1994.10.17
住みたくなる部屋
パークハイアット東京 Executive Suite
楽-4

エグゼクティブスイートは2タイプあって、広さと若干の仕様が異なっているが、いずれも約100平米の面積を持ち、リビング、ベッドルーム、バスルームそれぞれに快適性を追求した完成度の高い客室だ。しかも、室料が10万円程度と、平米当たりの料金を抑え、日常的な利用にも説得力を持たせた。スイートだからと言って、高いほうが格があるかのような安易な発想から、部屋の仕様とバランスの取れない価格設定をするホテルが多い中、このスイートはインパクトがある。

より自由な動線を持たせ、幾通りにも部屋の中を移動できるようにしているのは他の客室も同様だが、このスイートではその工夫がより鮮明に出ている。部屋をぐるりと一周できて、その間に部屋のすべての場所を見ることが可能。袋小路になっていないのが面白い。

リビングにはゆったりとしたソファを配したシッティングスペースがあり、丸いガラスのローテーブルを囲んで、いくらでもくつろいでいたくなる造り。大きなソファは座り心地がやや硬いが、背後の壁がミラーになっていて、広いリビングをより広く見せている。ダイニング4名がテーブルを囲むことができ、カードテーブル的な趣きがある。窓は3面。天井が高く開放感に満ちたリビングだ。

続くベッドルームはダブルベッドを2台ならべ、他の客室と同様に真っ白いデュベカバーで清潔感あふれるベッドメーク。他にはテレビと椅子があるだけで、極めてシンプルに設えた。

バスルームも広く、長いバスタブ、シャワーブース、ダブルベイシン、すりガラスでブース状になったトイレが配置されてる。一角にはウォークインクローゼットとドレッサーがあって、その部分は居室から続くカーペット敷きだ。全体に居住性に優れており、長く暮らしたくなるようなスイート。こんなところで気ままに一人暮らしができたらいいのに。

Y.K.