アーバンリゾートのパイオニア
2007.12.26(水)
フォーシーズンズホテル椿山荘東京 Superior Twin Room
Four Seasons Hotel Tokyo at Chinzan-so
喜-3

見事な日本庭園 東京には2軒のフォーシーズンズホテルがあるが、それぞれに個性が際立っている。いずれも日本を代表するラグジュアリーホテルとして名を馳せているが、どちらが心地よく過ごせるかは滞在の目的次第だ。

もし、都心にいながらにしてリゾートさながらの休日を過ごしたいのなら、椿山荘東京を迷わず選ぶべきであろう。クラシックスタイルのアコモデーションやエレガントなレストランはもちろん、四季折々に楽しめる日本庭園や洗練されたスパなど、館内から出ることなく充実した休日を過ごせる設備が整っており、夕方以降にチェックインしても、翌朝までには完全に自分をリセットしてくれるところが気に入っている。

だが、それを実感するには、週末の滞在は避けたほうがいい。平日のゆとりの中でなければ、このホテルの建築美やサービスを満喫するのは難しいのだ。この日は年末間近の水曜日。クリスマスも終わって、ひと段落着いたところを狙って泊まることにした。

車でアプローチに差し掛かると、そこからして東京の他のホテルにはない独特の風格が感じられる。広大な敷地に佇む邸宅を思わせる門柱の間を抜け、木々に囲まれたカーブを回り込むと、フォーシーズンズホテル椿山荘東京のエントランスだ。

ドアマンの振る舞いは極めてエレガント。流れるような身のこなしで客を館内へといざなう。すぐにベルアテンダントに引き継がれ、フロントへと案内。やわらかい笑顔に迎えられ、チェックインはスムーズに済んだ。ロビーには芳しいバラがディスプレイされ、豪奢な雰囲気はいつもと変わらない。今日も館内は静かだ。

案内された客室は庭園を望む45平米のスーペリアルーム。数年前から改装に着手し、現在では全室の改装が完了している。家具はすべて従来のものを使っており、新しくなったものの代表格はベッドだ。これまでもヘブンリーベッドがもてはやされるよりも以前から高級マットレスとベッドリネンを採用していたフォーシーズンズだが、ツインのベッド幅が狭いのが難点だった。

今回の改装で120センチ幅となり、更に快適に眠れるよう、枕や寝具も工夫した。また、ベッドスプレッドをやめ、デュベカバー&レイヤーシーツにスローケットを掛けて仕上げる方法に変更。スローケットは扇をモチーフに日本を代表する四季折々の花々を織り込んだ帯のようなデザインが印象的だ。

2階にあるスパは、改装されて「悠」という名前に変わった。かつて「養源斎」だったスペースを取り込み、充実したトリートメントルームを設置。特に滝を望める外庭のある部屋や、その庭にオープンバスを設けた部屋もあって、スピリチュアルな雰囲気さえ漂う。オープン当初は女性専用だったが、男性も利用できるようになった。

既存の設備も、トリートメントルームのテイストに合わせて内装を改めたが、これはどうもしっくりと来ない。特にプール。今更エイジアンテイストなど古臭いし、もともとが南欧の高級リゾート風の明るくフレッシュな雰囲気だっただけに、双方が調和せずに中途半端になってしまっている。スパラウンジも以前の内装の方が個性があったし、高級な印象だった。開業当時の内装が懐かしい。

加えてこの日は混雑を呈していたので、とてもゆったりとくつろぐ雰囲気ではなかった。以前なら、プールサイドで雑誌をめくったり、うたた寝を楽しむ人が多かったが、最近はメタボ対策なのか、プール内でうろうろと歩く人が多く、落ち着かないのだ。更に、サービスも低下した。プールサイドにあるウォーターディスペンサーは空っぽだし、タオルも補充がなされていない。

プールサイドにある大きなジャクージも、泡が弱々しいため、くすぐられているようで不快に感じる。ロッカールームでは、係がメンテナンスに入る際だけ「失礼しま〜す」と声を掛けるが、出て行く時は無言。やはり「失礼しました」と言うべきだ。このホテルの魅力を支える大きな柱であったスパがこれではガッカリ。

翌日の出発までにホテルスタッフに度々接する機会があったが、どの人も笑顔を絶やすことがないのは立派だ。ここが東京で最も笑顔に溢れたホテルかもしれない。それでもスタッフの若年化が進んでおり、仕事の本質という点では洗練度が低下して来たように思う。バゲージダウンを頼もうとベルに電話した際の返答は、「今うかがいますね〜、は〜〜い」(ガチャン!)という軽々しいもの。デリケートな皮のコートは鷲づかみにするし、カバンはドスンと置くしで、見ている方がヒヤヒヤだった。

 
45平米の標準客室 天井も高くてゆったりしている ベッド幅は120センチになった

帯のようなスローケット スッキリとしているデスク周辺 三角形に張り出した窓はとても大きい

客室の入口部分 カップが変わったがあまり似合わない 冷蔵庫内

バスルーム バスローブはバスルーム入口に掛かっている 部屋から見るガーデン

椿の花と外観 ミカンの木 ガーデンの一角

プール プールの植え込み ジャクージは泡が弱くなった

ロビー ロビー ロビー

 
フォーシーズンズホテル椿山荘東京 920523 930710 930715 930721 940402 940910 960105 960921 970321 981015 990320 000319 000330 011113 020713 021103 030823 050519


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