2003年5月26日 |
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ホテルオークラ Standard Room | |
哀-3 オウムを真似るカナリヤ | |
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オークラには元来静けさが似合うが、ここのところの静けさは異常だ。外国人利用客も多いから、戦争や伝染病の影響も少なからずあっただろうが、それとは別の部分でオークラ離れが進んでいるような気がする。同世代の知人にオークラのイメージを聞くと、「暗い」「オヤジくさい」といった言葉が返ってくる。本来ならば伝統美や落ち着きといった長所として捉えられてしかるべき点が、現実にはイメージの足を引っ張っているようだ。それは外から見ているものの感覚によるものではなく、オークラが放つ光そのものが性格を変えてしまったからだ。
オークラには、他が決して真似のできなかった独特の雰囲気があった。サービスは磨きに磨かれていたし、館内の細部に至るまで徹底的にオークラスタイルを貫いていた。他が手に入れられないものを持っていたのに、オークラの方が他のすることに惑わされ、真似をするようになってしまったのは、実に残念なことだ。かつての風格はどこへいってしまったのか。以前を知る者にとって、現在のオークラは非常に痛々しく見えるに違いない。自分の歌い方を忘れ、オウムの真似をするようになったカナリヤのよう。 今回利用した客室は一人用の狭い客室だが、本館5階だったのでバルコニーが付いていた。他の階の同じタイプのより窓が圧倒的に広く、思い切り開放して外気を取り入れたり、バルコニーのイスでくつろぐなど、利用価値は大きい。バルコニーに出ると、客室棟の一部が横目に見える。見ると、まだ午後10時だというのに、ほとんど照明が点いていない。真っ暗なオークラを見るのはなんとも忍びなかった。 |
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[ホテルオークラ] 960915 981114 990807 990814 990906 991018 991030 000415 000503 000609 011103 011216 020601 |
Y.K.