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ヒルトン大阪 Executive Room | |
Hilton Osaka | 2010.07.10(土) |
大阪市北区 | 怒-2 |
ARCHIVES ・ 1992 |
足りないのは説明なのか ヒルトン大阪は、JR大阪駅前の一等地にあり、国内にあるヒルトンの中では最も条件のよいロケーションに位置しているといえる。 最近は駅周辺にも高層ビルが増えつつあり、ヒルトンもそれらのひとつとして溶け込みつつある。だが、建物をしみじみ見ると、あんがいユニークでもあり、デザインコンセプトがはっきりした興味深い造りをしている。 高層部は両隅が大小ふたつの半円を組み合わせたデザインで、大きい方の半円にはスリット状のラインが入っている。この、半円とラインの組み合わせは、建物のあちこちに多用されているモチーフのひとつ。一方、低層部は宴会場や隣接するヒルトンプラザになっており、道に沿って曲面を描き、その部分はガラス窓で覆われている。 ホテルエントランスは2か所。ひとつは正面玄関車寄せに面したメインエントランスで、こちらにはドアマンが控える。もうひとつは駅方面から徒歩で来館する際に便利な、ヒルトンプラザ側に向いたサブエントランス。いずれも日中は人の流れが絶えない。 メインロビーは3層吹き抜けになっており、天井中央からは紙吹雪のような装飾が、天から舞い落ちるかのように煌めいている。その真下は、フリーで座れるソファと、ロビーラウンジ「インプレイス」の「出店」となったソファとが混在しており、メニューが置いてあるかないかで、どちらであるかを判断できる。 この日は午後1時過ぎにチェックイン。正面玄関への到着時から丁寧なアテンドがあり、マネジャーが付ききりで世話を焼いてくれた。フロント係は明るい表情とキビキビとした身のこなしが印象的だった。 用意された客室は、使い慣れたエグゼクティブルーム。まだ新しいという印象があるが、すでに改装してから2年が経っている。 室内はいつも整然としているように感じられる。控え目な色調や、明るい照明もその要因になっているようだが、やはり「余計なものは見せない」という収納の美学があるからだろう。 多くのホテルでは、デスク上にさまざまな印刷物やポップスタンドがあり、部屋に着いたらまずそれらを片付けるという人も少なくないだろう。だが、ここでその必要はない。少なくとも、デスクトップには何も露出しておらず、他の部分にも、目障りなものはほとんどない。 こまごまとした物は、すべてフタやドアのある場所に収納されており、ステーショナリーはデスクサイドのカウンターに設置されたポップアップラックの中に収められ、ディレクトリーやルームサービスメニューは、その下に置いてある。 また、ミニバーにも扉があり、すべてのものを隠している。もしこれらが露出していたら、けっこうな鬱陶しさがありそうだ。 だが、テレビのリモコンとチャンネル案内、番組表は、カウンター上に露出している。せっかくここまでしたのなら、これらも「見せない、しかし、探させない」という工夫を実現してほしかった。 個人持ち込み荷物の収納場所も、十分に用意されている。バゲージ台はトランクが載る大きさがあり、その下には奥行きのある引き出しが2段設けられている。 バゲージ台の上には、ハンガーラックにもなる金属棒が取り付けられている。ハンガーレールのあるクローゼットは幅が狭く、十分な本数のハンガーを用意しているものの、それらすべてに服を掛けたら、とても中には収まらない。その時にはこの棒がとても役立つ。また、コートやジャケットなど、少し空気にさらしておきたいものを掛けるにも都合がいい。 もうひとつの収納は、縦長の棚。アイロンセット、金庫、雑誌類などを備えながらも、まだ十分な空きスペースがある。このように、無駄になりがちな空間を余すことなく活用しているという点でも、よく考えられた客室だ。 もうひとつ隠されているのは、窓の外に設けられた避難バルコニーに出るための扉。これは、襖と障子を両方とも引くと出現する。 バスルームは、アメニティやタオルなど、すべてのものが露出してセットしてあるが、これらが目障りだと感じることはまずないだろう。 バスアメニティはトレーの上にきちんと並んでおり、ドライヤーは布の袋に入れられるなど、バスルームにも整然と見せるための工夫が感じられる。 ヒルトン大阪のエグゼクティブラウンジは、フードプレゼンテーションが充実している。近くにザ・リッツ・カールトン大阪があることを意識しているのかもしれない。 特に朝食がいい。テーブルには布のクロスが敷かれ、布ナプキンやカトラリーもセット。飲みものは係が用意してくれる。フードカウンターには、卵料理を含め、豊富なアイテムが並び、むしろ「チェッカーズ」のフルブッフェよりも品質的にはいいような感じだ。 午後にはペイストリーなどが、夕刻以降はオードブルやスナックが並び、淹れたてのコーヒーや好みのカクテルとともに、ゆったりとした時間を過ごすことができる。その割に、大混雑している状況にはあまり出会ったことがない。 滞在中の食事は、すべて館内のレストランを利用した。最上階にあるスカイラウンジ「ウインドーズ・オン・ザ・ワールド」へ、ランチブッフェを食べに行った時のこと。まずはエグゼクティブラウンジの係に、店の予約を依頼。係は店に電話で問い合わせた。すると、この日は二部制で、次の案内は12:30からとのことだがそれでどうかと尋ねられ、承諾した。 12:30に店に行くと、どうも様子がおかしい。店先には行列ができており、店内にはほとんど客がいない様子。とりあえず係に声を掛けると、そのまま席へと案内された。どうやら、次の回は12:30ではなく、13:00スタートであるのに、間違えて予約を受け、仕方なく通したということのようだ。 というわけで、店内はちょうど客の入れ替え時。まだ、数組の客が食後のひと時を楽しんでいるが、ほとんどの席は、散々食べ散らかした後の汚らしい状態である。 その汚らしいテーブルを、ひとつだけ慌てて片付けたというところに通され、周囲ではほどなく宴会後の片付けのように慌しく、しかもガチャガチャと乱雑に清掃が始まった。 このような環境では落ち着いて食事ができないので、静かな席にしてくれと頼むと、ずいぶんと放ったらかされた挙句に、「喫煙席か、団体客の隣しかありません」と言いに来た。ならもう結構と席を立った。 チェックアウト時には料飲部長が来て、この件の詫びを聞かされた。その口から出る言葉は「説明が足りずに」という言い訳ばかり。確かに説明も足りなかったし、くだらないミスが引き起こした災難だったと思っている。 だが、本当に足りなかったのは、説明ではなく配慮ではないのか。たとえ予期せぬタイミングで入店したとしても、同じ代金を払う客には変わりない。その客に対し、期待されて当然の環境すら用意できないのは、サービス業に従事する上で大切な何かが欠落しているからではないのか。よく胸に手を当てて考えてもらいたい。 |
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