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2004.08.23.(月)

ホテルオークラ Superior Room
Hotel Okura
喜-4 目には見えない華
最高の水質を誇る屋外プール
オークラのメインエントランス。そこは日本で最も気品溢れる場所だった。設えによるものではなく、オークラマインドを胸に日々数多くのゲストを出迎え見送るスタッフたちと、オークラならではの華麗なゲストたちが作った「空気」という作品に漂う気品だった。だが、スタッフの士気が枯れたのか、ゲストのテンションが下がったのか、どちらが先かは定かでないが、オークラに寄せられる大きな期待に応えることのできない時代が来た。プライドだけが先行し、もてなしの心を忘れてしまったのだった。かつてオークラを世界屈指のホテルに育て上げたのは、スタッフたちではなく、優れたゲストだったと思う。自分のホテルを心底愛するスタッフがいるとしたら、彼らなら自らそう言い切るに違いない。それでこそ一流だ。

だが、ここのところ、そのサービスは見事に息を吹き返して来た。またとないほど落ち着いたロビーには、目に見えない華やぎが満ちている。チェックインの際は、理想的な物腰で、一秒たりとも無駄にしない計算され尽くしたステップにより引き継がれていくサービスに、感動さえ覚えた。その瞬間から、至福の5日間はスタートした。

至福といっても、特別なイベントがあったわけでも、びっくりするようなサービスを受けたわけでもない。単にオークラの日常に沿って、少しも目立たない過ごし方をしただけだ。そのありきたりなホテルライフの中に、ちょっとしたうれしい出来事がちりばめられ、結果的に満足のゆく滞在になった。

夏のオークラはいつも賑やかだ。通例行事のように夏になるとどこかを改装している。この時は、本館のエレベータ1基、本館3階と4階の客室、「桃花林」が改装中で、これはホテルとは無関係だが、隣の敷地でも建設工事が盛んに行われていた。騒音に敏感なことを気遣って、予約の段階で一番静かで、かつ眺めのよい部屋を確保しておいてくれた。

それは、本館の10階、ルーフトップガーデンと屋外プールを見下ろす、オークラの中では一番緑の多い景観のある部屋だった。室内こそいつも見慣れたオークラのスタンダードタイプだが、眺めがいいことでラックレートは少し高いらしい。スペシャルリクエストの品々もすでに部屋に用意されていた。

ちょうどワインをもらってきたところだったので、部屋で楽しもうと思い、客室係に電話をしてワインオープナーをリクエストした。どうやらワインオープナーはルームサービスが担当らしかったが、電話口の係は「ルームサービスよりお届けいたします」と引き継いでくれた。ほどなくして、ワインオープナーとともに、ワイングラスが一緒に届けられた。高級ホテルなら当然そうあって欲しいとは思うが、実際にできるところはまだ少ない。また、サービスで用意されたウェルカムフルーツも毎日補充され、「お好みがあればご希望に沿うよう努力しますのでお申し付けください」と気を利かせてくれる。

できれば毎日プールに出かけたいと思っていたが、あいにく晴れたのは一日だけだった。プールの受付のサービスも感じがいい。屋外プールなのにキャップが必要とは珍しいが、プールの水質を見れば納得。これほど澄み切った水はなかなかない。メインのプールは場所により1.8メートルの深さがあるが、子供用のプールも併設されている。家族連れが多いが、雰囲気を壊すこともなく、楽しそうに過ごしていた。

「テラスレストラン」の屋外テラスコーナーは水着のままでも利用できる。スーツを着た人たちも屋外テラスでの食事を楽しんでいたが、夏の都心の空気ではかなり暑そうだった。スタッフは快活で笑顔を絶やさず、エッジのある振る舞いが心地よかった。

25日には毎月恒例のロビーコンサートを鑑賞した。開業25周年を記念して、1年間限定で行ったイベントだったらしいが、好評により、以来継続して開催されているという。サントリーの協賛で無料のスパークリングワインがサービスされ、30分の演奏会は想像以上に多くのゲストで賑わった。この日は若い男性のピアニストのソロ演奏。真夏の夜の夢をテーマにしたプログラムで楽しませてくれた。見事な腕前だが、用意されたピアノのコンディションが彼の歌心に応える力を持たないのが残念だった。

客室では、TVのシステムの入れ替え中とかで、有料となるはずの全てのサービスを無料で利用できる期間に当たっていた。ビデオオンデマンドムービーのほか、専用のキーボードを使って、パソコンがなくともインターネット閲覧やメールの送受信が可能だが、画面が見づらく、キーボードの日本語変換が困難と、使いにくかった。また、画面の反応が著しく遅いし、Flashを使ったサイトは見られないなど、最新設備という割りには制約が多い。これでは利用価値が感じられない。

チェックアウトは極めてスムーズ。荷の扱いも模範的なものだった。オークラが完全復活したという印象だったが、今後は伝統を大切にしながらも、新しいことにも柔軟に対応できる懐の大きなホテルを目指して欲しいと思う。

本館の標準的な客室 デスク周辺

ダブルベイシン 古めかしいバスタブのデザイン

多くのゲストが聞き入るロビーコンサート ゆったりと過ごせる屋外プール

テラスレストランのガーデン サンドイッチとコーク

[ホテルオークラ] 960915 981114 990807 990814 990906 991018 991030 000415 000503 000609 011103 011216 020601 030526 030528 030925 031016 031017 031127 031220 040515 040525

Y.K.