には非常に優れている。彼等のサービスは親しみよりも、プロフェッショナルであることを意識しているようだ。そのため、待っていては何もしてくれない。こちらからアプローチすれば、納得するまでとことん付き合ってくれるだろう。 他のホテルではスタッフの顔ぶれが次々と変わっていく中、パークハイアット東京には長く務めているスタッフが多い。すでに抜ける人は抜けた後であり、残っている人たちはこのホテルに特別な愛着があるのかもしれない。そうした確固たる意志が造り上げるサービスと空間ゆえに、格別の心地よさがあるような気がする。 |
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