1993.07.21
満点
「トゥールダルジャン」ホテルニューオータニ
喜-5大使館の職員として海外に赴任する友人の送別会をトゥールダルジャンでおこなった。送別会といってもごく親しい人のみの集まりで、参加者は当人を含めて5人だった。料理とワイン、税金・サービス料込みでひとり5万円という控えめな予算でお願いしたが、快く引き受けてくれ、楽しい晩餐会になった。
メートルドテルの説明によると、最初にワインを決め、そのキャラクターに合わせてシェフがメニューを構成するという段取りだったそうだ。この日のために選ばれたワインは、トゥールダルジャンのハウスシャンパン、シュバリエモンラッシェ'89(Domaine Henri CLERC & Fils)、シャトームートンロートシルト'83だった。
それに合わせて構成された料理は、トリュフ入りフォアグラのテリーヌとクミン風味のオマールのテリーヌを二層にした冷製オードブル、まるで活花ように美しく盛り付けられたアスパラガスのムース、さまざまなきのこを添えたカサゴのロースト、デミタスカップに入った赤座海老のコンソメ、幼鴨のロースト マルコポーロ(胸肉はポテトとチーズのスフレを添えて、もも肉は季節のサラダを添えて)、フランス産チーズ各種、いちじくのクレームブリュレとタルト、コーヒーと小菓子という内容。
いつものことだが、終始安定したサービスでまったく期待を裏切るところがなかった。夏用の白いテールコートをまとったサービス陣は、距離感と親近感のバランスを巧みに保ち、必要にして十分なサービスを提供してくれる。今回初めて来店した方々のために、店内の装飾などについて丁寧に説明をしてくれた。興味を持った点に付いては、何なりと尋ねてみることをお勧めする。
1993.07.21
チップしたカップ
フォーシーズンズホテル椿山荘東京 Executive Suite
哀-4トゥールダルジャンでの食事前にチェックインをし、みなそれぞれの客室で一息つくなり、シャワーを浴びるなりした後、ドレスアップして出発。食事を終えてホテルに戻った時にも、まだおなかがいっぱいだったので、バーへ寄ることもなく、各部屋に引き上げて休むことにした。
客室係にマウスウォッシュを頼むと、いつもは、モンダミンをくれるが、この日はリステリン200ミリリットルのボトルを分けてくれた。値札をはがしたあとがあるところを見ると、モンダミンのストックを切らしたので、サンドリーショップの販売品を持ってきてくれたのではないかと察する。「ありません」と断るのではなく、そこまで気を回して手配したのだとしたら、それは高く評価できるところだ。
翌朝は5時にモーニングコールを頼んだ。出発前にひと仕事したかったからだ。フォーシーズンズホテルでは機械によるモーニングコールはない。目覚し時計を利用する手もあるが、オペレーターによる肉声のほうが目覚めた時の気分がいい。「おはようございます、神田様。」と起こしてくれ、その時の外気温度と天気予報を案内してくれる。気分よく目覚めて、早朝のガーデンを眺めながら、窓に向かって配置されたリビングのライティングデスクでひと仕事終えたころ、他の部屋から朝食の誘いの電話が入った。
まだ6時30分。とりあえずリビングでみんなでコーヒーでも飲んでから、「みゆき」で和朝食でも食べようということになり、ぼくの部屋に集まった。フォーシーズンズホテルのルームサービスにおけるコーヒーは、カップ単位でなく、ポット単位で注文する。2杯分入った小さなポットと、5杯分入った大きなポットがあり、どちらかを注文すると、「カップはいくつご用意しますか?」と尋ねられる。この時は5人だったので、5杯分のポットと5客のカップを頼んだ。
すると、どうやら電話口で担当者が気分を害しているような雰囲気が伝わって来た。あまりにケチな注文だとでも思ったのかもしれない。実際、こちらもコーヒーだけで申し訳ないなと思うが、これから食事に行くので、余分なものを注文しても仕方ない。こんな状況になるのなら、コーヒーはポット単位でなく、カップ単位で販売してくれた方が気が楽だと感じたくらいだ。程なくして運ばれて来たコーヒーを見て、その思いは一層強くなった。カップは5客とも口がチップしているもので、ポットのコーヒーもぬるかった。
先ほどの電話での対応の後、このありさまでは、故意にチップしたカップを用意したとしか解釈できない。5客のうちひとつがチップしているのなら、気付かなかったのかとも考えられるが、5客ともチップしているというのでは、偶然とは思えなかった。仮に偶然だとしても、高級ホテルにおける出来事として、非常に残念なことには変わりない。
「みゆき」での和朝食の後、「シーズンズカフェ」でティラミスとカプチーノを楽しんだ。まぁ、朝からよく食べること。従業員の仕事ぶりを観察していると、食器の扱いが粗雑で、ガチャガチャとよく音を立てている。もう少し丁寧に扱うべきだし、第一朝から騒々しい。この様子からすれば、ルームサービスのチップしたカップも、あながち故意とは言えないような気もしてきた。しかし、今まで何度となくルームサービスを利用しているが、今までこんなことはなかった。
Y.K.