シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル Club Level Room
Sheraton Grande Tokyo Bay Hotel
2008.07.18(金)
千葉県浦安市
哀-4

ターンダウン後の室内
 
一年中がお正月 タクシーでホテル正面玄関に到着した時、ちょうど携帯電話での通話中だった。タイミング悪く掛かってきたその電話は、とても重要で緊急の用件だったので、掛け直すというわけにもいかなかった。メーターを見て、きりのいい金額を差し出して、釣はいらないと身振りで示し、車を降りようとした。

その際、ドアガールが扉を押さえてくれていたまではいいが、片手では持ちきれない荷物には目もくれず、その場を離れようとするので、通話を中断し、その後姿に向かって声を掛けなければならなかった。せっかくにこやかに出迎えても、これでは「気の利かない人たちだ」と思われてしまうだろう。

ロビーに入ってからもしばらく通話が続き、適当なソファを見つけて腰掛けた。ドアガールは出向かえの時と同じ明るい笑顔を浮かべながら、荷物を持って後に続いていた。そして、通話中にもかかわらず「お荷物はいかがいたしましょうか」「お預かりしますか」と話しかけてくるのだ。説教してやりたいと思ったけれど、こちらもそれどころではないので、その辺りに置いてくれるよう、またも身振りで示さなければならなかった。

通話を終えてチェックイン。手続きはスムーズに行われ、フロント係たちもみな、ドアガール同様の作り笑顔を浮かべている。到着早々このようなシチュエーションに出くわすと、その後見る彼らの笑顔はどれもこれも仮面に見えた。

用意された客室は部屋番号まで前回と同じであった。元総支配人室の海側ルームである。なぜか部屋への案内はなかったので、自らルームキーを差し込んで部屋に入った。室内は空調が停止しており、このホテル独特の粉ミルクのようなにおいが充満している。特に蒸し暑いこの季節にはこたえるにおいだ。

このホテルは今回、到着の第一印象といい、客室の第一印象といい、ホテルのイメージを決定付けるほどの重要な接点で、客に好印象を与えらなかった。初めて訪れる客ならば、作り笑顔も通用するだろうし、素晴らしい眺めに感嘆してくれるかもしれない。だが、客に繰り返し訪れてもらい、よりよい印象を持ってもらいたいのなら、次の一手を常に考えなければならないだろう。こうしたチャンスを活かせないホテルは何もここだけではないが、特に舞浜地区のホテルはこれが下手である。

この部屋はデスク周辺の使い勝手が悪く、前回にも追加の照明器具や電源を手配してもらった。同じ部屋を用意するのがもし「気遣い」であるのなら、同様の準備をするところまでやってもらいたいところ。すでに準備を整えた部屋に案内するのが望ましいが、「今回は不要」という場合もあるから、チェックイン時に「今回はいかがなさいますか」と尋ねるものひとつの方法である。

だが、いずれもなかったので、また客室係に電話をして同じことを頼まなければならなかった。そして、また同じやり取りの繰り返し。デジャブではない。二度目なのである。こういうことをリピーターは鬱陶しいと感じるのではないだろうか。ここでもチャンスは活かせなかった。前回とは違って、フロアスタンドが持ち込まれ、また部屋を横切るように電源を引っ張るものだから、「裏を通しましょうよ」と言わなければならなかった。

ここシェラトンでは今シーズンの屋外プール営業がスタートしている。ヒルトンは出遅れて19日からだ。スカッと晴れているというわけではないが、それでも泳ぐには十分の気温があった。オアシスで受付をし、地階の更衣室で着替えて、屋内プールの脇から外へ出る仕組み。屋外プール専用のタオルはプールサイドに用意されており、自由に使うことが出来る。

プールは変化に富んでおり、滝やその裏のグロットバーがリゾート気分を盛り上げる。プールは石造りで、装飾に用いられているものも、少なくとも手の届くところはすべて本物の岩だ。ヒルトンの岩はコンクリートなので、こちらの方が上等。しかし、泳いでいる時にうっかり手をぶつけると、出血するほどの傷を負うことになるので注意が必要。思い切りぶっついたので、本当に痛かった。

このホテルでの夕食には本当に悩んでしまう。最上階の「ザ・サミット」は通常の営業を終了してしまったし、鉄板焼「舞浜」は前回ひどい朝食を食べさせられたので、16,000円からという高額なディナーなど論外。「なだ万」もここのは特によくないし、ルームサービスだってろくでもない料理がただでさえ高いのにサービス料18パーセントでは注文する気になれない。

それにしても、これほど価格とクオリティとの間に大差があるのに、皆さん平気で金を使うのだろう。ファミレスで1万円のコースを注文するような勇気が必要なのに。高くても旨ければいいけれど、そうは思えない。他に選択肢がないというのも理由かもしれないが、ホテルは「それでも売れる」から強気の値段を維持しているのだ。まぁ、ここは一年中がお正月なのかもしれない。

クラブレベルのサービス内容も一部が改められている。クラブラウンジは24時間営業になり、いつでもソフトドリンクとともにくつろげるようになった。係は24時間常駐し、チェックイン/アウトにも対応する。

朝食はラウンジではなく、最上階「ザ・サミット」で提供されるようになった。会場は立派だが、提供される料理はしょぼい。一応スクランブルエッグやベーコンなどもあるし、野菜やフルーツ、コールドミートもある。皿は大きいもの1種類しかなく、パンを取るにもディナープレートを使わされる。ナプキンはチープな紙製だ。

サービススタッフの人数は多いのに、まったく目が行き届かず、済んだ皿は下げないし、コーヒーのおかわりを頼もうにも、注意をひくのに苦労する。諦めて帰ろうとしたところに「コーヒーはいかがですか?」と声を掛けられた。店の入り口にはちょうどアシスタントマネジャーがいたので、感じたことを伝えて部屋へ戻った。

チェックアウトをしようとフロントへ向かうと、ちょうど朝食時にコメントを伝えたアシスタントマネジャーが立っていた。「今朝ほどはどうも」みたいな言葉を掛けられるのかと思ったら、「チェックインですか」と来た。その日に苦情を言われた客の顔も覚えられないのなら、現役は退いた方がいい。このホテルはかつて、上質の何たるかをきちんと理解していた。今は歌を忘れたカナリヤである。

 
ホンモノの岩をあしらったガーデンプール 滝の裏側にある「グロットバー」 滝の裏側から表を見る

たくさんのデッキチェアが並ぶ 勢いよく流れる滝 部屋から見下ろすプール

ガーデンに咲く花 犬小屋みたいなチャペル インコ柄のルームキー

「ザ・サミット」店内 「ザ・サミット」内の様子 「ザ・サミット」のシャンデリア

 シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル(公式サイト)
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