2005.01.28.（金）

チェックイン時、追加料金でスイートも用意できるとオファーがあったが、前回利用していい印象がなかったので断った。手続きが済むと、案内まで待つように言われたが、自分で部屋まで行けるので、荷物を出して欲しいと頼んだ。ところが「後からお持ちしますので」と、ベルガールはなかなか譲らない。貴重品もあるのでと言うとしぶしぶ返してくれたが、どうしてなのか理解できなかった。安っぽい内容で高い料金を取っているから、ベルサービスで高級ホテルらしさを死守しようという魂胆だろうか。だが、サービスタッチには、かなり気を遣っていることが伺えた。若いスタッフも、親しみやすくとても感じがいい。

向かった客室は10階の一番奥にあるコーナールーム。昔はタワーズだったセクションなので、エレベータホールや廊下の装飾が豪華になっている。客室内は改装されたばかりで、すっかり雰囲気が変わった。ファブリックや細かい備品の変更程度のリニューアルは、これまでも各フロアで行われてきたが、バスルームを含めた総合的な改装は、開業以来これが初めてだ。

この改装済みルームは、サイトなどで「より豪華に」とか「高級感溢れる」などという表現を使ってアピールしているが、部屋中くまなく見回しても、そんな言葉はまったくもってどこにも当てはまらない。質感よりも機能性を重視し、このロケーションならではのニーズに合わせたというのだったら、理解できるのだが。

このデラックスコーナールームは54平米。140センチ幅の正ベッドが2台と、ミニミニサイズのベッド2台がセットされている。マットレスはレギュラー客室に比べればはるかにマシで、寝具も真っ白なデュベカバーが快適だった。ナイトテーブルが自由に移動できるので、ベッドも都合に合わせて位置を決められるのが便利だということらしい。照明は明るいが、質素かつ平板で面白くない。リビングスペースには、しっかりとした丸テーブルと2脚のアームチェアがあるだけで、液晶テレビは、広い客室で観るには余りにも小さすぎる。家具やファブリックは高級ホテルで使うには安っぽいものだ。

バスルームには洗い場を設け、ベイシンやトイレの部分とはガラスで仕切った。使い勝手は多少よくなってはいるが、安いタイルと大理石風プラスチック素材の仕上げは、かつての総大理石仕上げの豪華さからすると大幅に見劣りする。シャワーの水圧が強いことと、タオルが厚手で気持ちよいことが救いだが、タオルはバスタブの上にセットされているので、すぐに湿ってしまうし、落としやすい。この客室が78,500円とは恐ろしい。

バルコニーのある窓からはホテルのガーデンと海を望み、サイドの窓はほとんど海だけが見え、まるで切り取った絵のようだ。ガーデンを見下ろすと、婚礼関連の施設がいろいろとあるのがわかる。ガラスのチャペルでは、ミニスカート風のウェディングドレスを来たギャル新婦が挙式の最中。その姿をクレーンカメラで追うという、ハリウッド映画の撮影現場のような仕掛けも登場していた。

それにしても、このホテル、なぜ婚礼に強いのか不思議だ。列席する方にとっても、便利な立地とは言えない。それでも人気は高く、集中日には戦場のような慌しさで、とてもここに書けないようなハプニングもあったと聞いている。婚礼の設備投資には積極的だが、宿泊や料飲は二の次という印象も否めない。

かつて、ロビーには総支配人夫人が選んだポプリの甘い香りが漂っていた。だが、今ではごちゃ混ぜになった食べ物のにおいでむせ返りそうだ。マイアミをイメージして築かれたリゾートは、いつしか駅前喫茶マイアミのレベルになってしまった。

[シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル] 920901 930625 950417 950625 970526 021129 050121