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ヒルトン大阪 Executive Room | |
Hilton Osaka | 2010.01.17(日) |
大阪市北区 | 楽-4 |
ARCHIVES ・ 1992 |
ピンクのポロシャツ チェックインしたのは19時半を過ぎたところだった。1階のフロントカウンターはエミレーツ航空のクルーたちで混雑していたが、マネジャーたちが気付いてすぐに手続きを始め、ほどなく部屋に案内された。関西らしい明るく人懐っこい接し方は、このホテルに馴染んでくるほどに心地よさを増し、かつて二度と来るものかと誓った日のことなど、すっかり忘れさせてくれる。 部屋はいつものエグゼクティブルーム。アップグレードのことでもたつくこともなくスムーズに用意された。すでにターンダウンが終わり、いつでも眠れるようになっている。明るい室内では、ちょっとした清掃の不備もよく目立つ。特にミラーやガラスに残る拭き跡や拭き残しは、新しい服に付いた染みのように気落ちさせる。 だが、今朝までいた都ホテルと比べると、何と快適な部屋だろう。広さはほぼ同じ。デザインこそ大差あれど、備わっているものはほとんど同じで、おまけに配置までよく似ている。大きなベッド、カウチソファ、オーバルデスク、液晶テレビなど、同じようなものでも、ちょっとした違いで使い心地に差が出るようだ。 そして格段に違うのは収納力。スーツケースも載せられるバゲージ台と大きな引き出しや棚があるクローゼットエリア、デスクサイドのロングカウンターなど、整理に必要なスペースがたっぷりあるので、物を散らかさずに済む。 カウンターとテレビを支えているボードに設けられた間接照明も効果的だ。ただ、明るさの調節ができず、これを消そうと思うと室内灯のほとんどが一緒に消えてしまうのが残念。 窓際のカウチソファはゴールドのファブリックがゴージャス。高さを抑えて長さを持たせたデザインも洗練を感じさせる。添えられたレザーのスツールがいいアクセントになっている。 充実したミニバーには、コーヒー&ティーメーカーや無料のミネラルウォーターも揃い、充実したテレビプログラム、季節の雑誌など、室内を自分のリビングのように思わせる工夫が多数見られる。ベッドの寝心地やベッドリネンの肌触りも申し分なく、レザーとピアノフィニッシュパネルを使ったベッドボードも、いい味を出している。 バスルームは一見石張りだが、これはシール。本物の石を使うに越したことはないが、これでも視覚的にはそれなりに効果があるようだ。ベイシンは今風のものに替えたが、トイレやバスタブは以前のままのものを使っている。 バスタブは165センチ長のゆとりある大きさ。シャワーヘッドは新調されウチワ状のものになり、高さを自在に調節できるポールが備わっている。バスタブ脇はミラー張りにしてあるので、シャワーカーテンを引いた時にも閉そく感がない。 バスアメニティはヒルトン共通のクラブツリー&イブリン製。この中に、湯に投入すると「バブ」のように炭酸ガスを発しながら溶けるタブレットが用意されているが、すでに古くなって気が抜けているのか、湯に入れてもそのまま醜く崩れるだけで、効果を発揮しないものが多い。タオルは3サイズを3枚ずつ置いている。 エグゼクティブラウンジのカクテルアワーにかろうじて間に合った。特にアルコールが飲みたいわけではなかったが、国際ホテルらしい雰囲気を味わいたくて出向いてみた。だが、ほとんどが空席。ひとつだけ埋まったテーブルには、外国人の中年男性と、その息子と思われる少年が座っていた。歳の頃は12歳くらいだろうか。 カクテルアワーに少年とは意外だったが、その子は見るからに賢そうだった。行儀よく座り、時折父親の顔を伺いながら、仲良く会話をしている。このラウンジの雰囲気にも溶け込み、まったく違和感のない振舞いをするとは、たいした少年である。 その後、プールに向かう時にもその少年と出会った。閉まりかけのエレベータを目掛けて駆け寄ると、その少年が扉を押さえ待っていてくれた。自然な笑顔を絶やさないその少年は、実は天使なのではないかと本気で考えたほど、最近では見かけないオーラを放っていた。 プールは終始貸切。空いていると気兼ねなく泳げ、時間が経つのも忘れてしまう。水が澄んできれいなのもいい。最近は会員が減ったのか、ロッカールームやサウナでも、メンバーと顔を合わせる機会が少なくなった。 閉館ギリギリまで過ごし、部屋に戻ったら空腹になった。もうレストランには遅いので、ルームサービスで済ませることに。メニューを見ると、若干値上げをした様子。以前が安すぎたので、値上げしてもまだ安い感じがする。 遅い時間にヘビーなものは避けた方がいい。サラダだけでも構わないのだが、安い料理を一皿だけ運んでもらうのは気が咎める。そこで、レタス、コーン、パイン、レッドオニオン、ベルペッパー、ブラックビーンズ入りアメリカンコンボサラダ コリアンダー風味のランチドレッシング1,680円と、ひよこ豆といんげんのラグー サフラン風味トマトソース 豆腐と野菜のフリッター添え1,550円という長い名前のベジタリアン料理を注文した。 やがて部屋をノックしたのは、若い女性の係だった。顔を合わせるなり「おかえりなさいませ、ですよね」と声を掛けられた。「どこかで会いましたっけ?」「昨年の夏にエグゼクティブラウンジでお見かけしました」「よく覚えていますね」「ピンクのポロシャツをお召しでしたが、男性がピンクの服を着るのが好きなので」。 そんな会話をしながら伝票にサインをすると、彼女は明るい微笑みを残して去って行った。部屋はまたしんみりムードに戻ったが、今日も一日よく動き回ったので、ゆっくりと食べて、ぐっすりと眠ることにしよう。料理は思いのほかボリュームがあった。この取り合わせはかなり腹ペコなベジタリアン向きだ。 |
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