1993.07.15
ON/OFF両用
フォーシーズンズホテル椿山荘東京 Club Superior Room
喜-2昼夜ともにお客さんを招いて食事を共にする約束をしたので、ついでに宿泊することにした。1日2回の会食は、ミュージシャンをしていると頻繁にあることだが、おなかいっぱいなのをガマンしながら、しかもおいしそうに食べて場を盛り上げるのは、結構つらいものがある。
そんな時、合間に軽い運動ができる施設があるホテルはありがたい。このホテルには魅力的なスパがあるので、プールで軽く泳いだり、さほど温度が高くないスチームサウナで緊張をほぐしたりと、気軽にサッと利用できて、なおかつクラブフロアに滞在中は、何度でも無料で利用できるのが嬉しい。
その他にも気持ちを和ませてくれるものがたくさんある。庭園の緑であったり、クラブラウンジのアテンダントから添えられるさりげない一言であったり。部屋に戻ってみれば、不在中にターンダウンを行ったメードさんたちの丁寧な仕事ぶりから、心遣いが伝わってくる。実際に作業中に居合わせなくとも、その様子が手に取るようにわかるほどだ。ここはオフにリラックスすることを目的で訪れても、オンでビジネスとして訪れてもそれぞれのニーズに合った質の高いサービス体制が整っている数少ないホテルだ。
クラブラウンジでの朝食には、マスクメロンやパパイヤの大きなカットが並び、焼き立てのパンと薫り高いコーヒーが楽しめるが、海外からの宿泊客と気軽に会話を楽しめ、文字どおりクラブライクな雰囲気が味わえる。この夜、いつも通り空調の温度は高めに設定して休んだが、いつになく様子が変で、終始室内の温度が低く、寒い一夜になった。
FANTASIOSO
ファンタジーメニューINSALATA DI ARAGOSTA CON CANNELLINI MARINATI
温かいロブスターサラダ カネリーニ添えTAGLIOLINI AL TONNO
タリオリーニパスタ ツナとトマトのソースAGNOLOTTI DI PESCE CON RICCI DI MARE
シーフードのラビオリ うにのソースFILETTO DI DENTICE CON CAPPERI E MENTA FRESCA
鯛のフィレ ケイパーとフレッシュミント添えO
又はMEDAGLIONE DI VITELLO CON PROVOLA AFFUMICATA
仔牛のメダリオン スモークプロヴォーラチーズ添えZUPPA DI FRUTTA CON SORBETTO
フルーツスープとシャーベット マスカットワインの香りCAFFE, TE,O ESPRESSO
コーヒー、紅茶 又は エスプレッソ庭園の緑がまぶしいランチタイムに、蛍ファンタジーの特別メニューを楽しんだ。席は窓際の眺めのいいコーナーだったので、ゆったりと静かに食事をすることができた。この素晴らしい環境と豪奢な内装、そしてそのお値段に見合ったサービスを期待してしまうからか、フォーシーズンズというブランドへの信頼からか、サービスについては満足のゆかないことが多い。
この日も残念ながら首を傾げることがいくつかあった。料理に合わせてワインを注文するために、リストを眺めながら担当のサービス人と相談をするわけだが、彼らは昼間からいきなり3万、4万と値の張るワインを気軽に薦めてくる。商売熱心なのは結構だが、少々度が過ぎるように感じた。よほどの高級店でも、そのようなグランヴァンクラスの品を、真っ先に薦めてくることはない。
その上、薦めるワインの特徴と薦める理由を尋ねてもしどろもどろで、商品に対する知識を十分に持っていないことがうかがえる。もし優秀なソムリエがワインを取り仕切っていたら、このような無謀なサゼッションはしないはずだ。むしろ、理由もなく高価なワインをいたずらに消費することには嫌悪感さえ持っているのではないだろうか。
その他、ぼくがご招待したお客さんのグラスがチップしているのをぼく自身が発見し、そのお客さんが気がつくまえにさりげなくサービス人に伝え交換してもらおうと試みたが、担当のサービス人は察しの悪い人で、無粋にも結局会話を寸断して一騒ぎにしてしまった。更に、食後のコーヒーは冷めたものを提供され、この店でお客さんをもてなしたことをひどく後悔した。
いつもながら、予約時の対応が素晴らしかった。「失礼ですが、お祝いかなにかですか?」「サービスさせていただくに当たって、特に気を付ける点などはありませんでしょうか?」など、利用客の立場を考慮した、積極的な姿勢がうかがえる。夜の蛍ファンタジー特別コースはひとり18,000円。それに個室の室料が8,000円加算される。
個室の設えは、ホール客席よりもひときわゴージャスで、キュリオケースに収められた中国ゆかりの品々などが目を楽しませてくれるので、プライベートな感覚があるのはもちろん、邸宅の一室にいるようなくつろぎがある。卓上のセッティングにも一工夫あり、位置皿の色がホールとは違っていた。また、卓上には盛花があり、華やかな雰囲気だ。個室には、ひとりの専任サービス人がつき、行き届いたサービスで楽しませてくれる。
珍しい料理に出会って、それについて質問をすると、わかる範囲で応えておき、より突っ込んだところは「調理場で確認してまいります」と、面倒がらずに最後まで要望に応えてくれた。料理も素晴らしく、昼にもコースを食べたばっかりだったが美味しくいただけた。
五種冷菜の盛り合わせ
トマトと海老の和えもの
いかのマスタード風味
貝柱と黄味ののり巻き
豚ロースの塩漬け卵黄入り
グリーンアスパラガスの冷製うに入り特製澄ましスープ
カニ肉入りふかひれの姿煮込み
大正海老の二種味付け
平目の蒸し物
牛ヒレ肉の細切り炒め
椎茸とえのき茸の炒め
ナツメ、栗、蓮の実入りちまき
黄橋風焼き餅
四種フルーツ盛り合わせ
Y.K.